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生存重視のゾンビスキルな転移者  作者: ねこにゃんこ
2/7

いきなりの戦闘

 目が覚めると薄暗い森の中だった。

 右手には神様のくれた武器があり

 意識を失うまでのことが嘘でなないことを証明する。

 嘘じゃなかったとしてもこれから何をすればいいかなんて分からない。


「とりあえずこの森をでるか」


 そんな独り言をいいながら歩きはじめた。

 あたりには人の気配はなく、自分が一人であることを再認識させる。

 やだ、こんなとこに一人でいるなんて寂しさで死んじゃうわ。

 早く人気のある所にいかなきゃ。などと気分をおねぇにしたところで

 寂しさはまぎれないし、むなしいだけか。

 何も考えずに進もう。悲しくなるだけだから・・・。



 しばらく歩いていると、何かが駆けてくるような足音が聞こえた。

 やった!!僕以外の誰か発見!!と喜んでいると、ものすごい勢いで

 こちらへ向かってくる何かを見つけた。

 目を凝らしてみると、でっかいイノシシみたいなのがこちらに突っ込んで

 来るのが見えた。


「しずまりたまえ!!さぞかし名のある山の主とみうけたがなぜ、そのように荒ぶるのか?」


 などとふざけていると、だんだんと距離が近くなってきた。

 あれ、これやばいんじゃね?このままじゃイノシシにはねられてこの世界からも

 サヨナラしちゃうんだけど!!

 何かないかと探してみると、右手に剣を持ったままなのを思い出す。

 これで奴を撃退しよう!!

 

「さあ、こい!!」


 見事に吹き飛ばされました!!

 やっぱ無理だよね。こんな剣であれを止めるのは。

 まだ空中浮いてるよ僕。このまま人のいそう村や町までひとっとびだ!


「ぐはぁ!!」


 あっけなく地面に落ちた・・・。思いっきり頭から落ちたんだけど

 まだ生きてる。おお、案外頑丈なんだな僕。あははぁ~


「って、そんなアホな!!」


 思わず関西弁でツッコミを入れてしまった。

 結構あり得ない速度で轢かれたんだけど!!

 なんでピンピンしてんだよ!!

 

「そりゃ、君のスキルのおかげでしょ。」


 何処からともなく聞こえてくる声に驚き、辺りを見渡した。

 周りに人は見つからずさっきのイノシシがこちらをじっと見ながら

 鼻息を荒くしていた。


「もしや、君が話しかけてきたのかい?」


 返事は突進だった。ですよね、イノシシが話すわけないよね。

 二度目の空中飛行を楽しみながら考える。

 じゃあ、あの声は誰なんだろう。答えが出たのは地面に落下してからだった。


「私だよ~。君の愛しい女神さまことメル様だよ」


 え、マジ?神様?マジなの!?じゃあ、助けて!!

 さっきからイノシシが僕に突進してくるんだ。

 助けてよ~メルえもん~。


「あははぁ。むりむり~。私は君の頭に話し掛けてるだけで

そこにはいないいからね~」


 ちぇ、使えない神様だ。こんなイノシシ一匹どうにもできないなんて。

 そんなやり取りをしている最中でもイノシシは待ってくれない。

 突進されては宙を舞い、地面に落ちては突進をくらう無限ループになっていた。


「君、なかなか失礼だね。私だって本気を出せばそんなイノシシ程度、

指先一つでちょちょいのチョイだよ。」


 じゃあ、何とかしてくださいよ。何回も突進食らって慣れてきたとはいえ、普通に痛いんですよ。

 見てくださいよ。僕の服とかもう血まみれですよ!!


「なんとかしてもいいけど、ほんとに良いの?

私が力を使うと、この世界丸々、潰しちゃうことになるよ」


 へ、なんでそうなるの?イノシシなんとかするだけでいいですよ。


「神様はむやみに世界に干渉しちゃいけないの?

人またはその世界に存在する生物ではどうしようもない時、

すべてをなくすことと引き換えにその世界を救うんだよ。

だから私が今ここで力を貸すの不可能なの。」

 

 もういい、自分で何とかするので引っ込んでてください。

戦いに集中できないので。


「なんだか私に冷たくなってきてない?

やだ倦怠期かしら、新しい刺激を考えなくちゃ!!」


 あんな適当にこっちに飛ばした上に、あんなのがいる森に飛ばされれば

 冷たく当たりたくもなりますよ!!それとまだあって数時間程度なのに

 倦怠期もクソもありません。だんだん慣れてきたので素がでてきただけです。

 後、これ以上刺激的なのは勘弁してください。今もなお刺激的なプレイの

 真っ最中です。刺激的過ぎて、色々なところから血が出てますよ。


「そお?じゃあ言われた通り、引っ込んでるね。

応援してるから頑張るんだよぉ。ばいばい~」


 やっと、戦いに集中できる。さっきから何回吹き飛ばされてるのか

 分からないくらい突進されてる。早く何とかしなければ。

 地味に気付いたのだが、吹き飛ばされる距離がだんだん短くなってる気がする。

 なんでかって?それは僕の滞空時間がだんだんと短くなってるからさ!

 ほんと、どんだけ攻撃くらったんだよ僕。あのでかいイノシシがこんだけ疲れるって

 相当だぞ。まあでもこの調子なら後数発くらえば踏ん張れるくらいになると思う。


 四発食らったところで、目に見えて威力が落ち突進されても軽く押された程度にしか

感じないほどだった。そろそろ楽に倒せるじゃね?問題は何処を攻撃するかだけど、

比較的楽に突き刺せる目のあたりでいいかな。胴体とか何回も切らなきゃいけなくて

めんどくさそうだし。僕はイノシシを挑発して突進を誘った。


「うえーい!!おいでイノシシちゃん♪それとも疲れて動けにかな?」


 言葉は通じたかどうかは分からないが、突進してきたのでその勢いを利用して

 剣を目に突き刺した。イノシシは少しの間苦しむと動かなくなった。

 戦いに集中していたせいか、気が付くと森から抜け出していた。

 森から抜けられるほどこいつの突進食らったのか・・・。

 もう動かないイノシシから剣を抜く。


「やっとの思いで倒せたはいいけど、この死体どうしよう?」


 自分では処理できない死体を眺めながらどうしようか考えていると

 今度は人の話し声が聞こえた。


「もう少しで依頼の魔物が出るっていう森ね」


「相手は通常の個体よりも数倍はでかいファングボアらしいからな。

気を抜くなよ」


「わかってるわよ。殺されるかもしれない敵に気を抜くほど馬鹿じゃないわよ」


 声で判断するに男女の二人組だろうか。

 久しぶりの人との出会いにうれしくなり声のする方に駆けていった。


「おーい。そこの二人組!!」


 こちらに気が付くと、なぜか剣を構えられた。あれ、おかしいな。

 またバトル展開なわけ。こちとら、でかいイノシシと戦ったばかりなんだけど。

 剣を持った男性がこちらを睨みながら話し掛けてきた。


「お前、怪しいな。ナニモンだ」


 え、僕が怪しい?いたって普通の青年だとおもうんだけど・・・。

 そんなことを考えながら自分の格好を見て、あらためて気づく。

 全身血だらけの男が急に声をかけてきたら誰でも警戒するよね。僕もするし。


「決して怪しいものではないです。この格好には理由がありまして。」


「理由?こんなところで血まみれになる理由ってなんだ。」


「実はですね~」


 でかいイノシシと戦い、それが原因でこうなったことを説明した。

 そのあと、近くに転がっているイノシシの死体まで二人を案内すると

 ようやく納得してくれたのか警戒を解いてくれた。


「お前、これを一人で倒したのか」


 男は感心しながらこちらをみている。そんなにすごいことなのか。

 いや、ぶっちゃけ謙遜たいけど、無茶苦茶大変だったので素直に褒められておこう。

 もう一人の女性が何かに気が付き男性に声をかけた。


「ねえ、この魔物って依頼にあったやつじゃない?」


「確かにそれっぽいが・・・」


 男性は少し考えると


「俺はライル。こっちの魔法士が」


「ジェリーよ。血まみれの変人さん」


 血まみれの変人とは失礼な。血まみれなのは事実だが

 変人ではない、断じてちがう。ちがうよね?

 


「僕は真嶋勇人です」


「マジマユート?変わった名前だな」


 こっちの世界では珍しいのか。いちいち珍しがられるもの面倒なので

 今後はユートと名乗ることにしよう。


「まあいい。ユート、お前はこいつと何処で遭遇した?」


 ライルはもう動かなくなったイノシシを指さし聞いてきた。


「あの森の中で遭遇しました。最初は森の中で戦っていたのですが

戦っているうちに、ここまで移動してしまいました」


 最後以外ほとんど一方的に蹂躙されていただけだが、

 カッコ悪いので伏せた。この格好では意味がないと思うが。

 今の説明で納得したの、ライルさんはそれ以上追及してこなかった。


「ユート。こいつを倒したのは何故だ?

依頼でも受けていたのか?」


「いえ、襲われたから倒しただけです。」


 襲われない限りこんなのと戦うなんてまっぴらごめんだ。

 ライルさんはため息をつくと、イノシシの死体を指さし


「こいつは俺たちが依頼を受けて討伐しにきた獲物なんだが。

まさか、依頼を受けてないやつに先を越されるとはな」


「え、僕何か不味いことしました?」


「いや、特に問題はないが。ユートに先を越されたおかげで

俺たちは完全に無駄足になっちまったなと思ってな。

このままでは報酬がもらえないからな」


 そういうことか。ならば話は簡単だ。


「こいつをライルさん達が倒したことにすることはできなの?」


僕がそんな提案をすると、ライルさんは驚きながら返事をした。


「できるが、ユートは問題ないのか?

偶然とはいえ、そいつはユートが倒したんだ。

お前がギルドに報告して報酬をもらうべきだろ」


そうは言われても僕にはこの世界の知識がないので

ギルドがどういうもので、何をするところなのかも分からない。

僕がこの世界の人間じゃないって事は、

知られない方が良さそうだから話を合わせておこう。


「僕、ギルドに登録してないんですよ」


「はぁ!?こいつを一人で倒せるぐらいの強さを持ってるのに

ギルドに登録してないのか?」


「はい。辺境の村から出て旅を始めたばかりで

ギルドに登録しようと思って町を目指していたら

道に迷ってっしまいまして。」


そう答えるとなぜかライルさんは腹を抱えて笑った。

後ろでジェリーさんはなぜか飽きれていた。


「旅を始めたばかりなのに災難だったな。

まあ、そういうことならこいつは俺たちが倒したことにして

報酬を俺たちとユートで分けるのはどうだ?

ついでにギルドまで連れってやるよ」


ふむ。こっちはこの世界に来たばかりで

右も左もわからないし、お金はあるに越したことはない。

ライルさんたちの方も、報酬が手に入る。お互いに利があるなら

悪くない申し出だ。ぜひお願いしたい。

というか、もう一人は嫌だ!!話せる相手があの役に立たない

女神さまだけとか勘弁してほしい。


「はい。それでお願いします」


「オーケー。それじゃあさっさと魔石を回収しいて戻ろうぜ」


そういうと、ライルさんはファングボアの元へ向かい魔石を回収する作業に入った。

そんなものがこの世界にはあるのか。後学のために回収作業を見学しておこう。

ライルさんは手早くファングボアの喉元にナイフを突き刺し魔石を取り出した。

なかなか鮮やかな手さばきだな。ライルさんの手さばきに感心していると

手持無沙汰だったジェリーさんが声をかけてきた。


「ファングボアの素材はどうするの?これだけの大きさだから

解体するのは手がかかりそうだけど、結構いい素材が手に入りそうよ」


ライルさんは魔石を腰につけていたポーチにしまいながら答えた。


「解体はギルドに任せればいいんじゃないか。

ユートを血まみれのまま放置するのはいろいろ不味そうだし」


 ライルさんは意地悪く笑うとそんな冗談を言ってきた。

 僕が苦笑いすると、ジェリーさんが飽きれながら同意した。


「そうね。じゃあ早くギルドに戻りましょう」


「おう。とっとと行こうぜ!」


そういうと二人は町へ向かって歩きだした。

僕は遅れないように二人の後を追った。





現在のステータス


真嶋勇人 Lv.1  HP50/50 MP30/30


STR 20    INT 10


DFE 20    TEC 15


SPD 30    LUK 90


所持スキル


異世界語翻訳 Lv.1/1 身体能力向上 Lv.10/10 


状態異常無効 Lv.10/10 家事 Lv.7/10 


嘘つき Lv.5/10 魔法使いの素質 Lv.20/30 


SM体質 Lv.10/10 九死に一生 Lv.10/10 


女神の加護 Lv.1/1 変身魔法 Lv.1/1 


五体満足 Lv.1/1

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