偽りの道へ導く
「はっはっはっはぁ!!我が名は御路、迷えるものを導くものである」
「・・・ココアの下みたいな名前だな」
御路の大声が漏れていないか危ぶみながらもコミュニケーションを図ってみるコンダクター。
「それでお嬢さん、一体何の御用で?」
迷えるものを導くのが役割だと言うのならこの男は首輪の制御装置のある部屋を知っているはず。
そう確信し、問う。
「機械室みたいなところはどこだ?」
「おう、機械室ねぇ、3種類ほどあるが、ここから近いのはこの階の廊下の突き当りだ」
突き当り、コンダクターの来た廊下のドアはすべて調べたのでこれから進もうとしている方向にあるのだとわかる。
目標が定まった、だが違った時の対応として念を押す。
「他の場所も聞いておこう」
「同じところの1階と3階さ、しかし君、新人かい?こんなろくでもないところを任されるだなんてとんだ不幸・・・」
御路はじっとコンダクターを見ていると言葉を詰まらせた。
「白い肌、ハクション大魔王を知っている、この施設について無知、・・・む!」
何やら考え込みながらはっとしたようにコンダクターを睨んだ。
「こいつぅ、キューケツキーだぁ!!」
「なに!?」
周りに知らせるように大声で叫ぶ。
「ちぃ!」
コンダクターは即座にこの男が敵であることを認め、大仰に腕を上げながらノーガードな胸部分に触れた。
「おうっ!」
男は箱にすっぽりとはまり、身動きとらずにコンダクターの背を見送る。
即座にその部屋から出ると、来た廊下の方からは黒い鎧を着こんだ兵士がやって来た。
その手には十字型の剣、腰には左右2本づつの剣を引っ提げている。
(先ほどの金属音はこの兵士からか)
応対するにもコンダクターは戦う余裕はない。
血液を補充したとはいえその場しのぎ、亮を殺さないようにするためにも吸う量は少なかった。
だからこそ、逃走を図る。
あれほど鎧を着こんでいるのなら速度はそれほどでないだろう。
(吸血鬼の速さなら楽勝だ、身を案じたのが祟ったな)
などとほくそ笑んでいると次の瞬間に感じた衝撃にその笑いはかき消される。
剣が、コンダクターの背を突いたのだ。
「なにぃ!?」
数十mは離れていたはずなのに、その速さは吸血鬼以上。
その衝撃で吹き飛ばされたコンダクターは咄嗟に突き当たりにあるドアのドアノブを掴んでいた。
兵士の次の行動を警戒しながらその部屋に身を隠した。
居場所は知られている、なら撒くのが普通の行動、だがここは御路の言っていた機械室。
部屋全体を見渡してみるが、コンダクターには判別が付かなかった。
なので、
(片っ端から潰していくしかない!)
方針が決まり手前の機械から壊していく、が、
ゴン、と部屋の入り口から衝撃音が鳴る。
無論鎧の兵士だ。
ドアを剣で貫いている。
そのまま勢いを殺すことなくドアを壊して入室してきた。
まずい、と思ったコンダクターは全機械破壊を行えず、壁を破壊して外へ飛び出た。
吸血鬼の力でいともたやすく砕ける壁の先には森林が広がる。
落下し、すぐさま一階の部屋に侵入する。
窓も入り口もないが、そのままただの壁を砕く。
そこは本棚の立ち並ぶ、ただの資料室の用だった。
(話が違うではないか)
御路はここに機械室があると言っていたが、嘘だったのだろうか?
(そもそも敵の言葉を信じる方がイかれているか)
自省しながらもその部屋の資料を漁る。
施設に関するタイトルの資料を漁っていく。
最初に目に入ったのは、
(ピリオド計画?)
なにやら怪しき項目がコンダクターの目に留まった。




