新部隊設立
ブリーフィングは前回と同じく礼拝堂で行われる。
ただ前回と決定的に違うのは、6時から行われるのと圧倒的な人数である。
ワイワイと雑談が礼拝堂内に入り乱れる。
だがそんな騒がしさも時計の長針が12の方を指すと同時に静まっていく。
祝詞が舞台の上の演台に立つ。
完全に静まったことを確認すると、口を開いた。
「諸君、ブリーフィングを始める前に大事な発表が二つほどある、まず一つ」
祝詞は舞台脇に視線を送る。
舞台に上がって来たのは洋也、サクリファイス、ズメウの3人だ。
「新入りを紹介する、階上洋也、吸血鬼のサクリファイス、ズメウ、階上洋也はサクリファイスと契約した
不死者で、ズメウはサクリファイスの使役ストリガだ」
会衆席がざわつく。
「静まれ、話が進められん」
こうしてざわつくのも無理もない。
ピースメイカーは不死者を一員に迎えたことはこれで二回目なのだから。
ざわつきは落ち着き、皆の視線は祝詞へ向けられる。
「もう一件の方だが、これは新部隊結成をするために希望者を募ろうと思う」
驚愕は先ほどより微々たるものだった。
むしろ重要事項で引き締まっている様子。
「新部隊の概要に入る、目的は吸血鬼への徹底した攻撃行動、吸血鬼の発見情報を入手して即動く部隊だ、そのため、現在の不死者は必ず所属してもらう、無論、吸血鬼もだ」
「はぁ?ぐむぅ」
文句を言おうとしたサクリファイスは洋也によって口をふさがれる。
指示されることに憤りを感じたのだろう。
「現在の不死者は二名、最低でも隊員は6名は欲しい、希望者はいるか?」
再び騒ぎ出す会衆、その中でも素早く手を上げる人物がいた。
「名乗りを上げたまえ」
「永井流人、この度、新部隊への加入を希望します、と」
気怠そうな声で言った。
周りは何も違和感を感じなかった。
むしろ彼の参加は必然だった。
その右腕の異質さは、そこでこそ発揮するものだと。
「他にはいないか?」
少し遅れて、手が上がる。
「近江紅一郎!新部隊への参加を希望します!」
流人とは反して、周りはざわついた。
新人かつただの人間である彼が名乗りを上げたのは、同じ人間として想定できないものであったからだ。
「紅一郎お前!」
「集会の最中は私語を慎め!」
異を唱えようとした洋也はいつも以上の声で祝詞に怒鳴られたことで黙り込む。
「他には、いないな?」
周りを見渡し、まるで想定していたかのように素早く確認する。
「では、ブリーフィングは各部隊で行ってもらう、リーダーは各作戦室へ、新部隊希望者は執務室へ来たまえ」
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執務室に集まった新部隊候補の二人とサクリファイス、ズメウ、洋也と、
「まさか会長が不死者だったなんてな」
「どう!?驚いた?」
「いえ全然、あなたほどの変人ともなれば不死者どころか宇宙人だったとしても不思議じゃない」
リアクションを期待する杏花に洋也はそっけなく、期待に応えなかった。
「紅一郎、永井、お前たちは知っていたのか?」
「まあ、7年間毎日のように顔を合わせてたわけだし」
「知らなかったのはお前だけだったということだ、それどころか、俺の詳細についても知らない」
流人が何やら優越感に浸っている。
「詳細?」
「気になるか?」
「教えるか教えないかはお前の自由だ、それで足元をすくわれることにならなきゃいいな」
興味を示さない洋也に、流人の優越感に浸っていた表情が意外そうな顔に変わる。
「・・・なんつう気遣いのできる男なんだ」
「知ってほしいわけじゃないのかよ」
「話を始めていいか?」
歓談のような会話に耐えかねた祝詞が仕切りなおす。
「まず、流人、紅一郎、お前たちは入隊確定だ、おめでとう」
祝の言葉に紅一郎は「ははは」と苦笑いをする。
実質最前線に立つ部隊へ入って喜ばしいと思うのは根っからの武人ぐらいのものだろう。
「そして、早速だが部隊を動かす、まだヨハネが来ていないようだが」
祝詞が杏花の方へ顔を向ける。
「あはは、アイツ神出鬼没ですから」
「だろうな、だからこそ期待はしていない、今回はこの場にいる全員と、御会とで当たってもらう」
言い終えたところでドアのノックが執務室に広がる。
「入ってくれ」
「失礼いたします」
入って来たのは黒い長髪の黒衣を身にまとった少女だった。
「彼女に協力してもらう」




