後処理
暗い部屋、スポットライトが椅子に縛り付けられた男に当たる。
周囲は人のいる気配、小隊レベルの人数で囲まれている。
「なぜ、ピースメイカーを救援に呼んだ?」
暗闇から問いが投げかけられる。
男は何も答えない。
「君も知っているだろう、この場所がリークされる恐ろしさを、居場所がなくなるぞ」
「アンタもな」
口がやっと開かれたと思いきやそれは抵抗じみた言葉だった。
姿が見えずとも、気に食わない、といった様子がなんとなく伝わってくる。
「君は、我らの組織を何だと思っている?」
「人を守り、吸血鬼を狩る、それが目的だったはずだ、だが貴様らは何だ?人を虐げているじゃないか、そんな組織に賛同した覚えはない、こんなことになるならピースメイカーの方がマシだ!」
必死な否定の言葉は、暗闇を蠢かせた。
沈黙の間が訪れ、やがて一人の少女が男の背後から歩いてくる。
白髪、赤い瞳、覗かせる鋭い八重歯は吸血鬼のそれだ。
歯を首筋に近づけ、穿つ。
「があ!あああああああ!」
突然走る猛烈な痛みに悲鳴を上げる男。
しかし失神することなく踏ん張る。
「われわれの目的に相違はない、人の安全を保持し、吸血鬼を殲滅する。だからこそ、だからこそなのだ、危険因子は除去しなければならない、キミのようにね」
「ああああぁ」
絶叫にもやがて力がなくなり、前のめりに気絶する。
吸血鬼の少女はスポットライトの照らす範囲から去る。
男はしばらく硬直し、赤い目を開くと暴れ出した。
がたがたとイスの足がタップダンスをする。
「グアァ!!」
唾液と共にうめきを上げる。
先ほどの人の姿とはまるで別人、人としての彼はそこにいなかった。
暴れに暴れ、縄がちぎれる。
瞬間、正面と左方から銃弾が駆け抜けた。
全身を貫き、文字通りハチの巣となり、横たわる。
「残念だ、優秀だったのだがね」
惜しむ声は本心に聞こえるが、その言葉は既に死んでいる男には届かない。
そうしてこの場の幕は閉じた。




