本とお姫様。
私が目を覚ますと、セイメルは本を読んでいた。
・・・本!!
「セイメル、それ貸してくださいな」
「うわっ、なんだよビックリするわ」
「貸してくださいな!」
「分かった、分かったからその目をやめろ。いかにも『私気になります』な目でこっち見るな。みっ、見るな!」
そう言ってセイメルは私に本を押し付けた。
本、入手成功ですわ。
「さて、一体どの本なのでしょうか」
私が誘拐される前に居た城、つまり兄上様の城には大図書館というのがあり、そこには500万の国の書と2000万の理の書、そして1億の魔法の書が保存されている。
国の書には自国、他国の歴史が綴られている。
理の書にはこの世界における法則が示されている。
魔法の書には存在するあらゆる魔法が載っている。
私は最初、理の書を好んで読んでいたのだが、誘拐に対抗するために魔法を学び初めてからは魔法の書を読む機会が多くなった。
まぁ、これは結局無意味に終わったのですが。
しかし、読んでみれば魔法の書もなかなか面白いということが分かったことは私には得なことだ。
あれ?
これは国の書でも理の書でも魔法の書でもない?
もしかしてこれは・・・
「娯楽書だ」
セイメルは答えた。
考えがバレてしまったのか。
いや、そんな事よりも。
「私、娯楽書は読んだことがないですわ」
「え、マジ?」
「はい。城の図書館には置いていませんでしたわ」
「うわ、信じらんねー。王族は娯楽さえ許されねーのかよ」
「私にとっては勉学に励むこと事態が娯楽のようなものでしたから」
「は?あり得ねぇ。勉強大好き人間とか実在したのかよ、漫画にもそんな奴いねーよ」
「まんが?」
「娯楽書の一つだよ」
「これはまんがではないのですか?」
「確かにまんがだが漫画と言え。読みにくいだろ」
「はい?」
「とにかくそれは漫画じゃない、小説だ」
「しょうせつ?初めて聞いた単語ですわ」
「表紙見てみろよ」
「えっと、『romance meum』私の恋?」
「あれ、ラテン語ちゃんと読めるのか」
「何を言っているのですか?魔法を使う者ならば当然でしょう?」
「あ、いや。まぁその通りなんだけど」
「あの、セイメル」
「何だアリス」
「これを読みたいので静かにしてくださいませ」
「それ俺が取ってきたんだけどな・・・」
「何か?」
「いえ何でもないです」
私は本を開く。
さて、小説とはどんな書なのでしょう?
内容は、誰かの人生だった。
ミサという女の子の人生だった。
喜びあり、悲しみありの内容だった。
「アリス」
「なんでしょう」
「そろそろ返してくれない?俺未だ殆ど読めてないんだけど」
「あら、そうでしたのね。私は読み終わったのでどうぞ」
「お前の本みたいに言うなよ」
「何の事です?」
「はぁ。もういいや」
「ねぇ、セイメル」
「何だアリス」
「今度、この城の図書館に連れていって下さいな」
「分かった、覚えていたら連れていってやる」
「約束ですわよ」




