旅の人とお姫様。
やぁ、こんにちは、旅の人よ。
私はこの国、ステルド王国国王のダグラシス一世だ。
そう言えば、一週間前にも我が城に招待したのだったな。
あの時は来てくれてありがとう。
私の妹、アリスも喜んでいたよ。
聞いた話では、妹の特訓に付き合ってくれたそうだな。
君のような腕の立つものに立ち会ってもらうことは、それだけであいつのためになる。
ん?そうだな、そろそろ本題に入ろう。
時間にしても、あまり猶予はないからな。
昨日のことだ。
この城に突如魔王を名乗るものが現れた。
奴は正面の門を破壊し、されど他の物は一切壊さずに、そして誰一人殺さずに、アリスのもとに辿り着き、拐っていった。
付き人のアンジェ・ストエラが対抗したのだが力及ばず、アリスの足掻きもまるで効果が無かったようだ。
私は他国に赴いていて、知らせが届いたのは既にアリスが拐われた後だった。
旅の人よ。
頼みがあるのだ。
アリスを取り戻して欲しい。
ーーー旅の人は頷いた。
良いのか?
奴が何処にいるのか、ましてや魔王の城の場所さえ分かっていないのは、君だって承知しているだろう?
ーーーその上で私は引き受けたのです、と旅の人は言う。
そうか、本当に有り難い。
こちらからは、できる限りの援助を約束しよう。
それと、サポーターとしてアンジェ=ストエラをつけよう。
彼女はかなりの手練れだ、きっと役に立つ。
では頼んだぞ、旅の人よ。
必ずやアリスを、我が妹を助けてくれ。
出発は明日の朝、こちらでできる限りのものを用意しておこう。
ーーーこうして次の朝、旅の人はアンジェと共に新たな旅に出るのだった。




