大和学園④
「ま、まぁ確かに俗世を離れておったおぬしにこの話をしてもよくわからんのも無理はないかの…では次にこれからの学園生活についてじゃな。この学園は全寮制になっておる。身分や種族関係なく皆寮に入り過ごしてもらうこととなる…がここは実力主義の学園じゃ、実力によってクラス分けを行いそのクラスによって部屋のグレードや設備などは差をつけさせてもらうがの」
「クラス分け?」
「そうじゃ、クラスは全部で5クラス上からA,B,C,D,Eといった具合じゃの。クラス分けはそのものの持つマナの保有量と質を数値化し合計値によって割り振らせてもらう」
「マナだけでの評価か…」
「当然ほかにも身体能力や各々が使う武器の技量や戦術、力を計るものさしはあるがそれらの多くは魔法で補えてしまう場合がほとんどじゃ…身体能力が低ければ魔法で強化すればいいといった具合にの。じゃからうちではより多くの魔法を使うためのマナの量、より強力な魔法を使うためのマナの質この2つで入学時の評価を決めておる。もちろん入学後は試験やその他の成績を元にクラスは変わるがの…」
そこまで話したスズネは持っていた扇子をどこかへ消してしまうとふと右の手のひらを上に向ける。
するとどうやったのかタブレット型の魔具<アーティファクト>が現れた。
「さて早速ではあるがおぬしのデータも取らせてもらうかの、あのじゃじゃ馬の弟子じゃどんな数字が出るか楽しみじゃの」
「……あー楽しみにしてるとこ申し訳ないんですけどがっかりしますよきっと」
「ふふっ…なに謙遜するでないすぐ終わるでそこでじっとしておれ」
そう言ってタブレット型の魔具をカズマへ向けると魔力のよる光がカズマへと当てられる。
「いや…謙遜とかじゃなくて俺…魔法ほとんど使えないんで」
「……なんじゃと?」
そのわずかな時間で測定を終えた魔具に映し出されたカズマのマナ評価は量、質共に100段階の内の10。クラス評価はE、さらには学年順位200位中200位というおまけ付きだった。
「…質、量ともに10…学年最下位じゃと!?」
「最下位かぁ…わかっちゃいたけどちょっとへこむなぁ…」
自分の目が信じられないとでも言うようにタブレットにかじりつくスズネを余所にカズマは口で言うほどは気にしていないかの様にはははと頭を掻きながら笑った。
「……」
「…あの…学園長?」
しばらくタブレットを凝視していたかと思うと、その後下を向いたまま黙ってしまったスズネとの間に会話がなくなってしまい、気まずくなったカズマは堪らずスズネに話しかける。
「……」
「いや、ほんと期待させて申し訳ないんですけど…魔法は俺ほんとに駄目で…評価方法聞いたときからやばいと思ってたんですけど…」
気まずい空気を埋めるように一方的に話をしていくカズマ、そんな中
「…くくく」
「…えっ?」
「かーかっかっかっ!あのじゃじゃ馬あんな自信満々に突っかかってくるからどんな優秀な弟子送り込んでくるかと思うたら…っぷ…ぶふぅ!最下位じゃと?かーかっかっか!しかもトータル20点なんて初等部の低学年クラスではないか!あやつわしを笑い殺す気か!ひーひっひっひ!」
「いや、さすがに俺怒っていいですかね」
スズネは急に笑い始めカズマが青筋を立てるのも気にせずしばらく止まることはなかった。