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闇色の使者  作者: 細螺蒼
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「父上とのやりとりを思い出しているのか?」


 まさにその通りだったシュリュナは、リィードゥの言葉に過剰に反応してしまう。それを見て、



「よほど、恐怖だったんだねえ」



 とリィードゥは言う。



「お前……」



 何を指して恐怖と言っているのか、シュリュナは理解している。

 絶対君主の王と対面した時の恐怖が今頃なって、浮き彫りになってきたのだろう。



「父上に恐怖するのは当然だよ、シュリュナ。そうやって父上は地獄を支配しているんだ」

「お前は王のように支配できると……?」



 疑問にリィードゥは愚問だというように、言った。


「――そのための儀式だ、シュリュナ」



 ― ―と
















警察署に戻っていた圭太は事件現場に必ず置いてあるタロットカードを並べていた。



「20人で、20枚か……」



 ひとり一枚の割合で置いてあるタロットカード。



「チャレンジャー……運命の探検家」



 片手にタロットカードの本を持ち、カードの意味を読みあげていく圭太。



「魔術師、不可能を可能にする超能力者。

 女教皇、英知と理性の女神。

 女帝、繁栄の優美なる女王。

 皇帝、勇気ある頼もしいリーダー。

 法王、慈愛と秩序の神。

 恋人、愛の国で戯れる男女たち。

 戦車、行くところ無敵な早技師。

 力、最後に笑うファイター。

 隠者、俗世間を離脱した超人。

 運命の輪、チャンスとタイミングの歯車。

 正義、この世のバランスを司る女神。

 吊るされた男、忍耐と努力の達人。

 死神、すべての停止と蘇生を握る神。

 節制、物事の大切さを教えてくれる天使。

 悪魔、束縛と誘惑の甘い罠。

 塔、ハプニングと破壊の警告。

 星、高い理想、希望ある未来。

 月、暗中模索、疑惑。

 太陽、活気と生命エネルギー」



 20枚すべてを読み終わり、圭太は本を閉じる。



「犯人はカードに『何か』を込めているのか……?」



 どんなに考えても、答えが浮かばないので、圭太は一息いれるために、カードを戻し、その部屋から出て行った。




リィードゥは高層ビルの屋上にいたが、立っている場所は一歩、足を踏み出したら、落下するだろうという位置に立っていた。



「残りは審判と世界」



 タロットカードを宙に浮かせながら、リィードゥは呟く。側にシュリュナはいない。



「21人目を目の前で殺したら、どういう反応をしてくれるかな」



 クスクスと笑いながら、リィードゥはそこから消えた。















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