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闇色の使者  作者: 細螺蒼
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「……どうだった?」



 少女にかけられた声音は青年だ。服装を見れば、異国の人間だとわかる。

 まあ、髪は銀色で瞳が翡翠色をしているので、日本人でないことは一目瞭然なのだが。



「少しは恐怖に陥っているかと思ったが……そんな様子がないから、拍子抜けかな」



 先ほどとは違う、どこか寒気すらする雰囲気の少女に、青年は落ち着いたまま「そうか」と答えた。



「支障は?」

「問題ない。あるとすれば、応援を呼ぶことくらいだろう」



 相手は警察だからな、と少女は言う。



「まあ、“人間ごとき”にどうこう出来はしないのだがね」



 くっくっと喉で笑う少女に青年は何も言わない。



「そろそろ、気付くと思うぞ」

「気付いたところで、どうすることも出来ないよ。――もうすぐ“完成”するのだから」



 そう、彼女にとって警察など怖れる存在ではない。

 彼女が怖れるのは“儀式”が“完成”しないことなのだから。

 ――そのために選別して、“殺して”きたのだ。



「そろそろ仕上げといこうかな……」


その言葉に青年は「急だな」と言う。



「どうせ、あの男ともうひとりで完成だ。お前だって、早く戻りたいだろう? ――我らが故郷……“地獄”に」



 言葉を紡ぎながら、少女の髪と瞳の色素が変化する。

 紫紺色の髪と瞳――それは公園で殺人をおこなった人物と同じ色彩。

 連続殺人の犯人がそこには存在していた。



「リードゥ……俺はお前の監視役だ」

「お守りを任されて災難だねえ、シュリュナ」



 嫌味を嫌味で返され、シュリュナは押し黙る。



「そういう所は「王」にそっくりだな」

「そりゃあ、娘だからねえ、似ているさ」



 本当に、そっくりだよ、とシュリュナは内心で呟く。

 同時に、リィードゥの父……地獄(サタ)()と呼ばれている人物との会話を思い出す。

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