予備知識:アニメ「絶響機動シャウティア」について
2040年の春から秋にかけて放送されたロボットアニメ。
※ネタバレではなく、ただの用語説明みたいなものだと思ってくれれば。
□あらすじ
脳内で生まれる「想像」という信号を受信して物質に擬態する「ヒュレ粒子」に満たされた世界。それを扱える人間「ヒュレプレイヤー」の活躍によって、この世界は急速に発展していった。
時は過ぎ、西暦2032年。3年前に地球各地に飛来した隕石群「ドロップ・スターズ」内部で発見された巨大人型兵器「エイグ」を所持した連合軍と反連合組織プレイスによる第3次世界大戦が始まった。
そんな中で平凡な高校生シオン・スレイドは戦闘に巻き込まれ、恐怖に叫ぶ――すると、彼の前に赤いエイグ「シャウティア」が現れる。
叫ぶと強くなるという特殊な機体を駆って彼はプレイスの一隊員として戦い抜いていくが、突として現れた黒いシャウティアとの戦闘を重ねる度にエイグという存在に疑問を持ち始める。
平和になった後、シオンは突然のシャウティアの暴走によって40年後の火星にタイムリープし、シャウティアの謎とエイグの真実を知る。
そして40年前へと戻り、仲間達と共にこの時代の火星へと赴く。
そこにいたのは、この宇宙を支配しているという黒き龍ia。
彼女の作った惑星の中で戦闘を繰り返し、仲間を失いながらシオンは遂にiaの下へと辿りつき、この戦いに終止符を打った。
□ヒュレ粒子・ヒュレ映像
全ての人間の肺で作られ、この世界に満たされた粒子を「ヒュレ粒子」、それを用いて実体化されたものを「ヒュレ映像」という。
実体化したものが映像と言われるのは、「ヒュレ映像映写機(想像と同一の信号にデータを乗せ、空間に信号を放つ装置)」の開発によって機械でも想像の実体化が可能になったことによる。
これまで何人も映写機の小型化に力を注いできたが、エイグに搭載されている超小型映写機ほどにまではならなかった(作中で40年後ではそれほどまでに小型化が成功していることが判明する)。
尚、ヒュレ粒子を用いて想像の実体化が可能な人間は「ヒュレプレイヤー」と呼ばれる。
特に制限は無いが、仮にどこでも〇アを実体化しようとしても、実体化する者がその原理を理解していなければ実体化は不可能。ただのドアが出てくる(鉄や木、リンゴなどの、複雑な性質を持たない個体は誰でも実体化が可能)(強い力を持つ者ならば、想像するものの部分ごとに役割を持たせることで実体化が可能)。
□時流速理論
「時は未来から過去へと1の速さで進むが、すべての存在はこれを2の速さで抵抗して進むことで未来へ進んでいる」という、とある科学者「ティル・アンダーソン」が提唱した理論。
この理論を簡単に説明すると、時の流れる1の速さというのが通常の速さとすれば、2の速さで進むすべての存在は時の流れる速さ1への抵抗で実質1の速さで未来へと進んでいる、ということ。
尚すべての存在に時流速があるのだが、個体によっては2以上だったり2以下だったりもする(だが1より速いのは確か)。寿命の差などはここから由来しているとも言われている。
だが実証する術は無く、ただの「時間の解釈の一つに過ぎない」と言われて人々の記憶に残ることはなかった。だが―――。
□AG
40mを越える巨大人型兵器。動力は酸素。各関節や機体各部にあるコネクターは全て同じ規格であり、自由なカスタマイズが可能。(例:背中に追加スラスターを付ける、ライフルを2丁持たせる)
全エイグに高性能AIが搭載されており、搭乗者の希望で自由に性格を変更することができる。
その操作方法は独特で、最初にコクピットに入った人間に超小型のヒュレ映像映写機を埋め込み、そのエイグに似せた鎧「AGアーマー」を着せることで操作が可能。
「BeAG」システムにより、搭乗者の動きを直接機体の動きにすることができるのだが、その名が示す通りこれは「搭乗者=AG」とするものであり、機体がダメージを受けると搭乗者にもダメージが伝わる(機体の一部が欠損した場合は、映写機によって搭乗者の同部位の機能が停止させられ、視認が不可能になる(見えないだけで存在はしている。センサー類には反応する))。コクピットにいなくとも、映写機が埋め込まれている以上は常にこのシステムが適応されるので戦闘で人間の臓器に当たる部分を攻撃されると、搭乗者は高確率で死んでしまう(治療は一切不可能)。
「AGアーマー」は、装着を念じながら「体から何かしらの音」を出せば、肌の映写機から投影されて装着される。エイグを操作するための端末でもありながら、これを着た状態での戦闘も可能(BeAGシステムによって本物の機体とそう変わらない性能を発揮できる(ただしAGアーマーなしでは推進器による移動などできないため映写機による制限がかかり、機体と全く同じの性能は発揮できない))。
搭乗者がヒュレプレイヤーの場合は、BeAGシステムによって搭乗エイグが想像の実体化をすることが可能。ただし武器を実体化する場合は、武器の構造を頭に入れておくことが条件であるので、3D画像データなどで補助をする必要がある。弾数制の武器は実体化し続ければ実質無限。
実体化させた武器を使わず、元々世界に存在する武器を使う場合は専用の武器を作ることが必要な上エイグの認証が必要であり、かなり手間がかかる。
この正体は、40年後の火星で稼働しているはずだったアンドロイドの試作型である。とりあえず巨大に作って、だんだん小さくしていこうという計画のはずだったのだが、iaに目を付けられて改造されてしまい、現在の戦争を起こす原因となってしまう。
ちなみに、アンドロイドの動力は太陽光発電による電力だった。
尚、「戦艦型」が4隻だけ存在する。戦艦型にはBeAGシステムは搭載されていないが、最初に乗った人間の支配下に置かれる。火器管制なども全て一人で行うが、別で艦橋も存在しマニュアルでの操作も可能。特に数もないので、一括してエイグと呼ばれている。
プレイス側のエイグは「ヴェルク」、連合側のエイグは「ツォイク」と呼ばれている。
□シャウトエネルギー
人間の声に含まれる音エネルギーの一種。音の大きさとエネルギーの発生量は比例しており、大きな声で叫べばその分多くのエネルギーが発生する。常に微振動していることが特徴。
作中では「戦いの叫び」と呼ばれる強い意志のこもった叫びには、因果律に干渉し、事象を起こす為の疑似的な要因になり不可能を可能に変えるエネルギーが含まれている(戦場での叫びが最も意志が強いため、戦いの叫びと呼ばれている)。シャウティアの搭乗者にはシャウトエネルギーの「色」が見えるという。
尚、普通に叫ぶとエネルギーが全身を包み、身体能力が向上する程度。所謂シャウト効果である。
主人公機・シャウティアはこれを動力源としており、推進器にはこれを利用した一種のタイムマシンが搭載されている。また水のように気体・液体・固体のような三つの状態を有し、これを硬化して武器にしたり、シャウト効果を操作して機体の一部を強化したりできる。詳細は後述。
□シャウティア
本作の主人公機。エイグとは似て非なる機体で、人間の声に含まれる大量の音エネルギー「シャウトエネルギー」を操ることができる機体。
基本的な部分はエイグとほぼ同一であるため、BeAGシステムやヒュレプレイヤーの能力を利用して戦闘することができる。しかしこの機体の本質はそこではなく、「シャウトシステム」にある。
第一の機能として、搭乗者の声からシャウトエネルギーを抽出し、ヴァイブレーションエンジンによって増幅して動力とするものがある。酸素が無ければ動かないエイグとは違い、搭乗者が声を出せる限り半永久的に稼働が可能(裏を返せば声が出なければ貯蓄した分で動くしかなく、尽きれば当然無力化する)。またこれを機体表面に発することで、バリアとカラーリングの役目を果たしている。
第二の機能として、搭乗者の「戦いの叫び」に反応し、シャウトエネルギーによる機体の強化・時流速の操作が可能になるものがある。これを利用し、超高速戦闘やタイムトラベルなどが可能(ただし制御可能な時流速は限られており、規定値を越えるとタイムトリップしてしまう)(時流速を上げればその分早く未来へ進むことができ(やりすぎると寿命が来て死ぬ)、下げれば過去へと戻ることができる)(ただし、シャウトエネルギーに満たされている範囲のみに適応される)。この機能は推進器内部に存在する、時流速を応用したものでシャウトスラスターと呼ばれる(シャウトエネルギー単体では推進不可能なのだが、シャウティアの推進器からは何かが出ていた描写があった。しかしそれが何なのかは作中で語られることはなかった)
第三の機能として、自衛プログラムの「Schrei des Herzens(ドイツ語で心の叫びの意)」がある。略称はSDHまたはシュライ。これは搭乗者が意識不明になった場合、機体内部に貯蓄されたエネルギーを全て攻撃に回して周辺の敵を一掃、安全を確保した後に全機能を停止するものである。作中終盤ではシオンが自分の意思でこれを起動できていたことから、意識不明にならなくとも起動が可能であることが判明した。
この機体の搭乗者になった人間はBeAGシステムによってシャウティアとなり、搭乗者単体での時流速の増減が可能。
色んな意味でとんでもない機体となっているが、黒幕iaとの戦いで全壊し、シオンを残してすべての役目を終え宇宙の彼方に消えていった(何故かシオンは無傷のまま)。
アニメの放送が終わった後でも、様々な謎が残ったままである。
□連合軍
敵組織。落ちてきたエイグの大半を所持している。中国やロシアをはじめとする国連加盟国が基幹となっており、世界の大半も連合軍の支配下にある。
世界中で活動するテロ組織「プレイス」と戦争中――その実態は、世界中で破壊活動を繰り返している非人道的な組織である。
戦艦型エイグ全4隻を所持している。
□反連合組織プレイス
連合軍と戦争中のテロ組織。日本に本拠地を置き、連合軍と比べれば少ないが、それでも多くのエイグを所持している。
謎に包まれたリーダー「シュタール」の命令で行動し、連合軍の支配下にある国の解放・制圧を行っている。
元一般人の兵士が多く、エイグのパイロットになるのはそのほんの一部だけ。
組織の名前は「帰る場所」を意味している。
□ia
この世界を支配しているという、黒い龍。
惑星を作り出すなど奇想天外な行動を普通に行ったりと、その言葉は嘘ではないように思える。
シオンが瞬殺してしまったので、こちらも謎が残ったままである。
想像を実体化させていることから、ヒュレプレイヤーであると思われる。