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更に脱落者続出

 風雲た○し城に入って早々にリザ子ら4人を失ってしまった勇者一行。次に待つのは大砲玉が飛んでくるつり橋かそれともカラオケか、はたまた浮き石地獄か!?



……全ては殿の裁量です。(そのまんまH氏談)






単調な道を進んだ先には、また不可思議なドーム状あるいはかまくらの中のような部屋が現れた。



俺たちが、その部屋に全員入り終えると、ズシンと言う音と共に背後にあった道が壁に変わった……つまり退路を封じられたわけだが、戻ったところで意味はないからどーでもいい。ほっといて俺は前方に扉に近づき開けようとするが……


「無理だな……掴むところも無いしどうにもならねえ」



「ワシの魔法で強引に開けて……ともいかんじゃろうな。さっきの流れからして強引な手法は通じまい」


「そうですね賢者様。開ける方法を探しましょう」


俺が周囲を見回すと、壁ぎわにびっしりと小型の魔方陣のようなものが描かれている。



「母さん、これは……」



「おそらく何かを召喚するためのものだろうな」



ラキシスは腕組みをして愉快そうに笑った。



「いいね……楽しませてくれるものだよ。今回も何らかの犠牲が必要になるのだろうね」



「軽々しく言うな。お前がその犠牲者になるかもしれないってのに」



「その時はその時さ……さて、やっとお出ましのようだよ?」



ラキシスがそう言ったその瞬間、全ての魔方陣は光り輝きはじめ、そしてそこからスッと、一斉に、たくさんのおじさんが現れた。例の、リファに立ちふさがり倒され続けたおじさんだ。顔はみんな同じだか、服装や髪型はことなるおじさんさんたちは一斉にこちらを見る。



「何よ、この変態オヤジどもは!? 変な目で見ないでよね! あんま有害視線浴びせるとセクハラで訴えるわよ!! 賠償金一億なんだからね!!」



「クロノ、気を引き締めろ。ここでは法律なんて意味をなさない……こいつらは、おそらく、容赦なく俺たちを襲ってくるぞ」



「えっ!?」



ツンデレが目を丸くしたのも束の間、おじさんたちは一斉に飛び掛かってきた。見るには滑稽な光景だが当事者としてはたまったもんじゃない。



「ちょっと! ひっぱんないでよクソオヤジ!! やめてよド変態!! 何か息がニンニク臭いし!! ダメー!」



おじさんたちは明らかにクロノを優先して狙い、大勢でしがみついて動きを止めてチュッチュペロペロセクハラ大作戦をしようとしたので、俺は魔王の城で手に入れたダガーで素早い連続攻撃を繰り出し魔手を振り払う。



 「大丈夫か!? おかしなところは!?」



 「べ、別に……心配いらないわよ!」



「いいか、遠慮するな! こいつらはデータだ! 全力でぶった切れっ!」



「わ、わかったよ!」



手足が自由になったツンデレは手斧を華麗に振り回し伯父さんたちをめった切りにした。切られたおじさんたちは四角いドットの固まりとなり消え去る……そしてすぐに、魔法陣からおじさんがあらわれた! やられたおじさんと同数だけ出てきたからプラマイゼロって感じだ。俺たちは、剣と魔法を駆使して増援に立ち向かうものの……



「やべえ! 倒しても倒しても出てくんのか!?」


「みたいだね。多分無限に出てくるんじゃないかな」



 ラキシスは相変わらず淡泊に言い、おじさんを手斧で確実にしとめていく。ここまで冷静さを保てるとはさすが黒幕だ。それを見てると、俺も冷静さを保てる


「どーするんだ? キリが無ぇぞ! おっさん達は大して強くないが、このままじゃ体力とか魔力を削られてジリ貧じゃねえか!?」



「ふむ、そうだね……まあ、そういう事かな?」



「え、もう名案浮かんだの!?」



「大体わかったよ。僕のすべき事もね」



そう言うと、ラキシスは斧を下ろした。そして、トツトツとおじさん達に歩み寄る。



「お前、何をするつもりだ!?」



「まあ、見てみたまえ」



ラキシスの体におじさん達がどんどんしがみつく。そしていっせいに彼の体を持ち上げた。



「ななっ!?」



「ようは、戦わなければいいのさ。あとは彼らに身を任せるだけ」



「けど、それだとお前はどうなっちまうかわからねぇぞ!? お前みたいなヤツがここで退場するのに納得できるのかよ!?」



「フフッ、構わないよ。ここで君とクロノに同じことをさせるわけにはいかないからね」



「お前……」何か裏がありそうだが、一体何を考えているんだろうか?



「じゃあ、あとは任せたよ」



そう言って含んだ笑みを浮かべるラキシスは、おじさんたちに御輿のようにわいわい担がれて壁の方に運ばれていく。そしておじさんともども壁にすっと吸い込まれて消えた。そのあとまた沢山のおじさんが召喚され、ドオンと音を立て何かが動いたような振動が襲った。



「ラキシス……」



「なるほど、押して駄目なら引いてみろ、か」



「賢者様!?」



気付けば賢者様もおじさんたちにへばりつかれ持ち上げられていた。どうやら同じことをするらしい。


「いけません! どうなるかわかんないですよ?」


 「構わん。あの男は野心を感じるが愚かではない……ここはわしもこうするべきなのじゃ」



「しかし……」



「案ずるな。ただで死ぬつもりも無い。それに、ワシは元々リファ様に会う資格は無いのじゃ。虚偽を信じリファ様を疑ったこの愚かな老人にはな」



「賢者様!」



「アシュレイよ! リファ様を、世界を救うのじゃ! それはお前しかできぬ!」



「賢者さまぁ!!」



おじさんにつれられて頭の良いおじいさんは壁の中にに消えた。そして、また増援と謎の音と振動が響き渡るが扉は開かない。



「まだ犠牲が必要だってのか!?」



「息子よ、次は私がやる!」



「母さん!? それはいろんな意味でやばくないか? 女性がおじさんに連れられていくってNTRな香りがしするんですけど!?」



「他をいかせるわけにはいくまい!」



確かに俺以外みんな女性だ。俺が犠牲になれないとなると誰かかやらなければならない。



「エクセーダ様!」



おじさんが取り付きはじめた母さんに向けてリリエンタールが神弓を構える。


「私に構うな!」



「しかし……!」



「すでに弓聖となったお前だ、私に勝とも劣るまい」



「そんな恐れ多い事を! 私はあなたには遠く及びません!」



「謙遜するな! いいか、2人を頼むぞ! かならず目的の場所まで送り届けろ!」



リリエンタールは弓を下ろした。母さんは凛々しくも優しく微笑み、俺の方を見る。


「息子よ……いや、勇者アシュレイよ! リファをの心を救え! 彼女の瞳に写る穢れた血の色が真実で無いことを証明するのだ!」



「母さん!」



「あとは、頼む!!」



「かあさぁぁぁん!!」



ハイレグな勇者はおじさんに連れられて壁へと消えた……って、何か卑猥な響きだな……実際この後母さんがおじさんたちに(。≧∇≦。)な事されないかすごく心配だ。しかし、今はそうも言っていられない。


ドガアッ!



3人の犠牲をもって、ついに扉は開いた。そして同時に、おじさんたちは全てふっと消えてしまった。たくさんいた面子も気付けばたった3人……しかも、ラキシスに賢者様に母さんという知恵武勇共に頼りになる面子を欠いてしまったのは俺にとって心身共に大きな痛手だ。クロノも同じように気持ちなのだろう。ぎゅうっと両手を握りしめ、それを見つめている。



「……お兄様も、他のみんなもカッコつけすぎ!」


 「勘弁してやんなよ。花道を譲ってくれたんだからさ」



「そんなの、わかってるよ! だけど、何か、悔しいじゃない……私は決断力の無い臆病者みたいで」



「んなことねえだろ。お前の今までやってきた事は臆病者にはできん。第一、お前は俺を助けてくれたじゃないかよ? あんとき俺が死んでたら世界消滅確定だったわけだし」


「ふ、ふん……あんたに誉められるとなんかムズかゆいんですけど……」



その言葉は真意ではなさそうだ。顔が赤くなっているあたり照れているのだろう。そんなツンデレに俺は……



「クロノ……あのさ、この際言っとくが……」



「何よ!?」



「俺はだな……実は……」


「急にもそもそしてじれったいわね!! そんなのに付き合ってる暇は無いの!! さっさと行くわよ……まさかあんたこんなタイミングで私のスカートの中見てたんじゃないわよね!?」



「ち、違うって! 今日はえらいの穿いてるとは思うが、そうじゃない!」



「やっぱり見てるんじゃないのこのクソ外道勇者っ!!」



「ゲボブッ!?」



 思いっきり股間を蹴あげられて俺の相棒は危篤状態に陥った。た……玉が中に入っちゃったかも……やべえ男の子恒例のめっちゃお腹痛い現象が……ウワタタ。



「さあ、先を急ぎましょう」



「そうだね、リリエンタール。こんなヤツは、どーせほっといてもついてくるしね!」



あんまりなお言葉を投げつけて2人は歩きだしたので、急所を押さえながら後に続く。



畜生……言いそびれちまったよ……やっばり言えなかった……俺にはやっぱりリファがいる……だからお前とは……お前にはそうするしかなかったし、そうしてもらうしかなかった……クロノ、俺もお前もお互い不器用な人種だよな……そう思うだろ……?




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