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ぽかーんと補完します


いよいよセーフティモードに侵入したアシュレイ。果たして謎は解け真実が明らかになるのでしょーか!? 


ならなかったら筆者の責任ですね……え、罰ゲームは「若本さんのモノマネ」ですか? やってもいいですが後悔しても知りませんよククク……



銀色の空間はすぐに終りを告げた。抜けた先にあったのは、浮遊真四角のカラフルなタイルが足場になった底なしの空間。天井は薄暗い夏の夜空のようで、星のかわり数字やアルファベットや記号が明滅し、それがたまに流星のように流れていく。何とも奇妙な空間だ。



タイルは直線上に伸びているため迷うことは無い。ただ、俺はその一本道を進んだ。特に何の罠も試練も待っておらず、ただただ道が続くだけっだ……もっとも、こんなところでも色々たついたって文字数が増えるだけで大してアツい展開になるとも思えないから妥当であると言えよう。ちなみに、こんなスムーズに侵入進行できて良いのか? と思った方がいたら思い出してみてください。この空間は「俺以外の奴らは入ったら即アウト」なんです。だから実は対策十分なんですよ〜リファみたいなチートまで大丈夫かは分からんけど、そこら辺の魔王ごときでは多分どうにもならないでしょう。



その親切設計は続き、終点にもあっさりと辿り着いた。そこは十七畳くらいの広さがあり、足場は今までとは違い全て半透明のガラスのような素材で出来ている。下を向くと底無しの奈落がみえるので、別に高所恐怖症じゃない俺でもお尻がムズムズとくすぐったくなる。



そのスペースの中心には、大きな地球儀のような物体が、くるくると時計まわりに回っている。電子的で昭和のカラーテレビ並に画像が荒いため俺の住む世界の縮図なのかはたまた全く関係ないものなのかもわからない。



「約束を、守ってくれたようですね」



頭上から声が聞こえた。夢の中のものと全く同じ声だ。おれが天を見上げると、スカートをヒラヒラとわたつかせ何者かが降りてくる……とりあえず、視点が下からと言うのもあるがパンティーが丸見えだ。おパンツ道師範である俺からしてみるともう少し自重して欲しい部分はあるが、周りの不可思議な風景と煌めくピンクハイレグオパンティーの組み合わせはもはや幻想的な領域に達しているため80点はあげてもよかろうと思う。それはさておき……



「お前……」



「いつかはここに訪れる事になる。それは、わかっていました」



「フィーちゃん……なのか?」



その姿は、フィーセルトそのものだった。忘れてる人がいるかもしれないので説明しておくが、彼女はギルド「ヤンデ連盟」のメンバーで、セトナやクロノの仲間。基本的に無口で、口を開けば意味不明な単語ばかりを吐く会話が成り立たない奴であり、ピンクのロングヘアーに端正な顔立ちなのに他の奴らに紛れて存在感は薄い……ラキシスに会ったあたりからは一言も言葉を発しておらず完全な空気状態だった。(ジェリアも似たトコはあるが)



「お前、セトナと行動していたんじゃ……それに、まともな事を喋ってるし……」



「勘違いなさらないでください。確かに見た(グラフィック)は同じですが、私はあなたの知るフィーセルトではありません」



「じゃあ、何なんだ?」



「私の名は<コードブロッカー>。この<セーフティモード>の管理者にして、かつて緊急制御プログラムAIDS<アンチ・イレギュラー・デバッグ・システム>だった物。今は監視者<ガーディアーネ>の統率者(リードマスター)も兼ねています」



「うわーまた固有名詞の羅列ですか。わかりづらいことこの上無いんでわかりやすく説明してくんさい」


「あなたの住む世界テラストラは、本来は全てが電気的数式信号により構成される、循環し固定された運命と循環し固定された意思のみの電脳媒体にすぎなかった……」



「えーと、わかりにくいんですが、要するにこの世界はゲームだったと言いたい訳か」




「至極厳密に言えば違いますが、そういう事になります」



「そっか。ま、世界観とか人物とかどー考えてもロープレとかラノベっぽいから、その事実を聞いても大して驚かないよ……で、なんでその無機質なゲーム世界が今みたいになったんだ?」



「それは、改造コードです」



「ん……? それって確か、特殊な機械等を使って不正にプログラムを改ざんして、ゲームの進行を楽にしたり、通常では手に入らないアイテムをゲットしたり、ステータスをチート化したりする、世の中で絶対にやってはいけない禁止行為の1つだよな」


「はい、この世界が自立する前……<テラスファンタジスタ・ツヴァイ>ゲームソフトであり人気のロールプレイングゲームの続編でした。当時、携帯ゲーム機やスマホアプリの波を受け押され気味となっていた家庭用据置き機用ゲームにおいて累計100万本を売り上げたと言うのはかなり驚異的なもので、ファ○通でもオール10で殿堂入プラチナだったそうです」



「へー、かなりの名作だったんだな! 何か嬉しいぜ。んで、そのゲームの主人公はやっぱり俺だったわけか?」



「主人公は10人いて選択式でした。あなたがその1人なのは確かですが、知っているあたりだと、クロノや私と同型のフィーセルト、ベルンハルトも主人公にすることができました」



「あのツンデレ、アツい奴だとは思ってたが主役候補だったのか……フィーちゃんは、あの性格で主役が務まるとは思えないんだが……ああ、でもプレイヤーキャラってあんまり喋らないから大丈夫なのか」



ちなみに、読者の皆さんは知らないと思うので説明しておくが、最後に名前が出てきたベルンハルトさんはアルタロス王国の戦士長で、俺の尊敬する人物の一人なのだが、立場上表立って戦うことも殆ど無いし、かなり渋くてダンディな人だから、主役候補だったのはかなり意外だ。



「持ち主であったプレイヤーはあなたを主人公として選択し、ゲームを進行しました。そして、その中で禁忌的操作を行った……それは、データ上でしか存在しなかったリファを使用可能にしたことです」



「リファがデータだけの存在? つまりは、実際は登場しないってことか」



「そうです。なぜリファがオミットされたのかについては、さすがの私にも明確わかりません。容量不足等色々な説も考えられますが、有力なのは、リファ自体にバグを引き起こす作用がありゲームに悪影響を及ぼし最悪破壊する可能性があったためため封印したのではないかと思います」



「ふーん、だとしたら何でリファ消さなかったんだろうな? わざわざそんな危ないもん残さなくてもいい気がするが」



「作り手にリファに対しらかの愛情があったか、それとも単なる遊び心か……ゲームクリエイターの中には、こういったバグをあえて残したり、意図的に仕組む事もあるようですから」



「なるほどね。で、誰だか知らんアホタンプレーヤーはそのクリエイターのこっそり仕掛けた爆弾を取り出したってわけか」



「そうなりますね。そして、その結果は想像を超える奇跡的とも絶望的とも言えるパラドックスだった……リファの降臨により世界は自立し、すべてのキャラクターに心が生まれた。過去、現在、未来が生まれたのもこの時です」



「ん、現在と未来はともかく過去までその時生まれたってのか。じゃあ、俺の昔の記憶は全部創りだされだものだっていうのか?」


「全部ではありません。あなたがアルタロス国王に初めて面会した時からは直接の経験となっています」


「うーん、じゃあ幼少時代の思い出とかはニセモノってわけか」



「いえ、それは違います。経験してはいませんが、後発しただけであって紛れもなくそれはあなたの過去です。」



「むぅ一応本物ではあるわけか。過去が後から発生したって言うのは何かモヤモヤする事実だな……」


「勿論、あなたの過去だけではありません。テラストラの全てのものの過去はリファと……そしてあなたから発生したのです」



「ほひっ? 俺も関わってんの?」



「本来は機能しないリファのデータを無理やり引き出した事により、発生した異常……俗に言うバグはプレイヤーキャラであるあなたにも発生した。その結果、リファとあなたを起点として過去・現在・未来……が発生した。アシュレイ、あなたは<時を創りし(タイム・クリエイター)>なのです。あなた達が<ワールド・インディペンデント>を引き起こした」


「なんか超展開超事実で目眩がしてきたんですけど……つまり、だいたい分かりやすくまとめると、実質的にこの世界を作ったのは俺とリファってことなのか」



「はい。そうなるに至った詳細についてはこの私も分かりかねますがおそらくはプレイヤーも予想だにしなかった奇跡の類でありましょう。しかも世界が時を持った時の副産物として外世界……地球からの物的或いは非物的<流入>も生じています」



「またわからんワードキタコレ」



「いまのあなたの発言も<流入>です。テラストラの全ての者は地球からの情報が自動的に脳内にインプットされるように出来ているのです」


「確かに、俺は今まで世界観を無視したぶち壊し発言をしてきたが、それはただの場面代替ってだけじゃなかったのか! いや、ちゃんと理由があったなんて意外だぜ」



「すべてのものに意味は存在する……あなたが、リファから逃げているとき、たくさんのおじさんやおじいさん等が現れ、リファに立ちふさがったでしょう?」



「ななっ!? あれはただの変態じゃないのか!?」



「彼らは<ファイアウォール>。この世界がデータの集合体であったころから存在する防衛制御システムです。 この世界での危険因子を駆除するために出現し、標的が消滅するまでは無限に出現し続けます」



「そういやあのおっさん達、つの丸先生の競馬漫画並みにみんな同じ顔してたな……リファがいる限り無限にあんなのが出てくるって考えるとある意味笑えるがある意味キモいな」



「彼らは全力で目標を止めようとします、しかし残念ながら彼らに今のリファを止めることはできません」



「そんな緊急プログラムが発動するくらいだし、やっぱりリファは相当ほっとけない存在ってことなわけか」



「はい。早くリファを止めなければ、世界はいずれ滅ぶでしょう」



「ふーん、ってえええぇぇれれれ!? い、今なんと申しましたかデバッグモードさん!? もっう一度お願いします」



「このままリファを放置すれば、テラストラは滅亡します。以上」



「きゃはーーーー!!」



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