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フォーリン・ブレイバー


 賢者マーレガット様の元にやっとのことでたどり着いたアシュレイ。遂にリファの正体と衝撃の事実が明らかになる……!?




「なななな!! リファが、勇者だって!?」



「……アシュレイ、<三源聖>の事はおぬしもようく知っておるだろう?」



「はい。俺のご先祖様の<勇者王>エルリード、<至誠者>メルツァイン、アルタロス国の創設者<賢帝>アルタリオスの3人ことですよね? 最強の勇者として名高いですから忘れようもありません」



「実はな……もう一人、おったのじゃ。当時、彼らと肩を並べる、いや、それ以上の実力をもった勇者がな……」



「それが、リファだとおっしゃるのですか?」 「そうじゃ<黎華月天>のリファ……世界で最初の女勇者にして<天照七征剣>の使い手……」



「あまてらすひちせいけん……そう言えばリファが魔王を倒すときに使った技もあまてらすなんとかっでしたね」



「むぅ……<天照七征剣>はあのお方しか扱えぬ相手の全ての能力や魔法効果を打ち消す究極の剣技じゃ……例え魔王の絶対的堅固な防御壁(バリア)とて容易に切り裂いてしまうじゃろう」



「なるほど、1つ謎が解けたぜ! ダイムライガのバリアをあっさり無効化できたのはそういうことだったんだな! じゃあ、その技を覚えれば聖剣を覚醒させる必要が無いってことか!」



「単純に言えばそうなるが、あのお方にしか使えぬと言っておろうが。教えたくても、あれは先天的に身についていたものであるから教えられないとリファ様自身が申しておった」


「ようは固有技ってやつですねーすっげー残念だわそれ」



「お主のご先祖も、魔王討伐の時にはリファ様の力に随分助けられたんじゃよ。こうして子孫が残せたのはあの方のおかげなのじゃ……しかし、天照を使ったと言うことは、やはり本当のリファ様であると言うことか……」



「バリすごいんですねアイツ。けど、不思議ですね……何でそんな超すごい勇者が歴史上からバッサリ消されてるんですか?」



「それはな、堕ちたからじゃよ」



「は?」



賢者様は視線を落とし、ため息をついた。ここまで鬱状態なエロジジイを見るは初めてだ。



「背徳者アプラムト……知っているじゃろう?」



「ああ、ウチのご先祖様の仲間だったのに魔王の誘惑に負けて寝返った悪い男ですね?」



「左様……だが、実はあの人物は、本当は存在しない。リファ様の事を隠匿するために創りだされた架空の存在なのじゃ」



「え、ウソなんですか!! 嘘の情報流したらどっかの週刊誌みたいに訴えられますよ!?」





「ふぉ。無駄な心配するな。ワシを訴えるような事をすれば大っ変な目に遭うだけじゃからの……それに、完全なウソとは言い切れぬ。あの話はリファ様の実際の行動が元になっているのだからな」



「じゃあ……リファがご先祖様を裏切ったって事ですか!?」



「正確には少し違うがな……事は、彼女が他の3人の勇者と剣の巫女を訪ねた時に起こった」



「ん……? 覚醒しなくても魔王が倒せるのに会いに行ったのか?」



「目的はリファ自身では無く、エルリードの持っていたファールデクスを覚醒させるため……つまり、お前と同じ事をしようとしたのじゃよ」



「ご先祖様も? スゲー勇者だからてっきり聖剣くらいすぐに覚醒できたのかと思ってたがそうでもなかったんですね……」



「まあ、それまで無覚醒で魔王クラスの大物を倒していたのじゃから、エルリード様が凄いことは間違いないんじゃがな……しかし、あの時はそれ以上の力が必要だったんじゃ。当時いや歴史上最強クラスと言われる魔王ザムダルギアを倒すには流石の四勇者も力不足を感じていたんじゃよ」



「魔王の中でも指折りですからね。ご先祖様が苦闘の末倒したって聞いていますが、その時はやはり、覚醒した聖剣を使ったんですね」



 「そうじゃ。予定どおり、剣の巫女と出会った4人の勇者は、ファールデクス覚醒を覚醒させることには成功した……じゃが、その時、事件は起こったのじゃ……」



「それは一体……」



「リファ様は、覚醒したファールデクスを手に取ると、当時の剣の巫女エリアナを斬殺し、エルリードに刃を向けた……!」



「な!? リファが剣の巫女を!? 何故ですか!? どうしてですか?」



「わからぬ……ワシとて今だに信じられんのじゃ。あの優しく正義感に二満ちたリファ様がそんな恐ろしい事をしたなどと……魔に墜ち狂気に走るなどとは到底思えぬ……しかし、エルリード様達は確かにそうワシに告げたのじゃ……」



 絞りだすように、沈痛さで裏返りそうな声で離す賢者様。どうやらただならぬ関係にあったようだ。



「で、リファはそのあとどうなったんだよ!?」 「エルリード様の手によって倒されたそうじゃ……当時愛し合う仲であったリファ様の命を自らの手で奪うのはさぞかし辛い事であったろう。あの時の憔悴しきった顔は今でも忘れられん」



「……」



予想外の事実に俺は一時言葉を失った。リファが俺のご先祖様の恋人だったとは、そして、リファはそのご先祖様に殺されたなんて……



「それが、どこで漏れたか世間に広がり、当時の人々はあの方の事を<巫女殺しのリファ><堕勇者>などと罵った。ワシにはそれが耐えられなくての……あのような架空の人物と事件を捏造し、徐々に浸透させたのじゃ。リファ様の名誉尊厳を守るためにな……結果、世間から忘れ去られてしまったが、それでよかった。そっとしてあげる事があの方にとって一番なのじゃから」


「…………けど、そのリファは生きていた。こんなに時が流れたのに、俺よりも年下のような少女の姿で」



「おそらくそれは、あの頃のリファ様のままなのじゃろうな……だとすると、尚更に解せぬ。エルリード様はあの時、亡骸の一部を持ち帰ったのじゃ。それは、確かに、三日月の形をしたアザがあるリファ様の右腕じゃった」



「……アザ? うーん、そんなのなかったような気がするんですがね。そもそも、俺の知ってるリファは両手ともにちゃんとありますよ?」


「むむむ……」



賢者様は腕を組み唸る。とりあえず、今までの内容をわかりやすくまとめてみると……遥か昔に伝説の勇者だったリファは、謎の理由で剣の巫女を殺し俺のご先祖様に刃を向けると言う暴挙に出た。そして、恋人であったご先祖様の手に掛かって絶命し、賢者様の計らいもあって歴史からは名を消した。しかし、何らかの理由でリファは遥かなる時を超えて俺の前に現れ、剣の巫女を名乗り近づいた……その行動理由の全てが、現時点では謎に包まれている。そして、その謎は世界一の知識を持つ賢者マーレガット様すら頭を抱えるのだから相当な難題と言えよう。


「一体、どうすれば良いのでしょうか?」



「何が何なのか皆目見当もつかぬからな……そうなると、あれに賭けてみるしかあるまいて」



「え!? もしかして、何か策があるんですか!?」



「うむ……あの場所なら……世界のどこかに有ると言う、世界の真実が眠る場所<セーフティモード>ならばその答えを知ることができるかもしれぬ」




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