Treasures
ヤンデ連盟のリーダーであるセトナには、リファをなんとかできる秘策があるらしいが果たしてそれは何なのか……
ちなみに主人公の勇者君は本当に美青(声または少)年(男の娘寸前)です。設定画が見たい方はこちらまでお電話ください→(090)3(^ε^)-(^3^)/
「やー、今日もいい日和ですなあ」
高台から、地平に下る青空を見ながらセトナは言う。心地よい涼風が身体を撫る。少女達の色鮮やかな髪は美しく波打っていた。俺はそれに見惚れたが、表情には出さず、平然とした顔でセトナにこう語りかけた。
「お前、今日はどんなパンツを履いてるんだ?」
青髪の少女もまた、俺の言葉に動揺もせず爽やかな笑顔を見せる。
「あー、今日は勝負の日だからね! 赤レースのヒラヒラにしてみちゃったよ!」
「ふーん」
「何よ〜聞いといてその反応は。お姉ちゃんイカッチャウゾ?」
「まだまだ甘いぜ、セトナ。せいぜいパンティ道は3級ってとこだな」
「ちぇーはオパンツ師範は厳しいですねー」
「ウォホン!」
「では師範殿、次はクロノのパンティーを判定していただきたいですー」
「任せ給え」
セクハラまがいの話を振られただけで、フォーステイルツンデレは顔を真っ赤にして怒った。
「あんた達、何考えてんのよ!! バッカじゃないの!? 誰が教えるかこのド変態師弟!!」
「まあ、よいではないかよいではないか〜」
俺がエロ男ぶって、手をクニクニしながら近寄ろうとすると、クロノは猫のようにピュッと逃げた。セトナはそれを見てニヒヒと笑う。
「アシュ君、クロノのおパンティーは白ですぜ」
「なぬ、純白とな?」
「ええ、お代官様。一点の曇りもない、晴天霹靂の真っ白なシルク製でございます」
「あの服装、あの絶対領域の内に白いパンティーだと……それは実にシンプルだがいやしかし、それは神の仕掛けし黄金率。例えるなら聖杯に注いだ神酒の甘美なる味わいの如き至高の組み合わせではないか! 是非とも拝みたいものだ」
「ええ、ではではさっそく……はべし!?」
度を越した悪ふざけに、遂に俺とセトナに向けてクロノのゲンコツが飛んできたのであった。
「いい加減にしろ!」
「すんまへん」
「すんましぇーん」
「ぜったい反省してないわよねあんた達……まったく、そろそろ本題に入りなさいよ!」
プンスカするクロノをまたも放置し、俺はセトナに話し掛ける。パンティー以外に気になる事があるのだ。
「あのさ、ちょっとタイミングが遅い気もするが、聞いていいか?」
「なに? アシュ君」
「お前の持ってるその槍は何だ? えらく装飾が凝ってカッコいいんだけど……市販品じゃないよなそれ……」
「あー、これね」
セトナは槍を一度だけ流し見ると、俺に視線を向けサラッと言い放つ。
「これはグングニルだよ」
「あー、そうなんだ……って、それグングニルなの!? マジなの!?」
「そだよ。ショーシンショーメイのマジグングニル! どう、驚いた?」
「そだよじゃねーよ、驚くに決まってんだろ!! 伝説の神オーディンが持っていたとされる、聖剣に匹敵する力を持つ神器の1つじゃねーか!! ……ねえホントは、嘘なんでしょ……いまならレプリカなことバラしても怒んないから正直に言いたまえ」
「モノホンだって言ってじゃーん! 何なら、な○でも鑑定団にでも出してみようか? イイシゴトシテマスネーって絶対言われるからさ」
「何やら凄い自信だな……じゃあ、他もそうだったりして」
他の子達も、それぞれただならぬ見た目をした武器を持っている。アーたんは金色のハンマー、クロノは黒曜石みたいな色の手斧、エディアさんは真っ赤な鞭、フィーちゃんは鳳凰か何かの顔がついた杖だ。
「当り前じゃないですかぁ。1つずつ丁寧に紹介すると、アータンのは<ミョルニル>でしょ? クロノのは<ニンギルス・レフト>、エディアのは<紅蓮打神鞭>、フィーちゃんのは<聖杖アスクレピオス>……全部神器でーす!」
「マジかよ!? それが本当なら、これから聖剣と神器が一同に会することなるのか……それって聖冠戦争並みの一大事のような気がする……」
「まーね! でも、中々期待できると思わない?」
「うーむ……」
こいつらの素性がますますわからなくなってきた。が、同時に期待も膨らむ……まさか、ホントに何とかできるのか? そのグングニルが本物なら……確実に相手を貫くと大袈裟に言われる神器ならば……
「じゃ、そろそろ本題に入ろうね!」
「ああ……セトナ、一体これから何をするつもりなんだ? 秘策ってやつがホントーにあるんだよな?」 「まーね。やること自体は至極簡単! まず、アシュ君が街の外に出にリファちゃんをおびき寄せます!」
「おいおい、俺は囮かよ……」
「おびき寄せるだけで、あとは逃げるなり隠れるなりすれば良いんだから、今まで逃げてきたアシュ君には難しい事じゃないっしょ?」
「まあ、そうだが……」
「んで、アシュ君が隠れた後に私達がリファちゃんに近寄り話し掛けます!」
「おいおい……下手に行く手を阻むとヌッ殺されるって言ってるだろ?」
「そこは、上手くやるから安心してよ。女の子同士だし、敵意なしで普通に接すればきっと向こうもみだりに手を出してこないはずだよ」
「まあ、そうだけど」
「あとは、お姉ちゃんの話術やらなんやらで何とかする! 以上説明終わり」
「そんだけ!? しかも最後の方がスゲー大雑把な気がするんですけど……大丈夫か、その作戦?」
任せてよ!と自信と希望に満ちあふれた目をして言セトナは言い返してきたので、これ以上俺は否定できなかった。いや、止めちゃいけない気がした。
「わかった……ただ、ダメだったらすぐ逃げろよ。俺もサポートしてやるからさ」
「ありがと、アシュ君! お姉ちゃん頑張るからね! そんじゃ<ミッション:ガールミーツガールズ>始めるよ〜みんなついてきてね〜」
やけに可愛らしい言い方をしたセトナは階段をテコテコ降りていった。俺は、他の面子がそれに続いたその最後尾を、得体の知れないモヤモヤさんと得体の知れないワクワクさんを胸に、魔法使いのじいさんのようにくっついて行くのだった……




