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最近のリザードマン事情

 リザードマンって大抵脳筋なことが多いが、この世界ではそうでもなさそう。槍や斧を使うのが得意と言うのはまんざら違っていなさそう。


 とりあえず、低需要なのは間違いありません。



「……なるほど、そのバカ強い人間の女の子から逃げるのに力を貸してほしいってことか」



 何か土くさいハーマーの家の中で、リザードマン特製のとてもビターな(=クソ苦い)コンガラコーヒーをすすりながら俺は事情を話した。リザードマンの親友はたまにうなずきながら熱心にそれを聞き届けてくれた。



「ああ、申し訳ないけどよろしく頼むよ」



「そうか……わかった、断る!」



「それは、有難い……ってエーッ!?」



「悪いな、アシュレイ」



「エーッ! だって、その、この流れからして普通オーケーするところじゃん! 親友がめっちゃヤバい状況なのになぜなのよ? エーッ!?」


「実は、明日からフッシャロ湖で釣りをするんだ。1ヶ月くらいは向うにいるからアシュレイと一緒に行動するのはちょっと無理なんだよ」



「いやいや、なんで親友の未曾有の危機より釣りを優先するの?」



「湖が俺を呼んでるんだよ」



「何か格好良く言ってるけどおかしいよね? もう! 俺と一緒に行くのは危険だから行きたく無いってんなら素直に言ってくれりゃあ良いのに」



「いや、一緒に別に行きたくない訳じゃないんだ。オレはどうしても魚釣りに行かなきゃならんのさ、わかってくれよスーさん」



「釣りバカかっ!! しかも、スーさんて俺の名前と一文字も被ってないじゃんよそのあだ名! そっちは、ハーマーだからハマちゃんって、あーあーなるほどそういうことね……納得したわ作者さんよ」



「スマンねぇスーさん。ブルーギル沢山釣ってきてあげるから勘弁してよ」


「あのあの、よりによってなぜその外来魚なんですか!? いらないよ! 食べるとこ少ないし青臭いし不味いし! 猫が食べたら繁殖するし! そもそも、何でこのファンタジー世界にそんなノンフィクな魚がいるんだよ!?」



「奴らはこの世界の湖を席巻しようと異世界からやってきたんだ。彼らを甘く見てはいけないぜ」


「そこは無駄にファンタジーぽいんだなハマちゃんよ。けど、フィッシャロ湖ってダークサーペントとかミストドラゴンとか殺人クラゲとかいるんだろ? ブルーギルがあの生態系を壊すなんて出来そうにないんスけど……」



「いやいや、彼らを甘く見ちゃいかんよ。奴らの繁殖能力は並々ならないんだいずれは、あそこも琵琶湖のようになってしまうだろう。我々リザードマンはそれをとめなければならないんだ。異世界からの侵略を止めるため、オレたちはブルーギルを釣りまくるのさ」


「おいおい、何かやけに壮大な話になってるんスけど……そして、壮大に話が脱線してきてるよねあと滋賀県の湖を例にあげんといてください空気読んで」


 「ゲラゲラゲラ、よかったらスーさんも一緒に来ないか? 刺激的なフィッシングが待ってるからよ」



「ハマちゃん! あんた、この物語をどこへ持ってくつもりなのよ? タイトルが<勇者アシュレイのギル釣りナンバー1>とかなったら……ああ、いや、意外と面白いかも」



「グェッグェッ」



話が余りにも脱線したため、俺たちはコーヒーをおかわりして一息入れた。そして改めて話を主線に戻す。



「……わかったよ。どうしてもついて来れないなら仕方ないな。危険な事だから余り無理強いもできんし」



「すまんな。だが、その代わりにこの集落で腕の立ヤツを紹介してやるよ!」


「ほ、本当か?」



「ああ、きっとお前の役に立つだろうよ」



「恩に着るぜ、ハマちゃん! いや、浜田さん!」



 「お前の母ちゃんには世話になった。この程度どうってことないさ……ちょっと待っててくれ」



ハーマーはそう言うと、立ち上がり、家を出ていった。俺は、感謝の気持ちと、なぜブルーギル釣りにそんな執心するのかなという気持ちに挟まれた状態で、無糖のコーヒーをツツツと飲みまくって、戻ってくるのを待ち続けた。


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