短編 喫煙者は誰でも肩身が狭い
お題 魔王と煙草 必須要素 予備校 制限時間 十五分
それを念頭に置いて、どうぞ
この予備校は、魔族が集まって各々の自己を鍛え、そしてそこから色々な各地の魔貴族や魔軍に仕える為の準備をする学校だ。
僕はいわゆる落ちこぼれだった。
いつものように演習でドジを踏み、皆に嘲笑されてすごすごと引き下がり、女の若い魔族に後ろ指を差されながら喫煙所にきて煙草を吸う。
「お、またきたな少年。今日も派手にすっころんでたな!」
時々先客がいる。そいつはいつも本当に豪快に僕の事を笑い飛ばしてくれる。
でもこいつはいつも最期に僕を元気付けてくれるから、なんだかんだ思いながらもつい足を運んでしまうのだ。
「あーなんで上手くいかないんだろう。もっと一瞬で全ての力を手に入れられるような魔法ってないものかなあ」
「そんなものあったらこの予備校もいらないだろ。大丈夫だ少年、俺も元々魔法なんて使ったこともなかったんだからな。知ってるか俺の魔法適正。ゼロどころかマイナスだったんだぞ? 天使の方が向いてるつぅんだから笑っちまうよな」
ちなみに魔族に喫煙の年齢制限はない。だが、いやだからこそだが、喫煙はその場所を厳しく限られていたのだ。
だがその数は喫煙者の数に反比例するかのように多かった。
だからある程度の時間は稼げるのだろう。
「お! もう見つかったか! まあ今日はゆっくりできたほうだな! それじゃあな少年! 何事も努力だぞ!」
言って煙草を消してその姿も消す。
ワンテンポ遅れて喫煙所には男の老魔族が飛び込んできた。
「はぁ……はぁ……。もし、少年、ここにだれかいませんでしたか?」
「いましたよ。そろそろ帰るんじゃないですか」
「そうですか……わかりました」
魔王は、ヘビースモーカーだ。
こんな王が好き
FF8のラグナとか幽白の幽助父(魔族)とか
カリスマって大事