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♂≧♀   作者: basi
5/6

明日から

大分遅れました。


久しぶりの投稿です。

「ただいま」

「お、お帰り。早かったな」

 僕よりおじさんのほうが早いのは何故ですか? この人は仕事何してるんだろうか。

「あ、そうだ。おじさん、僕の学費のことですけど、免除になるらしいんで」

「あれ? 言ってなかったっけ?」

 は? 一体何をだろうか。

「元々、コウ君の学費やらなんやらは払ってないよ」

「え? なんで?」

 今日決まったことなのに払ってなかった? 何、何故、どういう事?

「特別待遇だから」

「は? え、は? なんでおじさん知ってるの?」

 もう学校から連絡があったとか?

「一応あの学園の理事やってるからね」

「はい?」

 おじさんの口からとんでもないセリフが……。

「だから理事の一人なんだよ」

「……え、ドッキリ?」

「いや、ホント」

 聞いてないよ。いや、おじさんの仕事すら聞いて無いけど。

「理事長に康君を特別待遇枠にどうかと紹介したのも私だし」

「え、なにそれ」

「理事長も二つ返事で許可したから、じゃあ、ってことでこの学園に君を転校させたんだ」

 っな、最初からそのつもりだったのか。

 あれ? でも、だったら。

「僕が断ったらどうするつもりだったんですか」

「もちろん他の学校に即転校か自力で何とかしてもらったさ」

 はっはっは、と笑うおじさん。

「……マジですか」

「冗談だ」

 ひざから力が抜け完全に崩れ落ちた。おじさんは僕を見て楽しそうに笑っている。

「ただいま」

 おじさんとくだらない問答をしていると彩音が帰って来た。

「お帰り」

「……お帰り」

「ただいま。康、早いね。どうしたの。元気ないよ?」

「何でもない」

 そう、何でもないさ。明日からの生活を考えればおじさんとのこんな会話なんて。

「彩音、明日から康君のことを色々と頼む」

「康を? 何を今更」

「いや、明日からはお前の助けが今以上にいることになるからな。康だってメイクはしたことないだろうしな」

「メイク? 康、あんた……」

「ちょっと待って、おじさん。メイクまでしなくちゃいけないの?」

「当たり前だろう? 完全に女の子になってもらわないと。理事長も楽しみにしてることだし。あ、安心してくれ、ちゃんとパットとブラも用意してある」

 そんな物までいりません。どんだけ準備がいいんですか。

「もしかして特待? 本気?」

「え、あぁ、まぁ一応」



 ある程度予想はしてたけど、まさか本当になるとは

 今朝の会話が思い出される


「そうじゃなくて、学校で……友達とご飯食べたときにおかずの交換とかするから。味が違ったら、その、いろいろ聞かれるじゃない」

「聞かれる? 何を?」

「いろいろよ。味が変わった理由とか。――同棲ばれたらどうすんのよ」

「なんで? 従姉だし何か問題ある?」

 彩音は沈黙したままうつむいている。

「あ、もしかして好きな人が居るから困るとか?」

「っち、違うわよ馬鹿」


 本当に違うのだ

 私は正直、男に興味がない。いわゆる同性愛者と言う奴だと思う。

 今までも、男と付き合ったことはないが女性とは何人かと付き合ってきた

 だけど今は付き合っている人はいない。最近はときめく同性がいないと言うのもあるが一番の問題はどんな女性より魅力的な従弟がいることだ

 昔は気にならなかったが、自分が異性より同性が好きだと気付いてからだんだんと従弟のことが気になり始めていた。自分でもやばいと思ったのは二年前の正月に会ったときだ。

 並みの女友達より女の子に見えるあの容貌、少し天然な性格。

 実際、男なので性別的にも問題ないところも魅力的で、従弟同士なら法律的にも問題ないはずである。

 私の性癖は友達も知っている。それだけなら問題ないのだが、困ったことに財布の中にこっそり入れている写真を見られてしまった。

 女と言うものはこの手の話に飢えているらしく(かく言う私もだけど)気が済むまで開放してくれない。結局気づいた時には従弟、つまり康について洗いざらい話してしまっていた。

 写真が見つかっただけでもあの騒ぎなのだ、同棲なんてばれた日には毎日が質問攻めで堪ったものじゃない。それにあの康の実物を見てライバルが増えるかと思うと気が気ではない。まぁ男のライバルは問題外だけども。

 

「彩音、ご飯だよ」

 もうそんな時間か。好きな人のことを考えていると時間が経つのが早いなぁ

 今夜の康の絶品料理は何かなぁ、と考えながらキッチンに入ると、

「うん、やっぱり美味いな。それになかなか似合ってる」

「最後のは嬉しくないですが、まぁ良かった。今日は色々考えながらだったんでちょっと心配だったんですよ。……あの、あんまり見ないでください」

 新婚夫婦がいた。

 一足先に食事をしている父、これはいつも通り。問題は康。いつもの様に私や自分の分のご飯をよそいながら談笑(康は苦笑だが)している。いつもと違うピンクのフリフリエプロンを着けて。

「…………康、その格好は?」

「こ、これは、その、おじさんが」

「いや、康君は明日から女の子になって過ごすわけだしな。早くなれるためにも家でも女の子として暮らすのがいいと思ってな」

 すると手招きをし始める父さん。近づいた私に父さんはこっそりと告げた。

「お前もこっちのほうが好きだろ?」

 私は父さんの口におかずを無理やり突っ込んでやった。


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