表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
♂≧♀   作者: basi
3/6

騒がしい学校1

 HRが終わって、一時間目の授業も終了。そのまま休み時間。

「日羽さんってホントに男?」

「実は嘘ついてない?」

 かなり失礼な質問である。本人が男だと言っているのに――

「正真正銘の男です」

 今までも中学や高校の入学式の後に色々聞かれたけど、年内にまたも聞かれるとなると嫌になる。

「はぁ、水泳部にでも入ろうかなぁ」

 ふとぼやく。

「え?」

「何で?」

「水着着てたら嫌でも男ってわかるでしょ?」

 さすがに海パンはいてれば女だと間違えるような人は居ないはずである。

「ほ、ホントに水泳部に?」

「まさか、冗談だよ」

 いくらなんでもそんな馬鹿な理由で部活を決めるわけがない。


 とりあえず適当に質問を受けつつ次の休み時間も、その次も、休み時間を消化していった。

 そして昼休み

 今のところ質問攻めだったのでまだちゃんとした友達を作っていない。ただ事務的に話をする程度のクラスメイトっていうのが今の現状だ。

 一人でご飯を食べるのって結構寂しいものがある。そういえば、確か田中って人がHRの時に――

 えっと……あ、居た。

「あのさ、田中君」

「え? あ、転校生」

「転校生って。名前で呼んでくれると嬉しいんだけど」

「あ、ああ、わかった。じ、じゃあ康介? 何か用か?」

「うん、たいしたことじゃないんだけどHRの時に」

「ほ、HRのときは悪かった。謝るからもう黒板消しはごめんだぜ」

「え? あ、あの時はごめん。ついカッとなってしまって。って、いやそのことじゃなくて、最初に田中君が言ってたこと。お友達からってやつなんだけど」

 そう言ったとたんに周りが騒がしくなる。

「お、俺はそっちの気はないぞ。ノーマルだ」

「なっ、馬鹿、違うわ!」

『なんだ、違うのか』

『実はやっぱり女なの、とか言うのかと思った』

『私はてっきり……日羽君はそっち系なのかなー、なんて』 

 聞き耳を立てていた周りがざわついていたのは色々期待していたらしい。何を期待していたのかはあえて言わない、っていうか言いたくないし。

「そうじゃなくて。だから、ただ友達になってくれるのかなと思って」

「あ、ああ、わりぃ。ちょっといろいろ考えてて勘違いしてた」

 まったく、どういう勘違いをするんだ。

「そういうことならいいぜ、改めて、田中修二。修二でいい、よろしくな」

「日羽康介。こちらこそよろしく」

「あのさ、早速であれなんだけど、ご飯一緒しない?」




 こいつ、日羽康介は本当に男か?

 転校初日の昼に一緒にご飯を食べることになったが、自分の不注意な言動が予想外の展開を迎えることになった。

「何してんのさ、早く食べなよ」

「いや、だから、自分で食べるって」

「ダメだよ、手掴みなんて行儀の悪い」

「だいたい恥ずかしいって」

「なんでさ? 男同士だし問題ないよ。ほら、あーん」

「うっ」

 そう、男なら可愛い彼女と一緒に食事をして、彼女に「あーん」をしてもらえるなんて最高のシュチエーション。

 だが、今日あったばかりの美女(って男だけど)にいきなり「あーん」なんてされたらさすがに恥ずかしい。今日の昼飯は購買のパンじゃなくて、弁当にしとけばよかったと思うが、今更だ。

「ほら、早く、あーんして」

 にっこりと笑顔で言われるとドキドキする。

 いやいや、男相手に何を考えとるんだ。しかも周りの視線が痛い。こんなことになるなら「うまそう」とか「一口くれよ」なんて言うんじゃなかった。

 ええーい、ここは覚悟を決めて。

「……わかった。あ、あーん」

 うわ、めっちゃ恥ずかしい。

「はい、よくできました。ではどうぞ」

 からかうニュアンスが含まれているように聞こえるのは気のせいではないと思う。

「どう? 美味しい?」

 む、これは、なかなか。

「うまい」

「でしょ? 今日のはちょっと自信作なんだ」

 嬉しそうに微笑む。

 うっ、ヤバイな。いろいろまずいぞ俺。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ