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♂≧♀   作者: basi
2/6

教室へ

「ごめんなさいね。先生勘違いして」

「いえ、もう慣れました。…………嫌だけど」

 先ほど森先生を盛大に非難し、僕を思いっきり勘違いしていた先生、伊藤先生(なんと担任)とHRに教室へ移動中、先生が謝ってきた

 中学に入って周りの皆が男女の特徴が別れるようになった頃から今日のようなことはよく体験してきた。とても嫌だけど、お陰で慣れてしまった

「でも、ホントに可愛いわね」

 そう言って伊藤先生は抱きついてきた。何か良い匂いが……って

「うわ、やめてください」

「あ、ごめんなさいね。つい」

 つい、じゃ無いですって。

「あ、このクラスよ」

「じゃぁ呼ぶまでちょっと待っててね」



「皆おはよう。出席をとる前にちょっとお知らせがあります」

「先生、それは例の転校生ですか?」

 さすが田中君、もう知ってるのね

「田中君、良く知ってるわね」

「もちろんです。美少女って噂ですからね」

 美少女……確かに美少女に見えなくはないわね。

「確かに美形ね。でも残念ながら喜ぶのは女生徒よ」

「へ?」

「ホントですか?」

 落胆する田中君と色めき立つ女生徒達。この後どう反応するのかしら。

「ええ、本当よ。では早速入ってきてもらいましょうか。日羽君入って来て」



 教室内が騒がしい。いつもこんなものなんだろうか。

「日羽君、入って来て」

 先生の呼ぶ声がしたのでドアに手をかける。なぜか先ほどよりかなり静かになっている

 まあ転校生の紹介のときはこんなものだろうか。

 とりあえずドアを開けて教室に入る。

 ……視線が痛いなぁ

「じゃぁ日羽君、自己紹介お願いね」

 教壇の隣まで来ると先生にチョウクを渡された。これで黒板に名前を書けと言うことらしい。どうでもいいけど説明位して欲しい。

 カッカカッ

「えっと、日羽康介です。よろしく」

「…………」

「……」

 無反応?

「あの、えっと。先生、どうすれば?」

 みんなの無言と視線に耐えられなくなって伊藤先生に助けを求めたが、どうやら先生もこの沈黙は予想外だったらしい。

「み、みんな、何か質問とかありますか?」

 先生の声にクラス中が反応して手をあげる。止まってた時が動き出したかの様だ

「ハイハイ」

「ハイ、質問」

 さっきの沈黙はいったいなんだったのだろうか、と言うほどの喧騒に包まれた教室。

「え?え?」

 いきなりの事態の変化に驚いてどうすればいいのかわからなくなってしまった

「ちょっと、皆落ち着いて」


 …二分後、何とか落ち着いた教室で質問タイムが始まった

「趣味は何ですか?」

「んー、読書と釣り。後はスポーツが好きかな」

「じゃぁ得意なこととかは?」

「得意なこと、とりあえず家事全般は得意かな。英語は苦手だけど他は何とか。運動も結構好き」

『おぉ~』

 皆が感心した声をだす。確かに男で家事全般得意っていうのは貴重なのかもしれない。が、女子より男子のほうが食いつきが良かったのは少し嫌な気分だ

「はい、好きなタイプは?」

 この手の質問は避けては通れないものなんだろうか?

「そうだなぁ、特に好みって気にしたことなかったかなぁ。好きになった人がタイプ、かな?」

「かっこいい人と可愛い人どっちがいいですか?」

「どっちもいいと思うよ」

「じゃあじゃあどちらでもいいんだ」

「? まぁかっこいい人も可愛い人もいいと思うよ」

「日羽さんは同性愛にも理解がありますか?」

「は?」

「お姉さまと呼ばれるのは嫌ですか?」

「特待なんですか?」

「え?ちょっと、なんの話?」

「やっぱり男性のほうがいいですか?」

「なっ、え? 何?」

 質問の意味が不明になってくる…

 いったい何の話だ?

「先生の嘘つき。美少女じゃん」

「そんなことより好みの男性は?」

「何で男子の制服着てるの?」

 ……ここでも女だと思われてるのか? 自己紹介の名前で気付いてくれ

「先生、どうにかしてください」

「そんなこと言われても……」

 先生もどうしていいかわからなくなっているようだ。

 勝手に続く質問にだんだんイラついてきた。

「日羽さん、俺、田中修二って言います」

「はぁ」

「いきなりだけど、お友達になってもらえませんか?」

 お、早くも友達ゲットかな。ちゃんとわかってくれてる人も居るんだなぁ

「それで気が合えばぜひ付き合ってください」

 ごふっ……全然わかってない。

「田中ずるいぞ」

「そうだぞ。ぜひ俺と」

「いや、俺と」

 こいつらは、

「男子にはもったいないわ。日羽さんは私たちのものよ」

「そうよそうよ」

「いや、君たちのものって」

 とりあえず反論してみるけど完全無視。おーい、怒るぞ

「黙れ、黙れ! 日羽さんは俺のもんじゃ! 誰にも渡さんぞ」

 っこの!

「黙れクソ馬鹿!! 僕は男だ」

 ボフッ

「あ」

 しまった。つい我慢できなくなって黒板消しを投げてしまった。

 投げた黒板消しは見事に田中君とやらに命中。白い粉が彼の周りに漂い、まわりも静かになってゆく。

「えっと……ごめん?」

 一応謝っておく。謝る必要があるのか? 謎だなぁ。

「あー、皆は何か勘違いしてるんだけど、僕は康介。名前の通りれっきとした男です」

『ぇええ~!』

 ええ~じゃないって。早く気付いてくれよ。


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