第4話 聖女レイナ4歳編 小さき守護者
4歳の誕生日を迎えた日、王はレイナに小さな冠を贈った。
本物の王冠のように重くはなく、花と星の模様が刻まれた、軽やかな銀の冠だった。
「レイナ、これからは『小さき守護者』として、正式に王国を守る役目を担うのだよ」
王は厳かな顔で言ったが、目元は柔らかく緩んでいた。
レイナは真剣な顔でうなずき、冠をかぶろうとした。
しかし、彼女はそれを逆さまにかぶり、あごひもを結ぶように首の後ろで留めようとした。
「おじいちゃん王様、これ、首が守れるよ!」
廷臣たちは必死に笑いをこらえた。
王は深いため息をつきながらも、笑みを浮かべて言った。
「いや、レイナ、それは……まあ、いいだろう。そなたなりの守り方があるのだろう」
その日から、レイナの「公式な執務」が始まった。
といっても、内容はほとんど変わらなかった。
毎朝、王と共に朝食をとり(レイナは必ず、王のトーストに自分でジャムを塗りたくる)、その後、国務会議に「出席」した。
会議では、彼女は専用の小さな机を与えられ、そこでクレヨンで絵を描いたり、積み木で塔を作ったりしていた。
しかし、重臣たちの議論が白熱し、声が荒くなると、レイナは必ず介入した。
「おじさまたち、おこらないで。おこると、おなかが痛くなるよ。それに、声が大きいと、お外の小鳥さんたちがびっくりしちゃう」
彼女がそう言い、小さな手を差し伸べると、不思議なことに議論の熱は冷め、対立していた者たちもなぜか落ち着きを取り戻した。
財務大臣と国防大臣が領土問題で激しく対立した時も、レイナが2人の間に立ち、「仲直りおまじない」として、2人の鼻を同時にちょんちょんと触ると、財務大臣はぽかんと口を開け、国防大臣は目を丸くした。
そして、2人は互いの滑稽な顔を見て、まずクスリと笑い、それがやがて大きな笑い声へと変わった。
「ははは! これでは、我々も子供のけんかのようだな!」
「まったくだ。我々の鼻は、無事に『仲直り』したようだ」
2人は苦笑いしながら、自然に握手を交わした。
議題はその後、驚くほど円滑に進んだ。
レイナは満足そうに自分の席に戻り、今度は国防大臣の似顔絵(特に大きく描かれた鼻が特徴的)を描き始めた。
こうして、王国で最も小さな守護者レイナの一日は過ぎていく。




