番外編 女子会するわよ!!
今回は番外編!!
ミロウ達のパーティーメンバーで女子会をします。
探索が終わった後、私はマイリンの部屋に呼び出された。『重要な話をする』と言っていたが、今後の探索の予定について話し合うのだろうか?
取り敢えず、行ってみることにした。
マイリンの部屋へと向かうと、扉の前にネフィアとリリサが立っていた。
「あれ、二人も呼び出されたの?」
「はい。ミロウ様が来るのを待っていたのですが……」
三人共一気に呼び出すなんて、かなり重要な話なのではないだろうか。
「あら、三人共揃ったの?」
中に入ると、マイリンが地面に座っていた。そしてなぜか、ベッドの上に置いてあったはずの枕が地面に置かれ、その横に果汁水の入ったコップが並んでいる。
「マイリン、話をするって言ってたけど、どうしたの?」
首を傾げると、マイリンは楽しそうにウインクをした。
「どうしたのって、決まっているじゃない。夜に集まると言えば、女子会。そして女子会と言えば、恋バナよ!!」
マイリンが得意げに言った。
「「「 おお~ 」」」
なぜか歓声が上がる。
「と、いう訳で……今日は女子会よ!! たくさん話しましょう!」
マイリンの用意した枕の上に座り込む。床に座りながら雑談をするのって楽しい。修学旅行の気分だ。
果汁水を口に含むと、甘酸っぱい果実の味が広がる。甘くて美味しい。これで炭酸が入っていたら完璧だ。
全員席に着くと、マイリンは全員を見回した。そして、果汁水をごくごく飲んでいるリリサを指差す。
「早速だけれど、リリサ……気になっている人を答えなさい!」
リリサは突然のことに、慌てたように目を見開いた。
「ええ!! 私ですか⁉ 」
「ええ。好きな人はいるの?」
マイリンは目を輝かせてリリサを見る。
すると、リリサは顎に手を当てて何かを考え始めた。
「う~ん。そうですね……」
昔のことを思い出しているようだ。
みんな興味津々にリリサを見つめる。
だが数秒すると、リリサの顔色はなぜか悪くなっていった。
どうしたのだろうと見つめていると、ついには俯いてしまった。
「ど、どうしたの? リリサ……?」
「うぅ……どうせ、私なんてただの金づるですよ。うぇ、うえええええん!!」
そう言って、リリサはまるで子供のように泣き出した。
なんだかよく分からんが、トラウマを刺激してしまったらしい。
肩を撫でて慰めて上げる。
ちなみにマイリンは、『おかしいわねぇ。お酒は入っていないはずなんだけど……』とリリサに渡した果汁水を見て不思議そうな顔をしていた。
数十分後、リリサは泣き疲れて寝てしまった。
なぜか、『壺…壺……』と謎の寝言を呟いていた。
リリサのことは部屋の隅に放っておき、私達は女子会を続けることにした。
「そう言えばマイリンは、好きな人とかいるの?」
せっかくだし、聞いてみることにした。
マイリンはしばらく考えるように人差し指を顎に当てた後、その指を唇に当てて隠し事を話すような仕草をした。
「そうねぇ。私はブラウスが好きかしら。」
おおっ。確かにブラウスはよくマイリンの後ろに隠れて震えている。
理由は良く分からないが、仲が良いのだろう。
「ちなみに、どんなところが好きなの?」
「そうねぇ。強敵に出会うとすぐにブルブル震えるところが可愛いかしら。意地悪したくなっちゃうわよねぇ。」
うん? それは本当に好きなのだろうか……
まあ、あまり深く考えることはやめておいた。
「そう言うミロウちゃんは、誰が好きなの?」
わ、私⁉
突然話題を振られて、慌ててしまう?
「う~ん。好きな人、ねぇ。」
特に思い浮かばない。
前世のことまで思い出してみるが、全くといっていいほど記憶がない。ちょっとしたくだらない出来事なんかは覚えているのだが、人の顔や声などの情報がない。転生した時に、何らかの理由で消えてしまったのかもしれない。
考え込んでいると、マイリンが私の顔を覗き込んだ。
「そう言えばほら、あの子はどうなの? 確か名前は……エイスちゃんだったかしら?」
「エイスかぁ。う~ん。普通かなぁ。」
いい人だとは思うが、私は祭りの時に置いてけぼりにされたことをまだ根に持っている。私は結構根に持つタイプなのだ。
「へぇ。普通ってことは……嫌いじゃないのよね? どこで出会ったの?」
マイリンが身を乗り出してくる。恋バナが好きなのだろうか?
「どこでって……うーんと、吹雪に埋もれて死にかけてた時に拾ってもらったけど……」
「拾ってもらった?…… それって、一緒に住んでいたってこと⁉」
「う~ん。一応、家に泊めてもらっていたけど?」
その瞬間、マイリンが楽しそうに目を輝かせた。だが、今の話のどこに盛り上がる要素があったのだろうか? 全く分からない。
「つまり、同居してたってことよね⁉ ラブラブじゃない!!」
(ん? そんなことはないよ?)
同じ家に住んでいたっていうけど、一階と二階で完全に分かれていたし……それに後で聞いた話だが、あの家は村長さんに貸してもらっていた家で、そもそもエイスの家ではない。借りた家がお隣さんだった、と言う方が表現としては正しいだろう。
だが楽しそうなマイリンを見て、余計なことを言うのはやめておくことにした。
「ね、家での生活を教えてくれない? ほら、役割分担とかはどうしていたの? 」
家での生活? マイリンが聞きたそうな話をするのは難しいと思うが……
確か、エイスは着替え用の服を買ってきたり、食材の買い出しに行ってくれていた。
「そう言えば、家事もほとんどやってくれてたね……」
今気づいたが、エイスは意外と気が利くのかもしれない。
「え⁉ それはすごいじゃない⁉ まさか、料理とかもできたりするの?」
マイリンのその言葉を聞いた瞬間、紫色の虫の画像が頭に浮かび上がった。
ちゃんと頭の中でモザイクが掛かっている。
『ほら、ちゃんと食わないと栄養が摂れないぞ?』
エイスの言葉が頭の中に反芻する。
「ぎ、ぎゃあああああああああああ」
「ど、どうしたの、ミロウちゃん⁉」
突然奇声を発した私を見て、マイリンが目を丸くした。
「な、なんでもない。……恐ろしいことを思い出した……」
マイリンは、『おかしいわね。ミロウちゃんまで発狂するなんて……やっぱり果汁水に変なものを盛っちゃったのかしら……』と慌てている。
一方で、毎日謎の虫を食べさせられる未来が見えた私は、恐ろしさのあまり震えてしまう。もしあれを悪意でやっているのならボコボコにすれば済む話なのだが……完全に善意でやっている所が罪深い。
栄養を摂って欲しい、と良かれと思ってやっているのだ。本当に、エイスの味覚は狂っているとしか言いようがないだろう。
(うん。エイスとは絶対に結婚したくないね)
「まぁ、そもそもエイスとはそういう関係じゃないけどね……」
エイスと恋仲になる未来など想像できない。
そう思っていると、マイリンは呆れたような顔をして、『エイスちゃんも可哀そうね……』と呟いた。何をいっているのだろうか。どう考えても、この流れで可哀そうなのは変な虫を食べさせられた私だろう。
「お嬢様、突然叫んでどうしたのですか?」
ネフィアが不安げにこっちを見上げる。
突然発狂したせいで、心配させてしまったようだ。
私は『大丈夫だよ』と言って、ネフィアの頭を撫でた。
「そう言えば、ネフィアの好きな人は誰なの?」
聞いてみると、彼女は恥ずかしそうに顔を赤くした。
「好きな人、ですか? まだよく分からないです……」
照れたように顔を隠すネフィアを見て、私とマイリンはきゅんとなった。
「もしかして、初恋もまだなんですか?」
リリサはいつの間にかベッドの上から降りて、身を乗り出していた。
いつの間に目覚めていたのだろう? やっぱり、私が発狂した辺りからだろうか?
「ええっと、初恋、と言うか……好きな人というものが何なのか、よく分からないです。」
「そうなの? ええっとね、一般的に好きな人と言うのは、一緒にいると嬉しかったり……楽しかったりする人のこと……かしら?」
マイリンが言うと、ネフィアは恥ずかしそうに人差し指を合わせた。
「ええっと……私、三人と一緒にいられるのが嬉しいです。だからたぶん、三人のこと、好き……なのかも……」
上目遣いでこっちを見上げて来るネフィアに、全員ドキッとしたのは仕方ないだろう。この可愛さは反則だ。
(うちのネフィア、世界一可愛い……)
可愛い回答に、三人ともほっこりした。




