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鉱山エリア

 ボスを倒した後は、ダンジョンの外へと向かって歩き始めた。

 私の『闇収納』のおかげで魔物はすべて影に入れて運べるから、移動が楽だ。


「ねぇ。ちょっぴり寄り道してもいい?」

「別に構わないけれど……どこへ行きたいの?」


 せっかくだから、宿を作る場所を決めたいのだ。


 私がこの国に来た目的の一つに、ダンジョンの宿(支店)を開くことがある。そのために、宿を作る場所を下見をしておきたいと思う。


 辺りを見回すと、丁度良さそうな場所を見つけた。

 人が少なく、空間も広く使えそうだ。


「向こうは何のエリアだか分かる?」

 なるべく人の少なそうな方を指差すと、マイリンは不思議そうに首を傾げた。


「そっちは確か、鉱山エリアがあったはずだけれど……危険だし、あまり人気がないエリアよ?」

「うん。その方が好都合だよ。」


(人が少ない方が、宿を建てる時に目立たないからね。)

 正直、宿を作っている所を人に見られて話題になったりしたら困る。人がたくさん押し寄せても、ちょっぴり大変だ。だから目指すのは、知る人ぞ知る隠れ家的な宿だ。


「ミロウちゃんが行くならついて行くけれど……あまりお勧めはしないわよ。鉱山エリアは足場が悪いし、暗くて周りが見づらいの。それに危険な魔物が出るのよ。」


「危険な魔物?」


「そう。スモールドラゴンっていう黒い魔物よ。光で消滅するから薄暗い三階層より下にでしか活動しないのだけれど、一介層の鉱山エリアも暗いから出ることがあるのよ。間違えて鉱山エリアに迷い込んだ初心者は、大抵その魔物に食われて帰って来なくなるわ。」


「なるほど。それならやめておいたほうがいっか。」


 でも、スモールドラゴン……どこかで聞き覚えがある。

 

 あれ? 確か、昨日倒した魔物がそんな名前ではなかっただろうか?


 確か、スモールとついている割には小さくなかったドラゴンだ。二メートルぐらいのサイズである。まぁ、それでも普通のドラゴンよりは小さいのかもしれない。私が最初に食べられたドラゴンは恐らく三十メートルはあったと思う。赤ん坊の頃にぼんやり見ただけなので良く見えなかったが、たぶんそんぐらいだ。


「ちなみに、スモールドラゴンを討伐したら、一匹いくらぐらい貰えるの?」

「う~んと、一匹につき金貨十枚ぐらいだったかしら?」


 金貨十枚。それはかなり多い。

 前までお金の価値が分からなかった私だが、冒険者ギルドの講習で勉強した後なら、金貨十枚というのがずいぶんな値段だということが分かる。


(もしかして、今収納している分を売れば、結構なお金になるんじゃないだろうか?)

 ギルドについたら、せっかくなので聞いてみよう。


 ◇◇◇


 冒険者ギルドに戻ったら、いつもの茶色い髪のギルド職員がやって来た。


「お疲れ様~。今日の成果はどうだった?」

「結構たくさんドロップ品が手に入ったよ。」


 ボス部屋で倒した魔物のドロップ品を渡すと、彼は驚いたような表情を浮かべた。


「へぇ。もう一階層を攻略してきたんだ。すごいね。」


「ボスのドロップ品はいくらで売れそう?」

「う~ん。ボスと言っても一階層のだからね。銀貨十枚ぐらいかなぁ」

 銀貨十枚。銀貨百枚で金貨一枚になる。


確か、一か月の平均のお給料が十五枚らしいので、そこそこ多いだろう。まあ、四人で分ければ貰える額はかなり減るが。


だが初めてもらったお給料に、私のテンションは爆上がりする。


「初めての探索なのにすごいね。やっぱり竜人族って魔力も多いし、強いのかなぁ」


「竜人族?」

 ん? 私、竜人族なのだろうか?


「ほら、この前、角を頭につけていたでしょ? 竜人族なんじゃないの?」

 彼は首を傾げる。

 だが恐らく、私がドラゴンのような見た目をしているのは竜を摂り込んだからである。元の姿(赤ん坊の頃)がどのようなものだったのかは知らない。


「あっ! 角をつけていたことは、一応秘密ね。」

 小声で言うと、彼は小さく頷いた。


「うん。わかったよ。獣人国だと、角がついていたら目立つからね。」

 ちょっぴり意外だ。この人は変わっているから人の話なんて聞かないと思っていたが、そんなこともなかった。一応話は通じるようだ。


「そう言えば俺、面倒なことに君たちのパーティーの専属受付係になっちゃったんだよねぇ。これからはギルドに来たら、俺が受付をするよ。よろしくね。」


 ギルドに登録した冒険者は、大体専属の受付係が付くそうだ。私たちのパーティーの受付はこの人になったらしい。

 そこで、私はまだ彼の名前を知らないことに気が付く。

「そう言えば名前、なんだったっけ。」


「あ~。まだ言ってなかったっけ。ルースだよ。はぁ。つまらないな仕事押し付けられたなぁ」

 本当は私たちの専属受付なんてやりたくなかったそうだ。

 意外にも、彼は新人だそうで、面倒な仕事を押し付けられやすいらしい。


「何か分からないことがあったら、俺に言ってね。一応暇だったら聞いてあげるから。」

 そんなに適当で大丈夫だろうか?

 この人、いつかギルド職員を首になりそうなのだが……


 今は暇そうなので、せっかくだからさっき疑問に思ったことを聞いてみることにした。


「そう言えば、これってお金になる?」

 試しに昨晩倒したスモールドラゴンの死骸を闇収納からするずると引っ張って取り出すと、彼はパチパチと瞬きをして動きを止めた。


「へ?」


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