めっちゃ怖がられている。
この作品初のブックマークをつけてもらいました!
めっちゃ嬉しくて小躍りしました!ありがとう(⌒∇⌒)
私は人狼を全部燃やし切った後、あたりを見回す。
すべて倒したようだ。
ひとまず、落ちていた骸骨たちを埋葬しよう。
私は、骨を外に運ぶ。
洞窟から出て数十メートルのところに、掘りやすそうな土があったからそこに埋めることにした。
穴を掘っていると、運の悪いことに冒険者に出くわした。
「ぎゃあああああああああああああああああああ」
あれ? めっちゃ怖がられている。
今まで不審がられたり逃げられたりすることは多かったけれど、こうして叫ばれることは初めてだ。
冒険者たちの視線が向いている方向を見て、私は納得する。
私は骨をたくさん抱えていたからだ。
まあ確かに人骨を持った黒いフードの謎の人がいたら誰だって怖いだろう。
「あの、すみません。それは勘違いで……」
私は慌てて言い訳をする。人殺しだと思われたくはない。
だが、冒険者たちは一目散に逃げて行ってしまった。
残念。怖がられたくなかったのに。
私は急いで人骨を埋める。
これ以上冒険者たちに変な誤解を受けたくない。
トランス・インセクトで変身魔法は使えるようになったが、まだ上手く使うことはできない。
変身が上手くできるようになれば人間社会に混ざることも夢ではないだろうけれど、今のままではまだ難しいだろう。
「う~ん。もっと人間に近い変身ができればいいんだけど」
そう思った時に、洞窟の中に落ちているオオカミたちが目に入った。
「おっ! いいこと思いついた!」
私はオオカミを鑑定する。
【鑑定結果】
名前 ウェアウルフ
スキル 人間擬態化
私はその画面を見て小躍りする。
人間擬態化! めっちゃ私にピッタリすぎる。
私のためにあるようなスキルだ。
私は早速スキルを摂り込む。
《ウェアウルフのスキルを摂り込みますか?【はい・いいえ】》
もちろんです!
すると私の体が淡い光に包まれた。
まぶしさに目を閉じる。
しばらくして恐る恐る目を開けると、私の体にあった鱗が消えていた。
「いやっほーーーーーーー」
ついに忌々しき鱗が消えた。
やっぱり人間、やれば何でもできる。
私は近くにあった水たまりに顔を映す。
ちゃんと人間の瞳孔をしている。
だが一つ悲しかったことは角がまだ生えていたことだ。
ドラゴンの尻尾もちっちゃくなったけどまだ生えている。
「これなんとかできないかなぁ……」
《スキルには限界があります》
「ですよねぇ」
私は一人でため息をついた。
◇◇◇
そのころ、ダンジョンの入り口へ入ろうとする一人の少年がいた。
彼は恐ろしいほど気配がなく、ただ散歩をするかのように歩いていく。
その行く先には世界で最も危険とも言われるダンジョンがあった。
彼を見た入り口に立っている男が、彼に忠告をする。
「おい、そこの坊ちゃん。今はそのダンジョンにはあまり入らないほうがいいぜ?」
少年は無表情で彼を見つめた。その瞳には感情というものが消えていた。
入り口の男はその目に一瞬言葉を止めるが、すぐにまた話し始める。
「いま、そのダンジョンに恐ろしい化け物が住み着いているんだ。噂によればそいつが近寄ると辺りに変な霧が発生するとか、怪しげな黒いマントを被って人骨を大量に抱えていたとか、森エリアに巨大な建物があるとか、さすがにこれはデマだと思うが伝説の水龍を倒したとか。とりあえずこのダンジョンで何かが起きているのは確かだ。あまり近づかないほうがいいぜ。」
だが、少年はまるで何も聞こえていないように中へと歩いていく。
「お、おい。せっかく忠告してやってるのに。」
少年はダンジョンの中の暗闇に溶け込むように消えていく。
入り口の男は慌てて彼を追う。だが、もうその姿はどこにもない。
すると、後ろから声がかかる。
「おいお前、何してんだ?」
その声を聞いて入り口の男は慌てて振り返った。
「いや、変な坊主がいてな。一応入らないほうがいいと忠告してやったんだが行っちまって」
「へえ、どんなやつだった?」
「黒目黒髪の坊主だったな。」
「黒目黒髪?……それはまさかあの最年少S級冒険者じゃないか?」
「最年少S級? まさかあの伝説の?」
そんな声が後ろから聞こえてくるが、彼はまだ気にせず歩き続ける。
彼は興味がなかった。自分が他人から勝手につけられている評価が嫌だった。
そして、ダンジョンの全体を見渡せる位置に立つ。
黒いコートが風で揺れる。
「伝説の水龍を倒した……ねぇ。少しは退屈しのぎになるといいけど」