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悪役令息の務め  作者: 夏野 零音


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正者と勇者

近くで話声が聞こえて目が覚めた。

 おはようございます、ディラン伯爵家三男のヘンリーです。


 フカフカのベッドから体を起こした僕は、薄暗くて 知らないお部屋に寝かされてて、ちょっとビックリした。周りをキョロキョロと確認する。うん、やっぱり知らないお部屋だ。静養に来てたお屋敷でも無いみたいだし…、僕、なんでここに居るんだろう。

「……………から、それをお前はどうやって証明するんだ?」

 ハッ 誰かの声がする。隣の部屋かな?少し扉が開いてて、薄ら光が漏れてる。

()()ねぇ。確かに全てこれから先の話だから、証明しろと云われても難しいな。だが、俺は『女神』に『この世界』を『正す』為に召喚されたんだ。それにこのままだとお前は殺される事になる、それで良いのか?『勇者』殿」


 ?! えっ、何なに?何の話?!

 それにこの声…、もしかして…。


「俺が殺される? それも何の根拠があるんだ?アンタの話は全て”仮定”だろ」

「なら、どうあっても俺と組む気は無いってか。まあ、突然こんな話をされても、困惑するだけか。…なら、ひとつ、『予言』をしてやろう。あと二週間後くらいに大きな鳥がこの辺りにやって来る。それは今までよりも大きく強い魔獣で、やがて起こる魔獣暴走(スタンピード)の前振りのような奴だ。

 お前だけで倒すのは難しい、この近くに滞在しているディラン伯爵家と連携して討伐するのをお勧めするね。」

 

「…ディラン伯爵家?彼らは王都に居るんじゃないのか?領地経営だけじゃなく、騎士団の仕事もやっているって聞くぞ。王都を離れる訳無いだろ」


「ちと異常事態でね。そうだ、あそこには今、ディラン伯爵家だけでなく、王子殿下が二人も揃ってる。下のジェームス第二王子は、お前の宿敵に いずれなる。今の内に亡き者にしておいた方が楽だよ。ドンドン強くなって今に誰も手を出せなくなるからね。」

「本気か?王子殿下に刃を向けるなんて、極刑も免れない行為だぞ!……と言うか、何故、ディラン伯爵家と王太子候補が二人も一緒に…」

 

「まあ、お前が殺らなくとも俺が殺るから良いよ。それが、俺の『仕事』だから。」

「………本気なんだな。狂人としか思えないが…、もう一度 話を整理させてくれ」

「ああ、良いとも!『勇者』殿」


 二人のやり取りを息を殺して見守る僕。幸い、二人とも話に夢中で僕が盗み聞きしてる事に気づいてない。

 青年の方は、僕をオアシスに放置した人だ。もう一人はまだ少年で、ラフだけど 貴族服を着てるから、この家の人かも知れない。『勇者殿』って呼ばれてるけど…、勇者って何だろ。歴史書にはそんな人、出てこなかったけどなぁ。


「では、最初から話そう。『この世界』は女神アレクシスによって創られた。混沌と和平を繰り返しながらも、今日までの歴史を積み重ねて来た。

 しかし、第一王子『ルーカス・オン・アデルバード』が王太子に成ると第二王子『ジェームス・オン・アデルバード』が反旗を翻し、国は割れる。

 ジェームスはルーカスの婚約者である『アシェル・アードルフ』に執着し、王座ごと奪おうとした。だが、ルーカス側も黙ってはいない、特に、君、勇者『ダニエル・ジュード』が平民の為に立ち上がり、生まれながらに莫大な魔力を持ったジェームスを打ち破る事に成功し、ルーカスが国王と成り、王国はまた平和を取り戻した。

 めでたし、めでたし――――で終わらなかったから問題なんだ。」

 青年は肩を竦める。

 

「暴君ジェームス討伐後、数百年は何事もなく過ぎた。しかし、膨大な魔力を持って産まれてくる子供は たまに居る。その子が()()()()()()()をやり遂げたんだ」

「飛んでもない事?」

「ああ、どういう訳か、ジェームスに心酔して、歴史を変えてしまった」

「歴史を変えた…」

 

「そう。禁術である『時戻り』は、発動条件が厳しい上に、大量の魔力を必要とする。一瞬で命が尽きてもおかしくない。オマケに指定した時間に必ず辿り着けるとも限らない リスクしかない危険な術だ。『禁術』と云われる所以(ゆえん)だろう。

 しかし、その子は見事に時を遡ってみせた。そして、ジェームスの王座簒奪(さんだつ)を成功させてしまった。

 ルーカス側は速やかに暗殺され、勇者の味方であるディラン伯爵家も取り潰され、勿論、君も暗殺される。

 沢山の血が流れた後、ジェームスはアシェルと婚姻を結ぶが、やがてスタンピードが起こり、何とか対処しようとするも既に勇者級の主要キャラクターは全員死亡している。ジェームスがその命と引き換えにスタンピードを収めるが、完全では無く、何年も不遇の時代は続く。

 自分の書いたストーリーを何者かにめちゃくちゃにされた女神は、僕を召喚して正史に戻そうとしてる。

 分かる?『悪』は必ず、倒されるべきなんだよ。」


「だが、」

「『その話をどうやって証明する』だよね?。全てはこれから起こる事だし、僕が女神に召喚されたって言っても、証拠になるような物は無いからなぁ。信じて貰うしか無いんだけど。

 勇者に協力して貰えるなら、これ程、楽な事は無いんだ。まあ、僕一人でも、()はやり遂げるつもりだけどね。『ヘンリー・ディラン』は始末出来たし。」

「ヘンリー・ディラン?ディラン伯爵家は俺の味方なんじゃ無いのか?」


「そうだよ、ディラン伯爵家はね。ヘンリーはディラン伯爵の血を引いて無いんだよ、それどころか 稀代の暴君であるジェームス・オン・アデルバードの右腕だ。

 ただでさえ膨大な魔力を持つジェームスを、ヘンリーの月魔法、強化魔法(バフ)が掛けられると、ジェームスは二倍にも三倍にもなってしまう。これのせいで簒奪が成功してしまうんだ。逆にヘンリーさえ居なければ、ジェームスを抑え込む事も出来る!」

 

「だが…時戻りの人間が居るんだろう?そいつが黙って居るとは思えないが。」

「そうだよ!だから協力して欲しいんだ!『最初の世界』では、ヘンリーが暴君ジェームスの傍に居たとしても、勇者やその味方達と共に、討伐する事が出来た。

 『次の世界』でそれが出来なかったのは、時戻りの人間――狂乱の魔術師が居たせいだ。『この世界』にも狂乱の魔術師が居る可能性がある。だから――」

「だが、それも”仮定”の話だろう?もし、ジェームス王子殿下が、アンタが言う様な暴君で無かったとしたら……」

 

「僕が云った通りのストーリーにならなかったら?それは最悪の事態にならないと、証明出来ないね。しかも、”ほら、だから云っただろう?” で済む話じゃない。僕は、そうならない為に召喚(よば)れたんだから。

 さっきも言ったけど、先手を打つ事が大事なんだよ。これは『正しい』行いなんだから。」


「…仮に『女神アレクシス』がアンタに歴史の修正を頼んだとして…、どうして自分でやらないんだ?この世界は、女神アレクシスが創ったんだろう?何かこう…魔法で何とかする事は出来ないのか?」

「ふん、勇者に成るだけあって鋭いね。確かにこの世界を創ったのは女神アレクシスだけど、『世界』を『畑』と置き換えたら分かりやすいかな?

 つまり、女神アレクシスは土を耕し種を撒いた。自分の望み通りになるように水を与え、光を照らし慈しんだ。

 でも、異種による侵食が始まった。それは何処から始まったのかも分からない。やり直すには全てを焼き払い、また土を耕す所から始めなくちゃいけない。

 女神アレクシスは、既にこの『畑』に愛着を持っているんだ。出来るならそんな事はしたくない。だから、害虫を駆除し、元に戻す為に僕を『畑』に入れた。

 と、まあこんな感じかな。どう?伝わった?」

 

「…なるほど。分かった。少し、考えさせてくれ」

「勿論、良いよ!君は『勇者』だ。『正しい』判断を期待するよ!」

 ニッコリ笑うと青年は連絡先を渡して、部屋から出て行った。

 


 ……………。えっ 今の話って、どういう事?

 つまり〜、僕が ”未来の世界” で読んだ歴史書は既に『次の世界』だったって事…?なるほど…、どーりで救いの無い話だと思った。

 えっ、ていうか凄くない?つまり、時戻りの人――狂乱の魔術師さんは、歴史書を読んで、暴君殿下を助ける為に禁術の時戻りを成功させた上に、(コレだけでも凄いのに)暴君殿下の悲願を成就させたって事でしょ?!

 熱意が半端ない…!怨念すら感じる…!


 でも、そんなに想われるなんて、暴君殿下も凄いなぁ〜。これは尚のこと、暴君殿下を暴君にする訳にはいかないね!狂乱の魔術師さんだって、きっと暴君殿下を幸せにしたいから、時戻りまでして手を貸したんだろうし。

 でもやり方が良く無かったよね、気持ちは分かるけど、暴君にさせちゃ駄目だよ…。止めてあげなきゃ!

 

 僕がひとりで ウンウン納得していると、不意に扉が大きく開かれて少年が入って来た。勿論、飛び上がって驚いた僕。うわーっ!


「お、坊ちゃん、起きたのか?体調はどうだ?」

 ヒョイと僕を抱き上げて、少年と目線が同じになる。テオ兄様より少し低いかも。でも、ティム兄様よりは背が高いかな。

「だいじぶ」

 こくりと頷いて答える僕。

 

「ふむ。年の頃は二つくらいか、王族にその頃の子供が居ないとなると、お前は庶子。王位継承権のゴタゴタで暗殺されかけたって所か」

「えっ」

 全然違うんですけどーっ

 

「安心しろ、ここは辺境の地。ジュード子爵家が幅を効かせている。ここに居れば安全だ。」

 ポンポンと頭を撫でてくれる。仮にその話が本当だとして、匿って居たのがバレたら重罪になるのに、なんて優しい人だろう。あ!もしかして、僕をネタに強請(ゆす)るつもりじゃないよね…?!

 

「親元に返してやるのが一番だろうが…生きているのがバレればまた狙われるだろう。お前のこれからを思えば、王族貴族から離れて暮らす方が良いだろう。勿論、いつまでも子爵家(ここ)に居て良いからな。」

 爽やかな笑顔の少年。


 疑ってごめんねーーー!僕が間違ってました!心の中で土下座。


 さっき、僕を拉致った青年が、この少年の事を『勇者』って言ってたな。二つ名に違わず、素晴らしい人格だね!どうかその道徳に満ちた思想で、何卒、僕と暴君殿下のお命を…!危ない所を助けてくれた恩人の、敵にはまわりたくないな。

 

 でも、あの青年は『正者』であるのは、間違いない。

 女神アレクシスの使者とも言える。

 どっちにしても、この世界に置いて『ヘンリー・ディラン』と『ジェームス・オン・アデルバード』は討たれるべき悪役であるのも、また、間違いない。


 『勇者』であるこの少年が、女神の使者と手を取り合うのは時間の問題だろう。だってそれが『正しい』訳だし。


 でも!今は僕が『ヘンリー・ディラン』な訳だし!

 『最初の世界』にも『次の世界』にも成らない筈!だし…うぅ、多分。

 僕が暴君殿下…いや、もう『暴君殿下』て呼ぶの止めよう!そんなあだ名で呼んでると、いつかそうなっちゃいそうで嫌だ。ジェームス王子殿下を破滅ルートから遠ざけるように頑張れば、『この先の世界』はきっと変わる筈!

 そうだよ!その為に僕はヘンリーになったんじゃないかな?要は、ジェームス王子殿下が『暴君』に成ら無ければ良いんだ!まあ、どうすれば良いのか、今は 全く分かんないけど!


 ぐうぅ〜


「ん、腹が減ったか。ずっと寝ていたもんな。今、パン粥を用意させよう」

 考え込んでたら お腹がなっちゃった。えへへ。

 ん、そう言えば、僕 どのくらい寝てたんだろう。みんな心配してるよね…。


 少年はダニエルと名乗った。「お前の名前は?」て聞かれたのでヘンリーと言ったつもりだったんだけど、お口から出たのは「へんち」。「ハンチか、良い名だな」で終わってしまった。ああ〜ヘンリーですぅ。もう一度、ちゃんと言おうとしたら、ドアが開いてメイドさんがパン粥を持って来てくれた。まあ、食べてからでも遅くないか…ぐうぅ。


 ソファに腰をおろしたダニエルのお膝に乗せられて、パン粥をスプーンで 一口ずつ食べさせて貰う。はふはふ。ミルクがたっぷり染み込んでて、パンがふにゃふにゃになってる!おいちい!あと、スパイスかな?なんか芳ばしいよ!もちもち、食べる事に夢中になっちゃう。ダニエルはクスクス笑いながら、ゆっくり食べさせてくれた。

 あ、でも僕、赤ちゃんじゃ無いんだけどな。食べさせて貰う事に慣れ過ぎてて違和感無かったけど、片腕に抱かれて食べてるのは、さすがに赤ちゃん過ぎない?もぐもぐ。


「ほら、食後にイチゴティーだ。」

「わっ」

「熱いから、ゆっくりな」

 僕、イチゴ大好き!へぇ〜この辺では、イチゴを紅茶にするんだねぇ。王都ではイチゴ畑が盛んなせいか、生で食べる事が多い。あとお菓子作りとか。

 もしかして、王都から運搬するまでに時間がかかるから、乾燥イチゴしか手に入らないのかな?この辺でイチゴを作ってるかまでは分かんないけど、もしそうなら貴重なイチゴなんじゃ無い?僕に飲ませてくれるなんて、本当に良い人!

 僕がにこにこしていると、また扉が開いた。今度は激しく。

 


「ダニエル!また厄介な生き物を拾って来たって言うのは本当かっ!」

「わっ」

「兄上、怒鳴るのも、乱暴に扉を開けるのも止めて下さい。赤子が驚きます。」

 勢い良く入って来たのは、ダニエルよりも二つ三つ年上と思われる少年、もう青年と云っても良い年頃。

「お前っ!…またその様な、『その髪色』が何を示すか解って言っているんだろうな?!」

「…オアシスに棄てられていました。手足を縛った上でね。」

「…それはっ。随分とやる事がえげつないな…」

「この子が生きて居ては困る奴らがいるのでしょう。幸い、直ぐに俺が保護しましたので無傷ですが、あと一刻でもあそこに居れば骨も残らす食べられて、証拠も残らなかったでしょう」


「ダニエル!お前、またオアシスに行ったのか?!あれほど、危険だと…!」

()()()、俺が行くんですよ。定期的に間引きしないと、村や田畑を荒らされてからでは遅すぎます」

「それは兵団の仕事だ、何の為に飯を食わせていると思っているんだ!お前に危険が…」

「兵団を軽んじている訳ではありません。しかし、傷を負えば薬湯を飲むくらいしか出来ない。この辺の教会に木魔法の使い手は居ないんですから。その点、俺がオアシスに行けば十人分の仕事を一人でやれますよ」


「はあ…お前は本当にガキだな。お前が村の連中から勇者だなんだと持ち上げられているのは知っているし、確かに強いのは認める。だがな、自分でも言っただろう、この辺の教会に木魔法の使い手は居ない、もしオアシスでお前が大怪我を負えば、打つ手はないんだぞ!それは『死』と直結する。どうして、皆の心遣いが分からない?お前は自分の強さを過信している」

 この人はダニエルの兄様なのかな?なんか、お説教してる感じがテオ兄様と似てる。真剣な顔の青年に、ダニエルも流石に言い返せなくて下を向いてる。


 僕がダニエルの頭をなでなでしていると、ダニエル兄が言った。

「…それで、その子をどうする気だ。まさか この間連れて帰った竜の子供と同じく、ここで飼うとか 言わないよな…?」

「他にどこで飼うんですか?」

「バッ!バカ!! この髪色は、王族の印だぞ!そんな真似出来るか!」

「竜を飼う時も同じ事を聞きましたが。」

「うぐっ、だから、本来なら竜の子供を飼う事も大罪なんだぞ?!。それをお前が…」

「でも、こんな産まれたての子供を放り出すなんて、可哀想でしょ?」

 

 (いや、僕、一応 四歳なんですけど…)

 

「だから、それはこの間も聞いた!自分が面倒をみると云うんだろう!どうしてこう…っ、とんでもないものばかり拾ってくるんだ!」

 頭を抱えるダニエル兄。


「スノーウェル」

 その時、開いていたドアから壮年の男性が入ってくる。優しげな顔だ。この二人に似てると言うことは、お父さんかな?。つまりこの子爵家のご当主か。

「父上…!父上も何か言ってやって下さいっ。ダニエルがまた…!」

「はぁ…。ダニエル、ちゃんと面倒をみれるんだな?」

「父上!」

「はいっ、勿論です」


「父上!ちゃんとダニエルを止めて下さいよ!」

「はぁ、スノーウェル。ダニエルがこう言い出したらテコでも動かん。お前も良く知っているだろう、体力の無駄だ」

「そんなっ、そりゃそうかも知れませんが、流石に王族の子供を隠れて育てる訳にはいきませんよ!」

「なら、フードを被る事を義務付ける。それなら良いだろう、スノーウェル」

「イヤイヤイヤ、そんな問題の話では…」

 食い下がるダニエル兄から、スっと身を翻してそそくさと消えるジュード子爵。その後ろをダニエル兄が、喚きながら追いかける。

 なるほど、ダニエルは変なものばっかり拾ってくるんだ。そして家族は、そんなダニエルに疲弊している…と。


 

「と、云う訳だ。フードを用意するから被ってくれるか」

 こくりと頷く僕。うーん、というか、この髪色のせいで誤解されてるけど、僕 王族じゃ無いんだけどなぁ。お母様が公爵だから、確かに王族の血は入ってるけど、でもそんなの高位貴族なんてみんな入ってるし。

 要は『王位継承権』が有るかどうかが大事な訳で…、先祖返りのせいで銀髪の子供なんて たまに産まれるし、教会の人物リスト(こせき)じゃ僕はディラン伯爵家の三男なんだから、『王位継承権』なんて無いに等しい。

 

 それを、上手く説明出来るかと言われれば無理な訳で…。なにしろ、自分の名前ですら キチンと伝わらない始末…。

 とにかく、早くテオ兄様とティム兄様に合流しなきゃ!ジェームス王子殿下に危険が迫ってるのも伝えなきゃ!大変大変!これから忙しくなるぞ!


 気合いを入れ直す僕に、ダニエルがメイドさんから手渡された被り物を僕の頭に着ける。

「おお!似合うぞ!ハンチ」

 メイドさんも、ウンウン頷いてる。柔らかい白い布地が頭をすっぽり隠して、お顔周りにはフワフワのレースがついてる。それを顎の下、赤いリボンでキュッと縛る。

 

 いや、これ、赤ちゃんが被るヤツでしょ!!!!

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