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 翌日、私はアデルとアルテリウスと一緒に転移魔法でシリーを聖女としてあがめているという村にやってきた。


「見た感じ普通の村だな」


 アルテリウスの言う通り、こじんまりとした村であまり活気さは見られない。シリーたちはどこにいるのだろうかと歩き始めると、建物から人が出てくる。一人、また一人と現れていつの間にか私たちは周囲を囲まれていた。


 かなりの人数の人たちが手に剣や鍬を持ち、ゆらゆらと近づいてくる。目から光が消えて明らかに殺気を纏っていて危ない。


「ほう、ずいぶんと統制がとれているんだな」


 アデルがそう言って目を細め、村人たちの背後を見つめる。すると、村人たちの中から一人の人影が現れた。


「いい兵たちだろ?自我を取り除いて強化魔法をかけたとっておきの人間兵だ。聖女エアリス、心の優しいあんたにこの兵を殺すことができるか?自我を取り除いているとはいえまだ生きてる。でも殺さなきゃあんたたちが殺られるぜ?」


 濃い紺色の髪の毛に血のような真っ赤な瞳の青年がいる。あれが、魔王の力を持つ男……!


「やあ、魔王アデル。俺の名前はデモス。魔王の力を持つ転生者だ。ようやく会えたね」

「つまらん挨拶は抜きだ。ふざけた真似ができるのもここまでだ、観念しろ」

「ははっ、俺に勝てると思ってるの?俺はあんたを殺してこの世界の魔王になる男だ」


 腕を組み愉悦な笑みを浮かべるデモス。だけど、次の瞬間ヒュンッと何かがデモスの元へ駆け抜けていった。


 キイン!


 ものすごい早さでアルテリウスがデモスに剣を振りかざし、デモスは一瞬で剣を出現させてそれを受け止めていた。なんて速さなの!


「よお、久々だな。お前の相手はこの俺だ。お望み通り万全の体制で来てやったぞ」


 ギリ、と剣を合わせてアルテリウスが言うと、デモスはニヤリと笑う。


「アデル、こいつは俺がもらう」

「好きにしろ、ここが片付いたら様子を見に行く」


 アデルの返事が聞き終わる前に、デモスがアルテリウスの剣をはじいて上空へ逃げるように飛んだ!アルテリウスもデモスを追いかけるようにして飛んでいく。


 建物の屋根を走り飛び、周囲に爆発や防風を巻き起こしながら二人はどんどん私たちから遠ざかっていった。


「さて、ここもさっさと片付けるか」


 アデルがそう言ってから、ふと視線を横にそらす。


「そう言えばお前のことをすっかり忘れていたな」

「は?ふざけないでよ。古い聖女をあたしが殺して絶望に陥ったあんたをデモスに差し出すの。簡単になんて死なせてやらないから覚悟しなさいよ」


 アデルの視線の先には、周囲を村人に守られ顔を歪めて楽しそうに微笑むシリーがいた。








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