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「ファウスは王国に残り王国の守りを堅めていてくれ。そもそもお前は国王だ、戦いの前線に出ることは許されない。それに俺たちが奴らの元を訪れるにしても奴らが王国に何もしないという保証はどこにもないからな」


 アデルがそう言うと、ファウス様は神妙な面持ちで頷いた。


「アルテリウスは俺たちと一緒にきてくれ。俺だけでも問題ないが、エアリスが一緒となると色々と気になるからな、お前の援護も必要になるだろう。エアリスは万が一の時に治癒魔法や防御魔法を頼む。まあ、必要ないとは思うが」


 アデルの話に、私とアルテリウスは力強く頷いた。魔王の力を持つ男と聖女の力を持つシリー。魔王の力を持つ男は得体が知れないし、シリーと同じように残虐的であればどんな戦い方をしてくるのかわからない。気を引き締めていかないと。


「大丈夫だ、エアリス。すぐに片付けてお前との時間をたっぷり取ってやる」


 アデルがそう言って妖しげに微笑むから、アルテリウスとファウス様は目を合わせて苦笑していた。





「エアリス!」


 話し合いが終わって会議室から出ると、アルテリウスが声をかけてきた。


「どうしたの?」

「いや、お前とアデル、何かあったのか?」

「んん?」


 急にアデルのことを言われて変な声が出てしまう。


「な、なんで?」

「いや、二人の様子がこう、なんていうか今までとなんか違うなと思って」


 さすが勇者アルテリウス。私はいつも通り振る舞っていたつもりだけど、アルテリウスはきっと洞察力が普通とは違うのね。


「そ、そう?」


 ハハハ、と照れ笑いすると、アルテリウスが何かに気づいて私の背後を見て苦笑した。え、なんでそんな顔してるの?そう思ったら、フワッと何かが私に覆いかぶさる。


「何をしている」


 アデルが後ろから抱きしめてきた。うう、人前でそんなにくっつかないでよ、恥ずかしい!


「いや、お前たち、なんかやっぱりあったんだろう。今までと違うから気になってエアリスに聞いてたんだよ」

「なるほどな。見ての通りだ」


 後ろからアデルが私の顔を覗き込む。だから近いってば!恥ずかしすぎてアデルの顔を見れない。


「一目瞭然だな。ご馳走様」

「ちょっ、アルテリウス!茶化さないで」


 私が慌ててアデルから離れようとすると、アデルは離すどころか抱き締める力を強めてる。


「随分仲がよろしいのですね。妬けてしまいます」


 少し寂しげな顔でファウス様が言うと、アデルが冷ややかな目でファウス様を見る。


「この通り、俺たちは愛し合っている。お前の出る幕はない。うせろ」

「ア、アデル、そんな言い方しなくても!」


 っていうか、愛し合ってるってそんな、恥ずかしい!だんだん顔が熱くなってきて俯くと、頭上からアデルの楽しそうな笑い声が聞こえてきた。



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