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41 転生者たちとの戦い

 アデルに気持ちを伝えた翌日。私の横にアデル、机を挟んで目の前には国王ファウス様と勇者アルテリウスがいた。アデルのすぐ近くには魔王幹部第一位のユーデリックさんが立っている。


「そろそろ呼ばれるかなとは思ってたけど案の定だったな」


 アルテリウスがニッと笑いながら言うと、ファウス様がアデルを見た。国王なのに、急な呼び出しにも応じると言うことはそれだけこの件が重要だと言うことを示している。


「それで、呼び出したと言うことは今後の方針について決めるということですよね」

「ああ、クソ転生者どもに身の程をわきまえさせてやる。先日、勇者の力を持つという転生者バランが俺とエアリスの元を訪れてふざけたことをしてくれた、それゆえ半殺しにして地下牢に繋いでおいた」


 なんてことない口調で言うアデルを、ファウス様とアルテリウスは驚いた顔で見た。そうだよね、そりゃ驚きますよね。


「二人とも無事ってことは大丈夫だったんだろうけど……そいつの目的はなんだったんだ?」

「エアリスを騙してシリーたちの元へ連れていくことだった。もちろんそんなこと俺が許すわけがないだろう」


 ふん、とアデルは気に食わないという顔で言う。


「ここの地下牢であれば魔王の力を持つ転生者であっても侵入はできまい。それに、わざわざ使えないバランを奪いに来るとも思えないしな」

「それは確かにそうかもしれませんね。それで、有益な情報は何か吐いたのですか」

「いや、ただただクソ転生者たちがクソということしかわからなかった。あいつらは本当に命というものを遊び半分に思って弄ぼうとしている。王国を狙うのも違う世界に来てただ面白そうだから、力を自由に使いたいから、それだけだ」


 アデルの話にファウス様は苦い顔を、アルテリウスは呆れた顔をしている。


「彼らはなぜこのタイミングで揃って転生したのでしょう。転生者だと自覚したのも同時期なのでしょうか」


 ファウス様が渋い顔でアデルに尋ねる。転生者は珍しいことではないし、実際この世界で馴染んで生活している人たちもいる。その人たちは転生前の知識を使ってこの世界をよりよくしてくれていることの方が多い。それなのに、シリーたちは逆にこの世界をかき乱すような行動をとっている。


「その点については突き詰めてみる必要があるな。転生者について知識があるものに心当たりがある。だが、それについては転生者たちを懲らしめてからだ。一刻を争うからな」


 チラリ、と私の方を見てアデルは言った。一刻を争うって……アデルにとってのそれは、きっとファウス様たちとは違う一刻を争うこと、だ。昨日のことを思い出してだんだん顔が熱くなってきた気がする!どうしよう、顔赤くなってないかな。


 そのタイミングでユーデリックさんと目が合ったけど、ユーデリックさんはやれやれと言った顔で私を見た。うう、なんか色々とバレてる気がする。

 少しだけムッとした顔をしてアデルを見るけど、アデルはどこ吹く風という顔をした。


「ユーデリック、奴らの潜伏先は突き止めたか」

「はい、彼らは王国の外れ、遠く東にあるベラギル遺跡にいるようです」


 ベラギル遺跡。遥か昔に衰退して今は完全に廃墟と化している遺跡だ。そんなところになんでいるんだろう?ちゃんとご飯とか食べてるのかな?寝る場所だってなさそうだけど。


「お前、まさか奴らがどうやって生活してるのだろうなどと考えているわけじゃないだろうな。奴らがどんな生活をしていようがむしろどうでもいいだろうに」


 アデルに言われて思わず肩をすくめる。どうしてこう、アデルは私の考えていることを当てちゃうのかな。


「いや、別にシリーたちの心配をしているわけじゃなくてね、純粋にどうしてるんだろうなって気になったといいますか」

「ははは、そんなことつい考えるなんて、エアリスらしいな」


 アルテリウスは楽しそうに笑っているし、ファウス様も苦笑してる。なんだろう、すごく恥ずかしい。また少しムッとしてアデルを見ると、アデルはふんと鼻で笑った。


「彼らは王国から追い出された聖女とその付き人を装って近くの村に通い、食べ物や寝る場所を確保しているようです」


 ユーデリックさんの言葉に、アデルが眉を顰め目を細めた。


「王城から離れた場所なのでシリーが罪人ということも魔王の力を持つ転生者のことも村人は知らないのでしょう。むしろ聖女が来たと言って村の人間たちはシリーたちを崇め始めているようです」

「気に食わないな。奴らのやりそうなことではあるが」


 腕を組んで不機嫌そうにアデルが言うと、アルテリウスが口を開く。


「奴らの居場所はわかった。どうする?アデル」

「決まってるだろう、二度とふざけた真似ができないようにしてやる」



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