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アデルの唇が何度もくっついては離れてを繰り返している。キスの長さに息が苦しくなってきて口を開くと、今度はアデルの舌が口の中に入ってきた。不思議な感覚に襲われて体がゾクゾクする。
「んんっ」
だんだん頭がぼーっとしてきた。酸欠のせいなのかアデルのキスが上手いせいなのかわからないけれど、このままだと本当にまずい気がする。でも体から力が抜けてきて思ように動けない。アデルの体を退けることもできずに、私はただただアデルのキスを受け止めることしかできなかった。
どのくらいキスをしていたんだろう。そっとアデルの唇が離れて、アデルの顔が見える。アデルからは異常なほどの色気が出ていてぼうっとした頭でもよくわかるほどだ。オーロラ色の瞳は光に照らされていろんな色に変化している。いつも綺麗だと思っていたけれど、いつも以上に綺麗で吸い込まれそう……。
フワッと体が浮いたのを感じてハッとすると、いつの間にかアデルに抱えられていた。そしてそのまま、ベッドの上に静かに置かれた。
「アデル……?」
声をかけると、アデルは横たわる私の上に覆いかぶさってきた。えええ、待って待って!これはいよいよ本当にまずい気がする。アデルは私の首元に顔を埋めながら私の服に手をかけようとした。
「ア、アデル、待って!」
まだ半分朦朧とする頭を必死に揺さぶり起こして、私はアデルの体を両手で押さえながらなんとか声を出した。
「なんだ、こうなることは嫌なのか。俺たちはお互いに思い合っているのだぞ。俺はエアリスと一つになりたい。お前はそう思ってはくれないのか」
少しムッとしてそう言うアデル。そう言いながらも私の服に手を伸ばしてスカートの中に手を入れてきた。あああ、もう、ダメだってば!
「嫌とかじゃなくて……そうじゃなくて、流石に急すぎるでしょう!それに、私たちこんなことしてる場合じゃないのよ、転生者の件もあるんだし」
慌ててアデルの手を制するけど、アデルは逆に私の手を掴んでベッドに押さえつけた。そしてはだけたスカートから出ている私の足をジッと眺めている。ううう、なんだかスカスカして涼しいし何より恥ずかしい!
「……いい眺めだな。ふむ、こんなことしている場合ではない、か。ならば、転生者の件を片付ければ何も問題ないんだな?」
「う……うん」
私の返事に、アデルはニヤリと笑う。勢いでつい返事をしてしまったけど、アデルの顔を見てなんとなくまずいような気がしてきた……!
アデルは私の手の拘束を解いて、ベッドの端に腰掛けた。
「わかった、転生者の件を一刻も早く片付けてしまおう。魔王の力を持つ男もシリーもどちらも気に食わないからな。お前の生まれ育った国をどうこうしようとする馬鹿は早々に片付ける」
そう言って私の顔を見ると、またニヤリと笑った。いつもの余裕そうな、まるでいたずらをするような顔になっているけど、それすらも色っぽいからドキドキしてしまう。
「それが片付いたら、今度こそ俺はお前と一つになる。これは決定だからな。……それに、お前にはきちんと確認しておかなければならないこともある」
確認後しなければいけないこと?首をかしげてアデルを見つめていると、急に私の手首を掴んで、私に視線を向けたまま静かにキスを落とした。いちいち色気がダダ漏れていて心臓に悪いのだけれど!
きっと私の顔は真っ赤になっているんだろうな、私の顔を見てアデルはクククと嬉しそうに笑った。
「そうと決まれば、ファウスたちと早急に会議を開かねばな。そろそろユーデリックも情報を持って戻ってくる頃だろう」




