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「どう……して……?」
目の前の光景が信じられない。シリーは私の命と引き換えにアーサーを生かすと言っていた。それなのに。
シリーの持つ剣はアーサーの胸を一突きしている。アーサーの口からは血が流れ、シリーが剣を胸から抜くと、そのまま床に崩れ落ちた。
アーサーが、動かない。
「う……そ……嘘でしょう!?アーサー!ねぇ!アーサー!!返事をして!アーサー!!」
床に横たわるアーサーの体からは血が大量に流れ出し、アーサーは全く動かない。
「そ、んな……いや、いやぁぁあ!!!」
絶叫する私を、シリーは嬉しそうに微笑んで見ている。どうして?嘘をついたの?私は、騙されていた?
「あらやだ、手が滑っちゃったわ。ごめんなさいね、殺してしまったみたい」
シリーはそう言ってケラケラと楽しそうに笑っている。そんなシリーを、私はただぼう然と見つめることしかできない。
「は〜、その顔、最高ね!絶望に歪む顔!あはは!魔王に保護されてのんきに暮らしているのが悪いのよ。森で死んでいればこんなことにならなかったのに」
シリーは剣をぶらぶらさせて楽しそうに言いながら、私の目の前までやってくる。もう、何が何だかわからない。
「というわけで、あなたも死んでちょうだい。あなただって早くこの男のところに行きたいでしょ?あぁ、その様子じゃ、もう何を言ってもだめそうね。可哀想、早く殺してあげなきゃ」
そう言って、シリーは剣先を私へ向けた。
「じゃあね、さようなら」
シリーがそう言って、剣を私に振りかざした。そっか、私、死ぬんだわ。
そう思って目を閉じた瞬間。
バンッ
大きな音がして、シリーが遠くへ弾かれた。なぜか私の周りには結界がはられている。いつの間に?誰が?
「余興は終わりか?クズ聖女」
声がして、ふわっと隣に温度を感じる。ぼんやりとしたまま横を見ると、そこにはいつの間にかアデルがいた。
「ア、デル……?」
「なっ、なぜ魔王がいるのよ!!約束が違うじゃない!!」
シリーが慌てたように叫ぶと、アデルはつまらなそうに鼻で笑った。
「約束を先に破ったのはお前だろう。アーサーの命が無くなった以上、エアリスが一人でいる必要はない」
「そ、そんな、そもそも王城にもこの部屋にも魔族は絶対に入れないよう結界が……」
「結界?あぁ、そんなものも確かにあったな。俺にとってはあんなもの結界のうちに入らないが」
アデルの言葉にシリーは両目を大きく開いて狼狽えている。
「どうした?そんなに驚くことか?そんなことより、ぼさっとしているとそこの男に逃げられるぞ」
アデルが顎で指し示す方を見ると、アーサーがのそり、と立ち上がった……!
「な、なぜ?!お前、さっき死んだはずじゃ……!」
驚愕するシリーを見ながら、立ち上がったアーサーは口から血を流しニヤリ、と笑った。




