表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/5

4

銃を召喚し、基本射撃を教えることにした。


これも、細心の注意が必要だ。

例えば、そこら辺を歩いている人を捕まえて、簡単にレクチャーをすれば、自動小銃なら、200メートル先の的に当てることは出来る。


しかしだ。


軍隊は、一人ではないのだ。


転生前に、ミリオタ同士で、5.56ミリ小銃は、反動がそれほど大きくない。だから、片手撃ちガーとか、そんなくだらない事で論争が起きていた。


確かに、単発なら、それほど、威力は大きくないが、三連射や、連射なら、話は違ってくる。連射なら、わずか数秒で、20発は撃ち尽くす仕様だ。


一端、反動が、それほど大きくないと教えたら、必ず100人に一人は、変な撃ち方をする奴が出てくる。


一人なら、アメリカの有名な戦争アクション映画のように、銃を片手で持ち。連射をするのも良いだろう。


しかし、軍隊の組は、最低3名だ。味方死ぬだろう。


最初は、10人、冒険者パーティーのリーダーを集めて教えることにした。

弾は渡さない。所作を教える。


照準の仕方を教える。まず。単発だ。素人と一般兵士の違いは、素人2割、兵士8割の的中率と言われている。


その差は、


「照準は必ずズレる。的を中心に、照星がグルグル回るようになったら、正しい照準だ」


「いいか、引き金を引くときは、ゆっくり引く。引け!」


カチャ!カチャ!カチャ!


実はたいしたことはない。それが体にしみこんでいるかどうかの違いだ。


空撃ちさせる。

そして、自分で、撃鉄を起こして、また、演練、


訓練が終わったら、必ず武器は一括管理だ。


「頼むよ」

「はい!」


冒険者ギルドの一室をお借りして、事務員に依頼した。

戦場なら、誰か係を指名して、管理させる。


識字率の低いこの世界は危険だ。


そして、実際の射撃だ。


バン!バン!バン!


一応、俺が、手本を見せる。


「弾痕がまとまっているのが、良い射撃だ」


「「「はい」」」


彼らは撃つ。的の真ん中に命中している奴がいたが、二発目以降は、的を外れている。

的を外れているが、弾がまとまっている。様々だ。


そして、連射だ。

これは、怖い。


ダダダダダダダダダダダ!


「あれ、当たらない」

「どうして、そうか、反動が激しいからだ」


自分で考えるようになった。

わずかな反動が、大きくズレる。200メートルなら、数十㎝だ。


「それでいい。弾をばらまく感覚だ」


次は、銃の分解結合を教えたいが、俺だって、自衛隊の装備を詳しく知らない。

それは、教本を召喚して、おいおいやるとして、


弾詰まりを解消する方法だけ教えた。


「困ったら、コウカンをカチャカチャだ!やれ」


「「「はい!」」」


まあ、つまり、手動で、強制的に、弾を排出するのだ。

1000発に一発は、弾詰まりを起こすと想定している。

一発目が、弾詰まりの可能性があるのだ。



そして、残ったドワーフに、銃の整備をやらせた。一回射撃をすると、思ったよりも、薬莢のクズや、火薬のカーボン繊維がこびりつく。


「なんでえ、これは、バネがこんなに精巧に作れている」


俺も一生懸命に覚えた。教本は、実物があれば、理解できる。これは、勉強そのものだ。良かった。義務教育を履修していれば、大抵理解できる。


ドワーフに教える。


「報酬は、食べ物しかないが」

「おう、これの設計図を作りたいぜ」

「いいが、再現不可能だと思うぞ」






しかし、思わぬ誤算があった。

弓使いは上手く射撃出来ない。


射撃方法が根本的に違うのだ。

銃は撃つときに、肩に銃尾を押しつける。


しかし、弓は、引くようだ。


なら、弾くか。


「じゃあ、いいよ。弓の練習をしなよ。持ち味を殺すことはない」


「でも、銃を撃ちたい!」

「そうだ」


「かっこいい武器を教えるよ」


と爆破を教えた。

これも、やり方自体は、簡単だ。教え方に注意が必要だ。


まず。TNTを爆破させる。


ボン~~ン!


威力を目の当たりにさせてから、

爆破のやり方を教える。


因みに、TNT爆破薬本体は、暴発は滅多な事では起きない。爆破薬本体に、雷管を突っ込んで、起爆するのだ。

落としても平気だが、それは、口を避けても言えない。


真に危険なのは、雷管だ。

悪い発破師が、雷管をちょろまかして、川の石に投げつけて、漁をした逸話を聞いたことがある。

それが事実だと思うくらい爆発しやすいのだ。


「雷管をポケットにいれるの禁止、両手で持て!」


「「「はい!」」」


これは、有名な映画、プライベートライアンであった。

上陸地点で、破壊等で、鉄条網を破壊しようとするシーンだ。


中隊長に、導火線の付いた雷管を渡す。手渡しだ。

妙に、日本の法令と同じで感心したものだ。



また、ドワーフにカタパルトを作らせた。

石投げ機だ。それに、爆薬を入れて、敵に飛ばず。





やがて、魔王軍が進撃してきた。


思ったよりも小勢だ。

しかし、こちらの城壁も、土で2メートルだ。


草原に出て、迎え撃つ。

何とか召喚した軽装甲車を、盾にする。


バン!威嚇して撃ったら、


「「「「!!!」」」



驚愕して、距離を取る。300メートルだ。


この距離は、射手からしたら、動いていたら、当たる気がしない。

狙われる方からしたら、逃げられる気がしない絶妙な間合いだ。

これは一般兵士の場合だ。


武田君、動いていれば、300メートルなら当たらないと判断されたな。

緊張を解けさせない間合いだ。


やはり、魔王軍は、対銃のドクトリンを開発したか。


ドロドロドロドロ~~~~


太鼓の音が鳴り響く。


大体、敵の出方は予想できるが、


「ドラゴンだ!」

「あれをやるの?」

前方に、集中させて・・・・と来た。


死霊だ。ゾンビたち、この国の騎士団一個中隊か。嫌がることを知ってやがる。


そして、土嚢を積んだ荷車が、ゾロゾロ前を塞ぐ。

おお、ここから見える。

三人一組で、土嚢を作っている


一人がツルハシで、土を掘り。もう一人が、シャベルで、柔らかくなった土を、3人目が、構えた土嚢袋にいれ、縛る。

すると、恐ろしい速さで、土嚢が積み上がる。


戦時国では日常茶飯事の光景だ。


「「「ウウウウーーーー」」」


やはり、死霊ぞんびだ。土嚢の壁の間に、ローブを羽織った死霊使いに率いられた死霊が、集まって来る。魔王軍は、死霊を弾よけに使っているのだ。この国の騎士団一個中隊か。嫌なことを知っている。


まず、ドラゴンだ。


上空に、3体。小型。ワイバーンというところか。奴らは火を吐く。

火炎放射器の射程は、最高80メートル、有効射程は、40メートルという所か。地上に降りて暴れられたら、目も当てられない。


上空をクルクル回っているな。

あれは、ヘリだ。


近年、ヘリは廃止される方向にある。

打ち落とされやすいからだ。



実はもっと早くから分かっていた。


1970年代、旧ソ連は、アフガニスタンに侵攻した。

ソ連はヘリを多用するが、

自動小銃で打ち落とされた古い映像を見たことがある。


当時は、アメリカの戦争映画のヒーローと共闘したタリバンだ。


数十人並んで、空に向かって、撃つだけだ。

西側のジャーナリストが撮影したと云う。


当時は、7.62ミリ弾か?


こちらも7.62ミリ弾の64式で30人ほどそろえた。


200メートルくらいか。威嚇用に、空を飛ばしているだけだ。近づいたら、銃でやられるか、崩れたら、降りて来るのだろう。



「1から3班、各個に撃て!」


ダダダダダダダダ!


「「「!!!」」」


ドタン!一体、敵と味方の間に、落ちてきた。

他のワイバーンは逃げ出す。


これが前哨戦か。


「「「「ウウウウーーーーーーー」」」


ゾンビが迫って来た。これで銃弾を防ぐのだな。

やり方はいろいろあるが、


「爆破用意!爆破!」


ドドドーーーーン!


ゾンビが宙を舞う。

俺は、地雷の除去のやり方を知っている。地雷は、爆破で吹き飛ばすのが良い。

あらかじめ。地面に、対戦車地雷を埋めておいた。最新式のは、振動で爆破するものがあるから、古い地雷を使った。


対戦車地雷でも、人が乗れば、爆発するのだ。

あらかじめ。地雷の安全弁を外さず。C4爆破薬で、起爆するようにしておいた。

起爆は、有線の電気だ。


「それでも、ゾンビは残っているか?なら、弓手、爆薬付き矢を、各個で放て!」


「「「着火ヨシ!」」」


ビョン!ビョン!


これは、二人一組で、一人が発火し、素早く、弓手に渡す。

導火線の長さは、20秒にした。


ゾンビに刺されば、吹き飛ぶハズ。


ドカーーーーン!


小爆発が起きた。


次は、無反動で、敵の土嚢車を吹き飛ばすか。


いや、待て、ここで、勝っても日干し作戦を採られたら負けだ。

威嚇するか。


「砲手!あの山に向かって・・・待て!」


白旗を掲げた一団が来た。


ダークエルフだ。体のラインを見せつける服を来ている。太ももとヘソを見せつけている。正直、目のやり場に困る。


「軍使である。ここは、さほど、重要ではない。背後から、襲われたら厄介なだけだ。どうする?王国に殉じるか?」


「いえ、殉じません!」


即答した。中立の立場をゲットしたぜ。


「なら、食料を置いて行く。ゆめゆめ背後から襲うなよ」


奴ら、行軍中は危険だと分かっているのだ。


やがて、食料が届き。わずかな監視部隊が、残った。


「あのドラゴンは?」

「素材取ろうよ」


「いや、待て、埋葬をする。奴らに見せつけるのだ」


ドラゴンは奴らにとって、戦友だろう。

解体したら、心証が悪くなる。


それに、素材をとっても、買い取ってくれる所はない。



やがて、王都攻略が始まったと噂で聞いたが、難航しているようだ。


俺は、訓練を命じる。

敵は野盗だけではない。


貴族が逃げてきた。


「王国の第3王子殿下である。この街を明け渡せ!」



「威嚇射撃で、追い返せ!」

「「「はい!」」」


ババババーーーン!


スイスをモデルにしている。スイスは第二次世界大戦中、中立を保った。

枢軸国だけではなく、連合国の軍用機も打ち落としたのだ。


それくらいしなければ、中立を保てない。


徴兵制があって、家に小銃を保管している。


その全貌が分かると、途端に、文化人は、コスタリカをモデルにして、非武装中立だとか言い出す。

コスタリカも、憲法で、徴兵制が明記され、警察は重武装だ。一説には、国境警備隊が、軍隊の役割を担っている。


どこの世界も、軍事力の空白は許さないのだ。



魔王軍からも来た。あのダークエルフだ。


「協力して欲しい。人族の石の家は、攻略が難しい」


「いえ、約定は、中立でしたが」


「フム。もう少し、考えて、条件を出せば良かったか」


ここで、助言をした。


「陛下は、何をお考えですか?人族の殲滅なら、不可能です。他国が援助するでしょう」


「何故、我が、魔王だと分かった」


「だって、魔王軍の部隊長の態度を見たら、分かりますよ」


「フフフフフフフフ」


実は、既に、人族の他国の間諜が、この領に来ていた。

魔王軍のもだ。商人だ。人族であるが、どうも、様子がおかしい。何て言うか、エートスが違うのだ。


ここら辺も、スイスだろう。



魔王軍は様々な種族の混成だ。配下に、人族もいてもおかしくない。


「王都は10万人都市です。日干し作戦をしたら、今後の統治に支障をきたします。上手い具合に、仲介します」


俺は説明した。この国は、魔族領と近い。人族との交易の拠点にすれば便利だろう。

魔王軍は強力だが、人口比率では、人族が圧倒する。


この国の王を魔族に偏見を持たない人族にすれば、面目も立つ。

落とし所はそこか?


「和睦ですよ。陛下が言ったら聞かないでしょう。人族の大国が仲介すれば良いでしょう。王の退位です。そうすれば、臣下も説得しやすくなる」


「で、貴殿は何を望む」


「それは・・・」

「うむ、こちらとしては、痛くもかゆくもない・・」



やがて、王都は開城し、各国の大使が集まった。


俺も見届け人として来た。


俺の報酬は、異世界転移の魔方陣の破壊と神官達の処刑だ。


これは、人族にもメリットがあった。この国は、軍神を信仰していた。

女神教が、代わりに布教を始める段取りまで付いた。


「女神教では、召喚は、女神様の御業です。人族が行うのは、許せません」


「しかし、魔族との戦いで黙認してきました」





ドカーーーン!


魔方陣のある神殿は俺が爆破した。これが、最後の爆破であることを願う。


神官達の処刑は、任せた。


これで、各国が会議して、王を定めて、落ち着くのだろう。


「あれ」


ドタン!


俺は倒れた。魔力の使いすぎだ。



最後までお読み頂き有難うございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ