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5話 歩み

許斐ひかる ハマったら深く狭くタイプ。中学時代から同じバンドを聴いている

桑野綾人 かなり飽きっぽい。ボルダリングに少しハマって2回で飽きた

それからは、そこそこ俺たちは順調だった。

初めて出たバラエティで、披露したネタはめちゃくちゃウケた。

緊張はしたけれど、意外と俺は平場でも堂々話せるタイプなんだとテレビに出て初めて分かった。テレビ局の偉い人にも名前を覚えてもらえて、次の仕事もいくつか決まった。

逆にテレビでは桑野は全然喋れなくて、それをカバーするように必死に俺が前に前に出ていたら、それがうまいこと評価されたのだった。


それからもライブにはずっと出続けた。

以前よりすこし広い劇場に立てるようになった。同期や先輩のライブにもゲストで呼ばれて、あまりやっていなかったコントも再開するようになった。賞レースにも参加し始めて、準々決勝までどうにか進めるようになった。

出待ちが増えた。気合いが入った差し入れをもらうようになった。もらった連絡先の枚数で、桑野と競って遊んだりもした。

コンビの中でも目立つ俺が貰うならまだしも、特に目立たず、特にテレビではなんの爪痕も残せていない桑野が、多少の顔の良さだけで俺より良いものをもらうこともあった。それはちょっとムカついた。


先輩のラジオにゲストで呼ばれたことをきっかけに、全国ネットのラジオの若手オーディション枠をもらった。

そもそも幼馴染同士でコンビを組んでいるので、なんとなくお互いのタイミングやテンポがわかる俺たちはラジオが強かった。

来期の改変後、レギュラーになる事が決まった。初めての、2人だけの仕事だった。 


嬉しくって2人で部屋で呑み明かして、2人して翌日のライブに遅刻してめちゃくちゃ怒られた。

青い顔をして頭を下げる僕の横で、桑野がヘラヘラして余計に怒られていたのを覚えている。焦った時とか困った時の桑野の悪い癖で、これはなかなか治らない。

まあその分俺が謝れば良いやと思った。2人でやっているんだから、うまいことお互いカバーしていけばいい。

お互い得意不得意がはっきり割れている俺たちは、2人でならなんとかなることがすごく多かった。


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