表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/15

1話 きっかけ

登場人物


許斐ひかる 179センチ 猫背 ラジオ好き

桑野綾人 177センチ ちょっとお坊ちゃん 漫画好き

出会ったのは中学生の頃だった。

転校してきた俺の、前の席が桑野だった。

人懐っこい性格の桑野が授業中に何回も後ろを振り返って俺に話しかけてきたのが、始まりだった。


「許斐って苗字珍しいね。どこ出身?」

「東京」

「なんだよ同じじゃん、父ちゃんが地方出身とか?」

「知らない」

「知らないか〜まあいっか。父ちゃんに聞いてきて教えてよ」

「………はあ」


ありえないことにこれが最初の会話で、正直俺は桑野がめちゃくちゃ怖かった。

ただでさえ卑屈で根暗で、あんまり人をすぐ信用できないタイプだった俺は、こんな男のことなんか信用できなかった。どこか中性的な顔立ちで、よく笑ってよく喋って、明るくて友達も多い桑野は住む世界が違う人なんだと思っていた。


だけど、何か決定的な事があった訳ではないが、毎日顔を合わせるたびに少しずつ仲良くなっていった。好きな映画も好きなドラマも、なんとなく俺たちは似ていた。


「…それ、ファイル。好きなの?その映画」

「うん。兄ちゃんに勧められてハマってて…許斐知ってんの?」

「俺全作観てるよ。家にあるし」

「マジ!?俺まだ3以降観てなくってさ〜今日行っていい?」


たしかそれをきっかけに、お互いの家に行き来するようになった。もう少し経つと桑野が家に泊まりに来るようになって、俺も桑野の家に泊まりに行くようになった。桑野のにいちゃんともちょっと仲良くなった。

そうして気がついたら大学も同じまま、俺たちはずっと一緒にいた。


お互いお笑い好きで、高校では文化祭で大学では学祭で、俺たちは漫才をやった。お祭りムードの中、身内だらけの集まりでそんなことをやれば何したってドカドカウケる。


何をやっても上手くいかなくて、何をしたって楽しくなった俺が初めて、いいなと思ったのがこれだった。


そろそろ進路を決めようって時に俺が桑野を誘って芸人を目指すことにした。

桑野は普通に就活も成功しそうな雰囲気だったが、俺が誘うとあっさりOKした。それからは大学に通いながら養成所に通った。入って少し経ったあたりから、俺たちは親友から少しずつ、相方に変わって行った。

養成所には俺に似たような、卑屈なやつも暗いやつもいっぱい居た。居心地は悪くなくて、桑野以外にもそこそこ友達ができた。

それでもなんだかんだで、俺は桑野とばかり行動していた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ