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念を使ったカイザーとの会話

スターコンツェルンビルから外へ出たメープルは盛大にため息を吐いた。


それは日差しの暑さのせいもあり、ジャドウは役には立たないと確信したせいでもある。


仮に何か隠し事をしていたとしても決して語ってはくれないだろう。


では、スターに相談するか?


それも無理だ。


何故ならスターは地球を飛び出し、全宇宙のどこかにいる。


広大な宇宙では探しようがないし、下手をすれば平行世界に旅行していることも考えられる。


大人たちは無力だ――


メープルは歩きながら、移動販売をしていたジュース店でストロベリージュースを購入し、飲み歩く。


甘酸っぱい苺で糖分を補給しながら、歩く運動をすることで脳を活性化する。


良い知恵が思い浮かばないかと歩いていると、脳裏にカイザーの姿が浮かんできた。


役立たずふたりは問題外として、カイザーは違う。


文武両道で記憶力も良いから頼りになる。


「彼に聞くしかないわね」


メープルは考えをまとめ、さっそく行動に移すことにした。


空になった透明コップをゴミ箱に捨て、念を送る。


スター流のメンバーは携帯などの文明の利器をあまり使わない。


携帯がなくとも念を送って直接やり取りができるからだ。


やがて、脳内にカイザーの声が響いてきた。


『君からの電話ということは、何か事件でも起きたかね』


『事件ってほどでもないけど、近頃少し変なのよ。ムースが美琴とイチャイチャしちゃって』


『それはいつものことだろう』


『違うのよ。美琴がムースに惚れて、結婚する前提で付き合っているみたいなの』


『両想い禁止の掟が撤廃されたから、そうなるのもある程度は頷けるが、妙だな。

彼女には確か想い人がいたはずだ。名前は――』


ちょっと間が空き、カイザーの念が送られた。


『ダメだ。思い出せん』


『やっぱり、あなたもそうなのね』


『その口ぶりだと、君もそうか』


『そうなのよ。思い出せないの。私たち、スター流にとって非常に大切な存在だったと思うのだけど、誰だかわからない』


『これは――不吉な予感がする。何者かが我々の記憶を操作したかもしれん』


『あり得るわね。でも、手がかりが何もないの』


『……異変に気付いたのは君だけか』


『そうよ。私以外は気にもせずに日常を謳歌しているわ』


『思い出せず、その人物に関わる記録もない。これは厄介な事件かもしれん。

すまないが、この事件は君に任せる。私も何か案が浮かんだら報告しよう』


『わかったわ。ありがとう』


念を切ってメープルは鋭く青空を見上げた。


「記憶操作に記録消失。そんな真似ができるのは、ひとりしかいないわね」


メープルは少しだけ口角を上げた。


「前会長のスターさん。今度は何が狙いかしら?」

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