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めんどう

「切れ味良し。耐久性も良し。」


 コーサは昨日出来た妖メスの出来を見ていた。

 木を切ったり、攻撃を当てたりして耐久性と切れ味などの項目を埋めていっていた。

 今はアイシャが交渉してコーサが制作するガスマスクの製造場所を作っている最中だった。

 だから、コーサはアイシャが建てさせたコーサのための屋敷に待機していた。


「良いのですか?」


「なにがだい?」


 レスが機嫌悪そうにコーサに尋ねた。


「アイシャ様を信頼して今回のガスマスク製造所の建設など色々任せていらしゃる事です。」


「なんだ、そんな事か。」


 コーサはどうでも良いように答えた。


「良いよ。これは試しているだけだから。」


 アイシャがどれだけ使えるかの批評にするための試しである。

 でも、いつものコーサならだいぶランクを下げた依頼を用意して様子を見ることが殆どだ。

 コーサの実験や製造に携わるものを用意するのはレスの仕事であった。今回もエルフ相手だろうがコーサの期待以上の成果を出そうと張り切っていたのだが、その役目をアイシャに取られて拗ねているのである。


「自国ならレスに任せるけど此処はアイシャの国だからね。これからも使えるか確かめておかないとね。」


 コーサはアイシャを信頼していない。

 と言うよりコーサは他人を信用しない。その事をレスはよく理解している。

 だから、自分には信頼して欲しいと思って努力している。

 それがレスが唯一持つ願望である。


「それより凄いね。予想以上だよ。」


 コーサは妖メスを見ながら言った。

 中に入った怨霊は未だ眠ったままである。意識や身体を組成している物質が変異し入れ替わりぐちゃぐちゃになっている状態なので今は眠って力を慣らしている状況だ。

 目覚めた時はより強い力を持って産まれるだろう。


「予想していた以上の上物になった。これは嬉しい誤算だね。そして、これは悲しい誤算だね。」


 コーサの持っている妖メスがヒビ割れが出来始めていた。

 強くなる怨霊の力にメスが耐えられなくなっているのだ。


「補強しないと壊れるかもしれないけどアルカディア(ここ)では補強するのは無理だろうからね。」


 エルフが使う武器は弓と木刀が主流である。

 森に住むため、木材は豊富だったところから近接は木刀になり、遠距離は魔法か弓で敵を撃退してきた背景がある。

 エルフは木工は世界最高峰の技術を持つのだが、金工等の金属関係はそこまで発展していないと言うより木工で事足りるので金属を発展させる必要がないのだ。

 つまり、少しの修復ならともかくコーサのメスを補強するなどエルフの地では土台無理なのである。


「ストロンガー領まで持てばいいが、最悪、封印を解いて一からやり直しだな。」


 コーサにとって怨霊自体は脅威ではないため、お気に入りのメスが壊れて封印が解かれるくらいなら壊れる前に解いた方が良いのだ。


「ですが、他国でそんなことをしてしまえば、侵略行為やテロ行為と見做される可能性があります。」


 閉鎖された洞窟内で聖域という人があまり近づかない場所だった事で目撃者が少なく口止めや口封じがし易く、コーサ意図的に解放した訳ではないため問題にならなかったら、街から離れた場所である屋敷であっても首都であるため実力者も多い。必ず、怨霊の気配に気がついて色々問題になるのは明白だった。


「まぁ、その時はその時だよ。誤魔化し方は色々ある。」


 コーサがやったことにならければ国際問題にはならない。

 ただ単に凶悪な怨霊が現れた。

 それだけにして仕舞えば良いのである。


「…………そうですね。ですが、此処は他国です。何があるか分かりません。留意して下さい。」


 レスは心配しているが、コーサを害せる存在は世界でも数少ないのである。

 でも、それはコーサが一人であった場合である。


「…………はぁ、噂をすればなんとやらかな。面倒事がやってきた。」


「下賎な!ヒューマンよ!出てこい!!」


 エルフの団体が屋敷前で叫んでいた。

 どこから情報が漏れたのか。コーサ達がいる事がバレたようだ。


「どうします?コーサ様?」


「始末しますか?」


「やってしまいましょう!!」


 自分の主人が侮辱されたと感じたメイド達が活気盛んにコーサに訴えている。


「うーん、このままいいと思うよ。だって………」


「出てこないのあれば!突入する!ぎゃあああ!!!」


 ドカン!という音と共にさっきまで叫んでいたエルフが屋敷の扉に触れた瞬間、悲鳴が鳴り出した。


「何もしなくても勝手にやられるから。」


「バラン!な、なんだ?!この生物は??!」


 扉を触ったバランと呼ばれるエルフの腕を噛みちぎった生物の異様な姿に他の仲間エルフが驚いていた。


「そろそろ餌の時間だったし、丁度良いよ。せいぜい足掻くと良いよ。」

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