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ポーション耐性

「えーと、今日はこれで、明日はこれで…………」


「ヤァ、何してるの?」


「あっ、カラちゃん。今ね、ポーションを整理しているの。」


 此処は南のダンジョンを中心に造られた街、サウスウの宿。

 ベロニカ達含めたジェシカのパーティは今はこの街で活動をしていた。


「へぇ、それにしても色んな種類のポーションを揃えてるんだ。」


「うん。そうしないとポーション耐性が早く付いてしまうからね。」


 ポーション耐性。

 同じ種類のポーション。

 例えばバラカイナ草主体のポーションばかりを使っているとそのポーションの効き目が薄くなっていく現象のことである。

 冒険者はこれを防ぐために様々な工夫をしている。

 逆に言うとあらゆるポーション耐性が付いてしまうとそれは冒険者としての引退を意味していた。


「そうなんだー。すごいねー。」


「なんで?カラちゃんが知らないの?」


 ポーション耐性を知らないカラちゃんが珍しいだけだよとヤァは思ってしまいつい口に出してしまった。

 ヤァが思ってしまうのも無理がない。冒険者や騎士など戦闘に関わる仕事をしている人達は誰でも知っている常識だからだ。


「?私達にとってポーション耐性なんて生まれつきあるものだからよ。」


「ベロニカ様。ジェシカ達との訓練はどうしたんですか?」


「アンタの戻りが遅いから。呼びに来たのよ。」


 カラはベロニカ達に水分補給用の飲み物を取りに来たのにその事を忘れてヤァと話し込んでいたのである。

 そんなカラの性格を知っているベロニカはまた忘れているだろうって疲れで倒れてしまったジェシカ達をそのままにしてカラを呼びに来たのである。


「あのージェシカさん達は………」


「ジェシカ達なら冒険者ギルドの訓練場にいるわ。」


 ヤァはジェシカ達の居場所を聞いたのではなく状態を聞いたのだが、ベロニカの反応からジェシカ達がどうなったのか察した。


「それより貴方は何しているの?」


 さっきも同じ事をカラに聞かれたのでベロニカにも同じ内容を話した。


「私が聞いたのは入院していないパーティメンバーは訓練に参加する事になっているのになんで貴方はこんな所にいるのかって聞いているのよ。」


「ヤァはまだ見習いだからよ。」


 ベロニカが声がした方に振り抜くとそこには暫く起き上がれないくらいにボコボコにしたジェシカの姿がそこにあった。


「あら?随分と早いお目覚めね。」


 ベロニカはジェシカの回復速度と耐久力が着々と上がってきている事が分かって内心嬉しく思っていた。

 ジェシカだけは上の訓練をしても大丈夫だなと考えるベロニカの思考を察したのかジェシカは悪寒を感じていた。


「それより、見習いならより訓練に参加させて強くしないといけないでしょう。」


「軍人と冒険者は違うのよ。冒険者はまず戦闘技能より生存のための知識を身に付けるのが先なのよ。」


 戦闘能力と団体行動の訓練を先に取り組む軍人とは違って冒険者にとって最優先にするのは生存であるため、生存に必要なサバイバル技能や知識、そして冒険者としての基礎知識を学ぶ事を重んじているのである。

 ベテランであるほどそれを徹底して見習いにその方向で指導しているのである。


「ふーん、外様はそうなのね。」


 軍人である前にストロンガー領の民は生存能力が高い為、生存能力の底上げより戦闘能力を鍛える方が結果的に生存確率を上げる事に繋がるのである。


「だから、ヤァは訓練に参加しなくていいのよ。」


「まぁ、良いわ。此処のリーダーは貴方だから。リーダーがその方針なら私はそれに従うわ。」


 リーダーと思っているならもっと指示を聞けとジェシカは内心愚痴をこぼしていた。


「それにしても、その異常な毒耐性にもデメリットがあったのね。」


「どう言う事ですか?」


 ジェシカの発言に疑問に思ったヤァはジェシカに聞き返した。


「さっきベロニカが言っていた産まれつき持っているポーション耐性って毒耐性の副産物でしょう。」


「正解よ。ジェシカ、やっぱり貴方、頭が良いわね。」


 一発でベロニカの話を理解したジェシカのことをベロニカは感心していた。


「昔の私達はポーションをあまり使って来なかったわ。だから、ヒーラーの平均的な実力は外様より上になったわ。」


「確かに、ストロンガー領のヒーラーはやたら腕が良い人が多いと思ったけどそんな理由があったのね。」


 ジェシカ達もこの地に来てすぐストロンガー領のヒーラーにお世話になったため、彼らの実力はよく知っていた。

 その時の回復の早さや手際の良さを感心していた。


「だから、私達はコーサを大切にしているのよ。」


 コーサの研究に金を惜しまない理由は自分達に効くポーションを生み出す事に成功した実績がある為だった。


「コーサの研究は私達にとって救世主と言ってもいいのよ。あの子がいる限り私達はより戦え、強くなれるのよ。」


 ベロニカの目はキラキラと輝いていた。

 ベロニカにとってコーサは大切な弟であることはもちろんとしてストロンガー家で自分の命より大切な存在なのである。

 だから、コーサを傷つける者を決して許す気は無いのである。


「気をつけてね。貴方達がそんな馬鹿な事をするとは思わないけど、もし!あの子の邪魔をする事をしたら、私は何をするかわからないわ。」


「あぁ、わかっている。」


 ベロニカの目はマジだった。

 今までに感じたことのない殺気を感じたヤァは何かが自分の心に目覚めた感覚に襲われた。


「?」


「どうかしたの?ヤァ?」


「ううん、なんでもないよ。カラちゃん。」

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