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友と姉

4月から四の倍数以外日に変更して投稿します。

「来てくれてありがとうね。早速なんだけど、君の友達にダークエルフが居るって本当?」


「はい。それがどうかなさいましたか?」


 自分の友人にダークエルフがいた事を認めるメイドはそれで呼び出された理由が分からなかった。


「そう。じゃあ、その子を此処に連れてくる事は可能?」


「は?」


 交通費は出すというコーサに何を言っているんだ?という見るメイドだった。


「呆けてないで答えない。ナサァ。」


 いつまでもコーサに返答しない後輩メイドに早く答えろと注意するレスだった。


「は、はい!それは難しいかと…………」


 先輩メイドのレスに殺気も当てられて怯えながらコーサの依頼を拒否した。


「それはなんで?」


 ナサァの返答に反応する事なく、何故、連れて来ない理由を聞いていた。


「あの子の種族は自分達の国から離れない上にあの子自身も出たがらないから。呼びに行っても無理だと思います。」


 エルフとダークエルフが似ているのは姿形と長寿なところだけではない。

 国が鎖国しているのもそうなのだが、似ている特性の一つだった。元々、鎖国気味な国が過去の出来事で完全に鎖国なった。

 鎖国になって千年とも言われているが、交流の少ない種族な為、いつ頃から鎖国にするかは歴史家によって変わっている。


「そんな事は最初から分かっているよ。それでも、連れてきてくれないかと言っているんだ。」


 ダークエルフの種族を考えると引きこもっている可能性が高い。その為、連れてくる事が難しいのと言われるのも想定済みである。

 それでも連れて来いとコーサは強要しているのである。


「そんな事を言われましても………」


「どうにかして説得しなさい。主人の望みを叶えるのは従者の務めです。」


 レスからも強要されて絶望顔を見せるナサァは頭がぐちゃぐちゃになっていた。

 そんな事を言ってもあの子が家から出てくるわけがない。頭の中では答えが出ているが、ナサァはコーサへの返答は最初から代案か、イエスかの二つしかない事も分かったから。頭の中では混乱していた。


「…………では、こうしよう。他の者でもいいから。ダークエルフの知り合いはいないか。」


 親しくなくてもいい。交渉はこっちですると言うコーサに頭の中で知っているダークエルフをナサァは整理していた。

 コーサが信賞必罰を徹底しているストロンガー家でも褒美も罰も凄い事はそれなりに屋敷で働いているナサァは知っていた。

 だから、報酬で動くダークエルフを考えていた。

 そして、一人を思い浮かんだ。


「コーサ様!一人思い当たる人物がいました!」


 早くこの地獄から解放されたいナサァは生贄を思い浮かんだ瞬間に嬉々として言った。


「閉鎖的なダークエルフな中で異質な人でして、冒険者として異国を旅していると言う話です。」


 件の友達の姉がそのダークエルフである。

 百年ぐらい前から閉鎖的な自分の種族を嫌になって冒険者として外国を旅をしているのだ。

 ナサァはその事をコーサに一から十まで説明した。


「へぇ、そんな面白い子がいるんだ。」


 明らかに年上なのが分かっているのに格下扱いするコーサの肝の座り具合にナサァは驚いていた。

 コーサが喜んでいる事を長年付き従っているレスには分かった。


「それなら早速その子に連絡取ってもらえるかな?君の友達の姉ならその友達を通じて連絡できるよね。」


「はい!直ちに!」


 急いで部屋を退出するナサァにレスはため息をついていた。


「すみません。コーサ様。私の教育足らずでした。」


 レスはコーサに謝りながらメイドらしからぬナサァの姿に後で教育が必要だなとこの後の予定を考えていた。


「それより、あの子は自分の欲しいものを言っていないけどどうしようかな?」


 元々、研究に協力してくれるダークエルフはもちろんの事、そのダークエルフを紹介してくれたメイドにも褒美は与えるつもりだったのだが、ナサァは何も言わずに出て行った為、どうしたものかとコーサは悩んでいた。


「ナサァは常々、拘束されている彼氏を助ける方法を聞いていました。」


「誰に?」


「コーサ様にです。」


 じゃあ、その彼氏を助けてあげようとコーサは考えていたが、拘束しているのが自分だと知って、そんな人居たかな?と頭を傾げていた。


「試作アイアンメイデンの犠牲になった人です。」


「…………………………居たかな?」


 レスに言われてもコーサはその人の事を思い出せていなかった。

 コーサが興味のない事はすぐに忘れる事を知っているレスは前にも自分が言っていたはずだと思いながら説明していた。


「あぁ、居たね。………………でも、彼ってとっくの昔に見せしめとして送り返した気がする。」


 徹底的に痛めつけて試験薬漬けにした後にスパイとして送ってきた貴族の元に捨てて来るように指示した気がしていた。


「はい。なので、あの子には遊ばれていたのでしょう。」


 スパイの為に付き合っていただけだと言うことに気づいていないナサァに真実をレス達メイドは教えてなかった。


「なら?何がいいかな?」


 前からの望みは叶っている様な物だから。無理だと分かったのでより何が褒美に良いかが分からなかった。

 外様だから、金で良いかなと考えるコーサにレスが提案した。


「あの子はお金にあまり執着しないので、何か彼氏を忘れてしまえるものがいいと思います。」


 悲しむことが分かっているなら忘れてしまった方が幸せだろうと言う先輩メイドとしてのレスの優しさだった。


「だったら、あれで良いかな。面白そうだし。」

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