世界樹
僕は考えた。有名にはなった。
それなら、これから自分の願望を叶えるにはないをしたら良いのか?
今世に生まれて十二年。考え温めてきた実験を開始した。
その一つがこの中性的な顔を活かした女説である。
よく歴史的武将など浮上する女だったのではないかと言う考察である。
運良く何もしなくても筋肉が目立ちにくい身体に、女顔という自然にしている女性に間違えられる素質である。
僕はこれから起こる声変わり対策の薬や女性に見えやすいようにオリジナルの香水にフェロモンに似た物質を混ぜ込んだ。
そして、間違える人達を断罪した。
まぁ、殺しはしなかったが、地獄は味わってもらった。誰にでも執行する事を示す為に家族以外で最も自他共にコーサ・ストロンガーが信頼されていると認識しているレスを処罰した。
そのお陰で周りからの信憑性と僕の本気が伝播した。
「こんなものか……」
「コーサ様………あの……」
お仕置きから1ヶ月経った今でもビクビクと怯えるレスだったが、その内治るだろうとコーサは楽観していた。
「ふふ、そんなにビビらなくても何もしなかったら怒らないよ。それに記憶はないでしょう。」
「はい…ありません………」
レスには記憶がなかった。
コーサの背中を見たという記憶はあったがその情景は思い出せず、恐怖だけが刻まれていた。
この感覚は前にもあった前にコーサの実験邪魔をした時のお仕置きの七日間。
その七日間の記憶はレスにはなかった。でも、メイドとして働いたという記憶と記録はあった。そして、何故か体調が今のように好調になる。不思議すぎる感覚だった。
「それなら良い。この世には知らなくて良いことはあるんだよ。」
「はい、分かっております。」
レスは固く心に、魂に刻んだ。
これからの人生何があろうともコーサに逆らわず、詮索をしないという事を。
「それより送ってくれ。」
コーサは手紙をレスに渡した。
「これで何通目ですか?」
「50。」
これは他貴族への手紙であり、お見合いの返事である。
「また、拒否ですか?」
「あぁ、今の僕に婚約者はいらない。」
レスはまだまだ未熟な自分には無理だと言っているように思ったが、そんな事はない。
ただ、興味をそそる人物がいないだけである。
「それに、僕が今欲しいのは別にある。」
「オーパーツの一つである世界樹ですね。」
世界樹
世界に三本しか現存しない。貴重な木であり自生する土地には恩恵が宿ると言われている。
「コーサ様、本当にされるのですか?功績ならバラカイナ草でもう………」
「前も言っただろう。いいや、まだまだだ。ぼくは僕の力をもっと試したい。」
コーサがやろうとしているのは世界樹の完全再現だ。
「でも、本当なんですか?世界樹が古代人が作った木であるなんて。」
前にコーサから聞かされた世界樹の真実。
多くの人は自然に生成された木であるや神からもたらされた神秘的な木である。
でも、コーサの考えは別である。
世界樹は古代人による品種改良によって生まれた人工植物である。
これを突き止めた。
「これが証拠。」
それは東のダンジョンに生成される樹木のサンプルである。
「ダンジョンには過去も未来も関係なくありとあらゆる生物が生まれて侵入者に攻撃する。そして、この樹木は化石から5億年前までには存在した樹木である事が判明している。」
「それだけでも大発見では………」
コーサが持つ樹木はダンジョンオリジナルだとされているはずである。それが過去存在していたなんて大発見である。
「そんなの要らない。僕が欲しいのは史上に残る大発見である。そして、これがその一つだ。前にゲットした世界樹の一組織から抽出した遺伝子がこの樹木と合致した。つまり、この樹木は世界樹の先祖になる。」
これによって後者の神工物である説は無くなる。
「それに加えて、もう一つの樹木サンプルとも合致した。その二つは自然界では絶対交わらない自生地である。」
これによって前者である自然発生もなくなる。
「つまり、知的生命体による外部からの行為がないと生まれない品種なんだよ。世界樹は。」
そこまで分かるコーサだったが、どういう特性を合わせた樹木を生まれさせて世界樹を作ったのかは分からなかった。
「だから、もっと世界樹のサンプルがいる。」
「でも、危険です。」
世界樹は世界トップクラスの貴重品である。コーサが使ったサンプル一つとっても金貨100枚、前世でいう億を超える代物である。
神聖視させている三本の世界樹のサンプルを合法的に手に入れるのは不可能である。非合法に手に入れようにも滅多に手に入らない。
「狂人が多くいる宗教連中から取るのはダルイ。そこに住む種族に交渉するのが一番なんだけどそれはそれでダルイんだよね。」
そんな事を考えているコーサに入手チャンスが舞い込んでくるのは思ったより早かった。




