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ダンジョン探索 一

 コーサはベロニカとマリアを連れて西のダンジョンに来ていた。


「とりゃっ!」


 ベロニカが出現した魔物を一瞬で蹴り殺していた。


「つまんなーい!!」


 まだ、入ったばかりの一階であるが、マリアが駄々を漏らし出した。


「うるさい。まだ、一階だろう。」


「さっきからベロニカお姉様が倒して終わってるだもん!つまらない!」


 コーサが宥めようとするがマリアは聞き耳を持たなかった。

 マリアの言う通り、前衛を務めている。

 その為、その後ろに配置している。コーサとマリアには一切魔物が来ていなかった。


「一層毎で配置を変えようと言い出したのはマリアでしょう。」


「うっ…そうだけどさー」


 ベロニカが今の現状はマリアの提案の結果だと言うと、マリアはぐうの音も出なかった。


「コーサお兄様は良いのですか?」


「僕は新しく作ったポーションのデータが取れたらいいからね。」


 「だから、戦闘は二人に任せるよ。」と次の番はコーサだったのだが、マリアに譲った。


「うーん、分かったよ。もう少し我慢しようね。ポチ。」


 コーサの言う事を聞いてふて寝するように今はマリアが背中に乗っている番犬に話しかけた。


「自分で歩きなさいよ。下に降りた時にポチが使い物にならなくなっても知らないわよ。」


「良いもん。戦闘は私一人で戦うから。」


 疲れるからと屋敷から出てずっと番犬に運んでもらっているマリアに注意した。

 そんなベロニカにマリアは自前の鞭を見せて言った。


「それなら良いわ。ちゃんとポチが疲れたら自分で歩くのよ。」


 ベロニカはそう言うとまた出てきた魔物を蹴り殺していった。


「うーん。」


「どうしたの?コーサお兄様?」


 コーサがポチを見ながら考え事をしているのにマリアが質問した。


「いや、ポチなんだけど?本当にケロドッグ?」


「えっ?!何言っているんですか?ちゃんとケロドッグですよ。」


 ケロドッグとは昔から人達と共に此処に移住してきた番犬であり、普通の犬より圧倒的に強く好戦的である。

 嗅覚も通常の犬より五十倍も高く、不可視の魔物にも対応可能である。

 そんな番犬に確かに特徴が同じなのであるが、コーサはポチに何処か違和感を感じていた。


「お前………犬?」


「ワッワン!」


 直接、ポチに尋ねてみると、わざとらしく鳴いてきた。

 どこか媚びているように感じていた。


「まぁ、良いか………珍しい魔物ならサンプルとして欲しかったんだけど………………」


「ワ、ワン…」


 明らかに実験用モルモットを見るような目でポチを見るコーサに怯えていた。


「ちょっと!コーサお兄様!ポチが怖がっているでしょ!」


「あぁ、ごめんな。ポチ。」


 飼い主としてポチを庇うマリアであった。その瞬間、コーサのポチの見る目は元に戻っていた。

 ポチを撫でながらコーサは謝った。


「ほら、降りるわよ!」


 話し込んでいてベロニカとの距離が思ったより空いていた。

 そんなのんびりと歩く二人と一匹に階段を見つけたベロニカが呼んでいた。


「すぐ行きますよ。」


 マリアの前を歩いていくコーサを見つめながらマリアは安堵していた。


「さぁ、二階よ。今度はマリアが前衛よ。早く倒しなさい。」


 2階に降りた瞬間、魔物が襲いかかってきたが、それを難なく避け続けるベロニカはさっさと倒せとマリアに言った。


「分かっています。てやっ!」


 マリアが振るった鞭が正確に魔物の頭にヒットして弾け飛んだ。


「ちょっと!返り血がかかるじゃない!」


 近くで魔物が弾けた為、血がベロニカの服にかかりそうになった事をマリアが文句を言った。


「ベロニカお姉様ならそれくらいを避けるのはわけないでしょう。」


 ベロニカの文句にマリアが反論した。


「マリアこそタイミングって言うのを考えなさいよ。」


 ベロニカは引き下がらずにマリアに言った。


「そんな事より進みましょう。中継ポイントに行かないと帰れませんよ。」


 そんな二人をコーサが宥めた。


「まぁ、良いわ。さぁ、行くわよ。」


「はぁ……本当に勝手な人ですね。」


 ベロニカは文句を言うのをやめてさっさと進んで行った。

 そんな自己中心なベロニカに呆れるマリアであった。


「……………ポチ、やっぱり変…」


 ある仕掛けに嗅覚が鋭い筈のポチが気づかないことにコーサはケロドッグではない事を確信し始めていた。


「ワンワン!」


「どうしたの?ポチ?」


 いきなり、ポチが叫び出した。

 その事にマリアは疑問に思った。


「前から魔物が来ているな。」


 明らかにこの階層に出てこない魔物の強さを感じた三人だったが……


「でも…………雑魚である事に変わらないわね。」


「そうですね!」


 パワー自慢のオーガ型の魔物を鞭で完全に縛ったマリアは倒れた魔物の頭を踏み潰した。


「意外と頑丈でしたね。」


「オーガ型だからね。それなりには硬いよ。」


 思ったより力を入れないと踏み潰さなかった事にマリアは純粋に驚いていた。


「全くこんな雑魚に慌てるんじゃないわよ。」


 ポチの叫ぶ声がうるさかったのか今度はポチに文句を言うベロニカであった。


「ワ、ワフ……」


 思っていた以上の化け物集団だった事に気づいたポチは呆然としていた。


「さぁ、早く行くわよ。ポチ、歩いて。」


 ポチの背中に座り直したマリアはポチに命令した。

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