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エレメンターズ  作者: 至田真一
集まるエレメンター 前編
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五人目のエレメンター

 オーコの村を襲った魔物、バファロがまた現れたという話を聞いて、俺達はその場所へ急いで向かった。


「向こうが騒がしいな」

「急ごう!」


 俺達は走って向かうと、前方で大きな砂煙が上がり、そこから一軒の家が飛んできて俺達の方に落ちてきた。


『うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?』


 俺達は散開してどうにか下敷きにならずに済んだ。


「何で家が……?」


 困惑していると、家が飛んできた方からまた砂煙が上がり、茶色い毛並みに全長の半分近くが前に伸びた大きな角の牛の魔物が姿を現した。


「グモォォォォォォォ!!」

「あれがバファロじゃ。恐らく奴が家を飛ばしたんじゃろう。奴の角に気を付けるんじゃ」


 バファロは右前足で地面を何度も蹴ると、俺達に向かって突進してきた。

 思ったより足が速かったが、俺達は間一髪避けられた。


「あっぶねー。コノヤロッ!」


 ライデンは手から電撃を放ちバファロに命中させるが、あまり効かずバファロは角で電撃を弾くと、ライデンに向かって突進してきた。


「おわぁぁぁ!!」


 ライデンは間一髪の所で避けた。


「これならどうだ!?」


 今度はエンが火の玉を投げてバファロに当てると、毛に火が燃え移りバファロは暴れ出した。


「よしっ! 効いてる!」


 エンがグッと拳を握ると、バファロは近くの民家に体当たりして、その弾みか体の火が消えて、逆に民家に火が燃え移った。


「あ、ヤベェ」


 エンが焦ると、レインが手から水を出して火を消していった。


「ちょっと兄さん! 面倒事増やさないでよ!」

「悪ぃ!」

「火は効くみたいだけど、止めた方が良いね」


 また同じことが起きて火事になったら大変だし。


「グモォォォォ!!」


 バファロがまた突進してきて俺は剣を構えると、バファロの前にアルツが立ち塞がった。


「どっこいしょー!!」


 アルツは土のエレメントで強化した腕力で突進してきたバファロを受け止めた。


「受け止めた!? 凄いパワーだな」


 アルツは踏ん張るが、押し負けて少しづつ後退している。

 流石に押さえ続けるのは難しいか。

 俺はバファロの側面に移動すると、剣から光の光線を撃ちバファロを吹き飛ばした。


「ふえ~、腕痛って~」

「やっぱきちんと動きを止めてから倒した方が良いな。あと角も厄介だし」


 でもライデンの電撃もあんま効かなかったし、火は危ないしどうするか。

 頭を悩ませていると、バファロは角で民家や木を放り投げ、俺達は避けていく。


「ホントに厄介だな、あの角」


 物陰に隠れて様子を見ていると、火を消し終えたレインが視界に入った。


「水……電気……そうだ!」


 ある事を思いついた俺はレインに駆け寄る


「レイン! バファロをずぶ濡れに出来ない!?」

「え? う、うん。やってみる」


 今度はライデンに声を掛ける。


「ライデン! レインがバファロをずぶ濡れにしたら電撃を当ててくれ」

「ん? ……あ、オッケー分かった!」


 ライデンは俺の意図をすぐ理解してくれたみたいだ。

 俺はバファロと対峙しているエンとアルツの傍に駆け寄る。


「レイン、今だ!」


 俺が叫ぶと、レインは大きな水の玉を作った。


「てりゃぁぁぁ!」


 投げた水の玉がバファロに当たると、バファロの全身が水浸しになった。


「ライデン!」

「おお!」


 ライデンが両手から電撃を放つとバファロに命中した。


「グモォォォォォォォ!!」


 さっきよりも効いてる。

 バファロの体を痺れると膝が地面に付いた。


「エン、今の内にアイツの角を!」

「おう!」


 俺とエンは剣を持って走りだすと、それぞれ光と火を纏わせた剣で二本の角を斬り落とした。


「今だアルツ!」

「おお!」


 アルツは地面に手を触れると、足元の地面が盛り上がり、その上からアルツが跳び降りた。

 両手を合わせ腕が黄土色に光るとバファロの頭に両手を合わせた拳を叩きつけた。

 バファロの顔が地面にめり込むと、バファロはピクリとも動かなくなった。


「よしっ……」


 倒すことが出来て、俺達は肩の力を抜いた。


「オイラだけじゃ倒せなかったよ。ありがとな」

「気にしないでよ。同じエレメンター、仲間なんだから」


 俺がそう言うとアルツは二ッと笑った。

 その様子をジーリュ達は微笑ましく見ていた。


「困っている人を見たら放って置けない優しさ……やはり勇也はライトスに似ておるのう」

「ええ。私もそう思う」

「うん」


――――――――――――――――――――


 次の日、目を覚ました俺達は部屋を出て宿の食堂に入った。


「おはよう。……大丈夫?」

「うん……一応」


 ヒレアは一人だけ顔が濡れている俺を見て心配そうに言う。

 ちなみに俺の顔を濡らした当の本人は恥ずかしそうにそっぽを向いている。そう、クタガラで起きたあの事態がまた起きてしまったのだ。

 ヒレアからタオルを渡されると顔を拭いた。


「アルツは来てないの?」

「ディアならさっき来てね、準備が出来たら村の入り口で待ってるって」

「ではワシ等もそうしよう。必要な物を買い村の入り口へ向かおう」


 ジーリュがそう言うと俺達は頷いた。


「次の目的地は?」

「ここから北にあるヒョドの村へ行く。そこには氷のエレメンターがいるはずじゃ。あそこは雪原地帯に近いから常に気温が低い。防寒準備を忘れずにするぞ」


 寒いのか。氷のエレメンターが住むにはうってつけかもしれないけど。

 俺達は朝食を食べ終えると、村で食料や寒さ対策にコートなどを買って村の入り口に向かうと、アルツとディアさんと旦那さんが待っていた。


「お、来たか。んじゃあ父ちゃん母ちゃん、行ってくる」

「頑張れよ」

「気を付けてね」


 馬車に乗って馬が走り出すと、アルツはディアさん達に手を振りオーコの村を後にした。

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