対決、魔蟲軍団①
「おらぁぁぁ!!」
アルツはアースハンマーを振り回して蟲達を吹き飛ばす。
しかし殆どの蟲は立ち上がり襲い掛かってきた。
「うおぉい!? 立てるのかよ!?」
アースハンマーを振り下ろして、前方にいる蟲達を吹き飛ばし振り返ると、空から蟲達が襲い掛かってきた。
横からエレメントラインを出したフィーズが冷気を放ち蟲達を凍らせると、地面に落ちてバラバラに砕けた。
「アルツ、この蟲達は簡単には倒れません。本気を出さなければ」
「マジかよぉ。あれ疲れんだよなぁ。でも、やるっきゃないか」
アルツはエレメントラインを出し蟲達に向かう。
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「せやぁ!」
ミスクは蟻の魔物の顔に蹴りを当てて吹き飛ばすが、蟻の魔物は立ち上がった。
「思ったよりタフね……おっと!」
背後からクワガタの魔物が顎で挟んでくると、煙になって躱し蹴り飛ばした。
「マズいわね、数が多すぎる」
四方八方を蟲に囲まれると、空を飛んでいる蟲をビトがビーストクローで切りつけるとミスクの傍に着地する。
「大丈夫、ミスク?」
「ええ、ありがとうビト。一人じゃあ手に負えなかったわ」
二人は背中を合わせ蟲達に構えると、地面から蔦が伸びて蟲達を拘束した。
「お二人共、大丈夫ですか!?」
「レイフ!?」
レイフは二人の傍に寄ると、蟲達は蔦を噛み切り拘束を解くと三人ににじり寄る。
そんな中、ミスクはエレメントラインで戦っている勇也達を見て歯を食いしばる。
「ミスクさん?」
「悔しいわ。まだエレメントラインが発現していない自分に」
「……確かに、その気持ちは僕も分かる。これまでの封印獣との戦いであんまり役に立ってないし」
「でも、エレメントラインは簡単に発現しませんわよ?」
「分かってるわよ! でも……」
ミスクはグッと拳を握り震わせる。
「このままは嫌なのよ!」
ミスクが叫んだ次の瞬間、ミスクの足に白い紋様が現れ、三人は驚く。
「え?」
「エレメントライン!?」
ビトは目を見開いて、レイフは口元に手を当てて驚くと、ミスクはキリっと蟲達に目を向ける。
「はぁぁぁっ!」
ミスクは右足を上げると、脚の部分を煙にして伸ばし蟻の魔物を蹴り飛ばすと、蟻の魔物は壁に激突して倒れる。
「脚力まで上がってるわ」
「良いなぁ。僕も出ないかなぁ? ん~~っ」
「溜めても出ないと思いますけど……」
力を入れてるビトにレイフがツッコむと、一瞬ビトの腕に茶色い紋様が出たがすぐに消えた。
「あ! なんか今出たっぽい!」
「ですわね」
「ええいっ、戦っていれば出るよ!」
「あ、危ないですよ!」
レイフの制止も聞かず、ビトは蟲の群れに向かって走った。
二人が戦っていく中、取り残されたレイフは神木の杖をギュッと握る。
「私も戦わないといけませんが……この蟲達に太刀打ちできるのでしょうか……」
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ライデンは矛先に雷を纏わせたサンダーランスで蟲達を薙ぎ払うと、左手を小さな大砲に変えたクロエが魔力弾を撃ち、空を飛ぶ蟲の魔物を撃ち落としていく。
「あーっ! 全然減らねぇ!」
「数が多いのは当然ですが、一匹一匹が想定より強かったのが計算外でした」
「ホントそれなっ!」
矛先から電撃を放ち蟲達を吹き飛ばすが、殆どが立ち上がる。
ライデンは歯を食いしばると、蟷螂の魔物がクロエに向かって鎌を振り下ろすと、クロエは右手の短剣で受け止めるが、もう片方の鎌がクロエの脇腹を切り裂いた。
「うっ……!」
「クロエ!!」
蟷螂の魔物を電撃で吹き飛ばすと、火花を鳴らして倒れるクロエを抱える。
「大丈夫かクロエ!?」
「損傷が激しい為……れ以上の戦闘はこ……難で……」
クロエの瞳から光が消えると、ガクッと動かなくなった。
ライデンは麒麟を召喚すると麒麟の背にクロエを乗せる。
「またクロエがやられちまった。まだまだ改良の余地があるな。麒麟、手伝ってくれ!」
麒麟は嘶きを上げると、落雷が落ちて蟲を吹き飛ばしていく。
ライデンもサンダーランスで薙ぎ払って行くが、蟲はしつこく立ち上がる。
「はぁ……はぁ……。しつけぇなぁぁぁ!」
ライデンは雷を纏わせた矛先を地面に向け突き刺そうとした直前、腕に黄色い紋様が現れ、サンダーランスを地面に突き刺すと、地面を稲妻が走り周囲の蟲達を倒していく。
「んっ!?」
顔を上げ、周りの蟲が黒焦げになっているのに気付くと、自分の腕にエレメントラインが出ているのに気付いた。
「おおっ、エレメントライン! ここまで威力が上がんのか。……よぉーしっ!」
ライデンはクロエを少し移動させ麒麟の背に乗る。
「行けぇ麒麟!」
麒麟は走りだすと、ライデンは蟲達を次々と吹き飛ばしていく。
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「おおおおっ!!」
スチアはメタルグローブをガントレットの様な形に変形させて蟲を殴り飛ばす。
すぐ傍ではアーマーコングも一緒に戦っている。
「「ぐあああああああっ!!」」
悲鳴が聞こえ振り向くと、フェニックスに乗ったエンと、スカイイーグルに乗ったウィドが皇蟲の鎌で吹き飛ばされ建物に激突した。
「エン! ウィド!」
スチアが叫ぶと、皇蟲はスチアに気付き、前脚の鋏をスチアに向かって伸ばすと、スチアは全身を鉄化させて鋏の締め付けに耐える。
「ぬぐぅぅぅぅぅぅぅ!!」
アーマーコングが鋏を引きはがそうとするが全く動かず、鋏はスチアを締め上げていく。
「んぐぁぁぁぁぁぁぁ!!」
身体を鉄化させたスチアだが、締め付けの力が強く痛みがスチアに走る。
「スチア!」
ライトドラゴンと青龍に乗った勇也とリューラがスチアを助けに向かうが、皇蟲の残る三本の前脚と蟲達が邪魔をし近づけずにいる。
「オラは……負けないだぁぁぁ!!」
スチアが叫んだ次の瞬間、スチアの胴が光ると、締め上げていた皇蟲の鋏を押し広げていく。
「んだぁぁぁぁぁぁぁ!!」
両手を思いっきり広げると、スチアは鋏を砕いた。
「あれってまさか! ……でも紋様が見えない」
「いや、恐らく」
スチアは服の隙間から自分の体を覗き込むと、体に灰色の紋様が出ていた。
「あったべ! 体にエレメントラインが出てるだぁ!」
「服で見えなかったのか」
「やはりな。私達も行くぞ」
「ああ!」
「オラも気合い入れるべ!」




