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エレメンターズ  作者: 至田真一
魔蟲を束ねる蟲の王
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新しい装備と夜の町

 俺は厚達、地球組と共にジーリュに案内されて屋敷の地下に通じる階段を下りると、緑色の魔方陣が描かれているドアがあった。


「屋敷に地下室があったのか。この魔方陣は?」

「この部屋には、歴代のエレメンターが手に入れた貴重な物が保管されておるのじゃ。盗まれんようにするために、普段は結界魔法で閉ざしておるのじゃ」

「じゃあ、僕達の新しい武器って……」

「うむ。残りの封印獣も一筋縄ではいかぬからのう。お主達の新しい武器としては良いと思ってのう。ではヒレア、頼んだぞ」

「ええ」


 ヒレアがドアの前に立ち手をかざすと、魔方陣が消えてドアが開いた。

 部屋の中に入ったヒレアが明かりを点けると、部屋の中は色んな物が置かれた棚で溢れていた。


「凄いな。こんなにあんのか!?」


 あまりの数に大貴は驚いている。


「さて。どれにするか……?」


 ジーリュは部屋の中の武器を見て、厚達に合う武器を探している。

 しばらく部屋の中を見渡した後、ジーリュは厚達に合う武器を見つけ厚達に渡した。

 厚には白銀の剣。大貴には翡翠色のガントレットだ。


「その二つの武器はミスリルやオリハルコン等の希少金属で出来ておるから簡単には砕かれんぞ」

「確かに……持っただけで分かる。凄い武器だね」

「ああ。これならもっと役に立てるはずだ!」


 二人は新しい武器を手に入れると、ジーリュは美奈、風間、氷室に目を向けた。


「お主達にも良い物をやろう」

「私達にも?」


 武器を損傷してない三人も来るように言ってたのはそういうことか。三人にも何かを渡すために。

 再び部屋の中を見渡したジーリュは、美奈達にそれぞれ装備を渡した。

 美奈には金色の杖。風間には緑と黒のケープマント。氷室には白と紫の弓だ。


「その杖は魔法の性能を上げ、マントは身のこなしと素早さを上げ、弓は魔法の力で矢を自在に操る事が出来る代物だ」

「へぇー、凄いわね」


 新たな装備を手に入れた地球組は屋敷の外に出て使い心地や性能を試した。


――――――――――――――――――――


 次の日、庭で特訓をしていると、ワーフで新しい刀を手に入れに行ったリューラが帰ってきた。


「あ、お帰りリューラ」

「……ああ」


 戻ってきたリューラは何故か元気が無さそうに見えた。

 腰には刀があるから、手に入れられなかったって訳じゃあなさそう。


「どうしたのよリューラ? 珍しく元気ないわね」

「……実はな、刀を手に入れてウェアークに帰ろうとワーフの外に出たら、そこで知らない奴に襲われたんだ」

「襲われた? 誰に?」

「分からない。会ったこともない、騎士の様な装いの女だった。私に近づくなり剣を抜いて襲い掛かってきた」

「エレメンターに恨みを持っている者なのかも知れんな。エレメンターによって投獄された犯罪者は多いからな」


 ジーリュがそう言うと、リューラは「恐らく違うだろう」と答えた。


「奴は『お前の力を試したい』と言って私に襲い掛かってきた」

「じゃあ、腕試し?」

「分からない。……だが、とても強かった。私は全力で戦ったが、あいつは本気を出している様に見えなかった」

「そんなに強かったのか」

「しばらく戦った後、そいつは『こんなものか』と言って姿を消した」

「ふむ……。そやつが何者なのか分からぬが、念のため警戒しておこう」


――――――――――――――――――――


 ある日ジーリュに呼ばれて、俺達は屋敷の食堂に集まった。


「ジョルクス達の目撃情報が入った。そして奴等が次に狙う封印獣も予想が出来た」

「何なんだ?」

「レリードという町に封印されている……蟲の王、皇蟲(こうちゅう)じゃ」

「虫!?」


 虫が苦手な風間は声を上げて震え、そんな風間を氷室が落ち着かせている。


「その町にジョルクス達が向かってるの?」

「目撃された場所から考えると、レリードに向かってると思われる。もう一体のギガンドスよりも皇蟲の方が近いからのぉ」

「なら、そのレリードって町に行こうぜ。封印を解かれるわけにもいかねぇからな」

「そうだな」


 封印獣は残り二体。これ以上被害を出す訳にもいかない。


――――――――――――――――――――


 召喚獣に乗って、俺達はレリードにやってきた。

 まずは町長の元に行き、事情を説明するため町長の家を目指す。


「……なんか、静かな町だな」

「本当ね。人も少ない気がする」


 決して小さい町では無い。

 それどころかウェアークより少し大きい町だが、昼間なのに町中を歩いている人がウェアークより少なく感じる。


「人が少ないのは当然じゃろう。ここは夜の町じゃからな」

「夜の町?」

「言葉通り、夜に営業する店が多い町なんじゃ」


 夜営業の店が多いか。

 確かにそれなら昼間は人が少ない……な。


(なんか今、『愛の休憩所』なんて書いてあった無駄にハートが付いた看板が見えた気がする)

「……なぁジーリュ。今変な看板を見かけた気がするんだけど」

「言ったじゃろ、ここは夜の町じゃと」


 ……そういうことか。

 他の皆も理解してきてるみたいだ。

 ライデンなんか鼻の下伸ばしてるぞ。


「ちょっと待ってください! こんな町なんて聞いてませんよ!?」


 小森先生が少し顔を赤くして声を上げながらジーリュの元に駆け寄る。


「言っておらぬし、目的は皇蟲の封印を解かれない様にすることじゃからな」

「まぁ、そういう店に入るわけじゃないんですから、大丈夫ですよ」

「でも、この中で一番入りそうなの勇とレインだけどね」

「え!? 何で!? こんな時に入るわけ無いだろ!?」

「ごめん。今の勇は信用できない」


 あれ!? なんか知らない内に信用失ってる、俺!?


「ちょっと! ちゃんと時と場合ぐらいわきまえるわよ!」

「いつも無駄にイチャつくあんたが言っても説得力がないわよ!」


 まだ仲が悪い二人はまたいがみ合っている。

 それにしても信用が無いってのは嫌だな。


「ほれ。早く町長の所へ行くぞ」

「あ、ああ……」


 二人を落ち着かせると、俺達は町長の家へ足を進める。

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