ドゴン火山
「あ”~~……」
「ねぇ楓華。こっちも言いたいの我慢してるんだから言わないで」
「そんな事言っても~」
溶岩が流れる灼熱の洞窟の暑さに、風間はかなり応えていた。
ドゴン火山に着いた俺達は、マグマオロチの封印場所に向かっているが、洞窟内が砂漠よりも暑いせいで入ったばかりなのに汗が止まらない程出ている。
「なんかここ、フレイムソードがあった洞窟より暑くない?」
「あの洞窟は、地下の溶岩で熱せられた洞窟じゃからな。溶岩が流れておるこっちの方が暑いのは当然じゃ」
暑い砂漠の次は暑い火山。
最悪の場合、炎の蛇と戦わなければならないと考えると、マジで熱中症になりそう。
すると、後ろの方からバタッと倒れる音が聞こえた。
「皆さん。ビト様が倒れました」
クロエがそう言い振り向くとビトが倒れていた。
ビトは暑いの苦手だからなぁ。
まだ入り口が見える程入ったばかりなのにダウンしてしまったビトをスチアが背負い洞窟を進む。
「この暑さも十分危険じゃが、封印を解かれないために罠がいくつかある。気を付けるんじゃ」
「罠まで有んのかよぉ」
エンが嫌そうな顔で言うと、前方に溶岩が流れていて道が閉ざされていた。
「ちょっと、これじゃあ先に進めないわよ!?」
「冷やせば固まって進めるようになるかもしれません」
「それなら私も」
流れる溶岩に向かってレインが水、フィーズが冷気を放つと溶岩が固まった。
固まっている間に急いで向こう側まで渡り、全員が渡り終え先に進もうとすると、溶岩の中から体が溶岩で出来た人型の魔物が何体も出てきた。
「何だ!?」
「溶岩ゴーレムじゃ」
現れた溶岩ゴーレムは俺達に襲い掛かってきた。
「体が溶岩で出来ておるから気を付けるんじゃぞ!」
ジーリュが注意すると、大貴がガントレットを着けて殴りかかる。
「おらぁ!」
大貴が溶岩ゴーレムを殴ると、大貴はバッと拳を離した。
「あちぃ!!」
「そりゃあそうでしょう」
美奈が氷の魔法で大貴の手を冷やした。
二人に向かって溶岩ゴーレムが拳を振り下ろしてくると、美奈が放った氷の魔法で溶岩ゴーレムが固まった。
「今の内に!」
「おう!」
固まった溶岩ゴーレムに大貴が殴りつけると、溶岩ゴーレムが砕けた。
「体が溶岩だから、やっぱり冷やせば固まって動けなくなるんだな」
「なら任せて」
レインが大海の杖から水を放つと、溶岩ゴーレムが固まり、俺は光を纏わせたライトカリバーで斬りつけると、魔石が露出し、魔石を砕き溶岩ゴーレムが崩れた。
「固まってる時に崩れれば大丈夫そうだ」
残りの溶岩ゴーレムを、レインの水、フィーズの冷気、美奈の水や氷の魔法で冷やして固めている内に倒していく。
全部倒し終えた俺達は先を進むと、異様な光景が目に入った。
「何だ、ここ?」
それはとぐろを巻いた蛇の石像が沢山並んでいる道だった。
「蛇の石像が沢山並んでいますわね」
「随分凶悪そうな蛇だが、マグマオロチを模っているのか?」
俺達は興味本位で蛇の石像を眺める。
「こんなにあると気味が悪いな」
ライデンがそう言った直後、ライデンが見ていた蛇の石像の目が赤く光り、口の部分から火を吐いた。
「おわぁっ!? あっつ!!」
「この石像、罠か!?」
俺達は警戒すると、先ほどの石像と同じように目が赤く光った石像が火を吐いてくる。
火に気を付けながら進もうとするが、法則が無く完全にバラバラに吐いてくるから避けながら進むのが難しい。
「そうだ。予見の盾で」
予見の盾を使って何処から出てくるのか見ようとするが、横の石像が火を吐き俺はしゃがんで躱すが、別の石像が火を吐き見る暇が無い。
「くそぉ、次から次へと……!」
「火に気を付けながら通り抜けるしかないのう!」
「やっぱりそうするしかないのね!」
どの石像が火を吐くのか注意しながら進み、最後にビトを背負ったスチアが通り抜け、どうにか全員通り抜けられた。
「やっと抜けられただぁ」
「スチアはビトを背負ってるからな」
「うむ。少し休憩しよう。この暑さじゃからな、きちんと休めるときに休まんとな」
「……さんせ~」
ビトが弱々しい声で出す。大分バテてるな。
アルツが壁に空洞を作ると中に入り、壁をフィーズが冷気で冷やして空洞内を涼しくする。
「あ~~……生き返る」
空洞内の涼しさで、ビトの顔色が元に戻った。
「それにしても、さっきの石像は危なかったな。あれが罠なのか?」
「恐らくそうじゃろうな」
「恐らくって……ジーリュさん、罠の事知らないんですか?」
確かに、なんか知らないって感じの言い方だ。
「実はのう、この火山に仕掛けられた罠は昔、マグマオロチが封印された後に当時のクラント王国が仕掛けたものでワシはどんな罠を仕掛けたのか知らんのじゃ」
やっぱり知らないのか。
せめて知ってほしかった。
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休憩を終えると空洞から出て再び奥へ進む。
溶岩に浮いてる岩の上を進んだり、魔物を倒したりしながら奥へ進んで行く。
「もうすぐ着くぞ」
ジーリュがそう言いようやくかと思っていると、遺跡の様な広い奥行きのある部屋に着いた。
「この部屋は?」
「ワシも見たことがないのう。きっと昔の国民が作ったんじゃろう。距離を考えて封印の部屋は次じゃな」
「やっとかぁ」
ライデンが安堵の息を吐き近くの柱に寄り掛かると、柱からカチッと音が鳴り、壁が下りてきて部屋の入り口が閉ざされた。
「え?」
部屋に閉じ込められ、俺達はライデンをジッと見る。
「……いや~。まだ罠って決まった訳じゃないからそんな目で見ない――」
入り口の両脇の壁が開くと、中からさっきよりも十倍デカい蛇の石像が出てきて口から火を吐くと、火が床に広がっていく。




