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エレメンターズ  作者: 至田真一
集まるエレメンター 前編
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四人目のエレメンター

「んー……」


 俺は目を開くと、見知らぬ天井が広がっていた。


(何処だ、ここ? ……あ)


 思い出した。ここクタガラの宿だ。

 昨日、ライデンが作っていた機械メイド、クロエが完成して彼の家でちょっと豪勢な夕飯をご馳走してもらった後、宿に戻って一晩過ごしたんだった。


「ふあ~……」


 まだ眠いな。慣れない事やって疲れたし、もう一回寝よ。

 俺は目を閉じて体を右に寝転がせた。


「んっ……」

「ん?」


 ふと左手でなんか柔らかい物を掴んだ。

 何だコレ? 枕……は頭の下にあるし。掛け布団も掛かっている。

 一体何なのかと俺は目を開けた。


「……え?」


 目を開けると、なぜかレインが俺の目の前で寝ていた。

 どういうことコレ!?

 俺は今の現状を確認しようと顔だけ動かして後ろにある隣のベッドを見ると、エンが寝息を立てながら寝ていて、テーブルの上ではジーリュが丸まって寝ている。

 ここは男部屋だよな? ……じゃあ何でレインがいるの? どういう状況!?

 俺は動揺している中、左手で触れている柔らかい物を握ると、レインが肩をビクッと震わせて「んっ」と艶のある声を出す。

 俺は左手を見ると触れている物の正体に気付いた。それは、レインの立派な胸だった。


「ヤバッ!」


 俺はバッと左手を離した。危なかった。バレたらタダじゃ済まないぞ。

 左手は回避したが、俺は右手の方がヤバいことに気付いた。

 レインが俺の右腕を抱いている。しかもレインの胸に挟まれている形で。こっちの方がヤバい! でも無理に動かすと起きてバレそうだ。


「ん……」


 すると、タイミング悪くレインの目がうっすらと開いて目が合った。


「あ、いや、これは……」


 まだ完全に起きてないのか、レインの目はまだ半分しか開いていない。

 するとレインは下を見て、自分の胸の間に俺の右腕がある事に気付くと、レインの目がパッチリと開いて顔が徐々に赤くなっていった。


「イヤァァァァァァァァァァァ!!」


 レインは大きな悲鳴を上げて俺の右腕を放すと慌ててベッドから離れた。


「ちょっと! 何で私のベッドで寝てるの!?」

「え? いや違――」

「この変態!」

「うわっ!?」


 レインは水の玉を作って俺に向かって投げると、俺はしゃがんで水の玉が俺の上を通過した。


「何だようるせぇ、のわっ!?」


 水の玉は起き上がったエンの顔に当たり、エンはベッドから落ちて足だけがベッドの上に残った。


「ちょっ、レイン落ち着い――」


 レインはまた水の玉を投げて、今度は俺の顔に命中し俺はベッドの上に倒れる。


「こ、こっち……男部屋」

「え?」


 レインは部屋を見渡し部屋を確認すると、恥ずかしそうに顔を手で隠し、部屋を出た。


「痛ってー。アイツまたかよ」

「またって?」


 エンの言葉に俺は首を傾げる。


「アイツ寝ぼけてよく部屋を間違えることがあんだよ。ガキの頃それでよくベッドから落とされてたんだ」

「そうなの?」

「大方、トイレ行った帰りに寝ぼけて間違えたってとこだろ。オマケにアイツ寝相悪いしなぁ」


 そう言えば野宿の時、レインだけ馬車の中で寝てたな。

 ヒレアが絶対場所の中で寝るように強く言ってたけど、そう言う事か。

 すると部屋のドアが開いて、レインが顔だけを出してきた。


「ねえ勇也」

「ん?」

「……見た?」

「え!?」


 見た? って……見ない方が難しいと思う。あれは。

 俺は目を逸らすと、レインが顔を赤くした。


「……エッチ」


 レインはバタンとドアを閉めた。


「え? 俺が悪いの?」


 一騒動遭ったが、宿の一階に下りて食堂に行くと、レインとヒレアが座って待っていた。

 俺とエンも座りジーリュはテーブルの上に下りた。


「う~~」


 レインは恥ずかしがりながら顔を赤くし、俺と目を合わせようとしない。俺も合わせづらい。


「大丈夫か勇也? また起こるかもしれんから慣れておくれ」


 いや、慣れたらダメな気がする。

 少し待つと朝食のサンドイッチが出されて俺達は口にした。


「お、いたいた」


 朝食を食べていると、ライデンとクロエがやって来て、俺達を見つけ俺達の元にやって来た。

 ライデンの服は作業着ではなく、青と黒の服に黒いズボンだ。


「皆さん、おはようございます」

「おはよう。早いな」


 まだ朝の八時過ぎだぞ。


「今日出発するんだろ。俺ずっとこの町にいたから楽しみでな」


 そっか。エレメンター達って集まる時まで待たないといけないから町を出ることが出来ないのか。


「私も皆さんのサポートを一生懸命行います」

「そういやぁサポートって言うけど主にどんな事すんだ?」


 エンがサンドイッチを頬張りながらクロエについて聞いた。


「皆さんのお食事の用意など身の回りの世話などを行います。戦う事も出来ますので戦闘もお任せください」

「戦えるの?」

「言っただろ。クロエはエレメンターサポート機械メイドだって」

「はい」


 クロエの両手が袖の中に引っ込むと、右手は短剣、左手は小さな大砲みたいになって出てきた。


「どうよ? 凄くね?」

「う、うん」


 まさかの兵器内蔵機械メイド。


「ところでジーリュ。次は何処に行くの?」

「うむ。次はここから馬車で二日ほどの距離にあるオーコと言う村へ向かう。そこには土のエレメンターがいるはずじゃ」


 雷の次は土か。


「良いじゃん。ほら行こうぜ」

「いや、まだ俺達朝食食べてるから」


――――――――――――――――――――


 朝食を終えた後、町で食料など必要そうな物を買って準備を終えて、町の出入り口でキィリさんに別れを告げて、ライデンとクロエを加えた俺達は馬車でクタガラを後にした。


「何書いてんの、ライデン?」


 紙とペンを持ったライデンが紙に何かを書いている。


「クロエの新機能を考えてんだ。これからどんどん新しい機能を付けていってパワーアップさせていくつもりだ。それに合わせて見た目も変えていくつもりだ」


 つまりバージョンアップさせていくって事? 機械っぽいな。


「目指すはレインの様な豊満ボ、どわっ!!」


 レインが手から放った水流にライデンは馬車の外に放り出された。


「……放っておいて行こう」

「ちょっ、待ってくれー!」


 冷たい目でレインが言うと、馬車はそのまま進み、ライデンは慌てて馬車を追いかけた。

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