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エレメンターズ  作者: 至田真一
集まるエレメンター 前編
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誕生、機械メイド

 ライデンに会った後、俺達は家にお邪魔してもらった。


「あー、父さんから聞いてたよ。またエレメンターが集まる時が来たら一緒に行動しろって」

「そうか。では、ワシ等と一緒に来てくれるか?」


 ジーリュがそう言うと、何やらライデンが難しい顔をした。


「まぁ一緒に行ってもいいんだけど……今大事な物を作ってる最中だから、それが終わったらでいいか?」

「大事な物?」


 ライデンは立ち上がると手招きして俺達はついて行った。

 家を出て倉庫に入ると、ガラクタの山を横切って奥に案内された。


「これだ」

「これって……」


 ライデンが見せた物。それは体にコードが繋がられているメイド服を着たショートカットの黒髪の少女だ。


「ねぇ、この子って?」

「父さんが作ったエレメンターサポート機械メイド、クロエだ」


 やっぱり、この子機械なのか。

 よく出来てるな。本物の人間みたいだ。


「そう言えば、サダの奴も機械いじりがとても得意な奴じゃったな」

「俺達の代のエレメンターをサポートするためにって父さんがずっと作ってたんだ。もう少しで完成しそうなんだ」


 やっぱりまだ未完成なんだ。

 確かに右手が無いし、腹の所も開いてるし。


「じゃあ俺達も手伝うよ」

「え? いいのか?」

「皆でやれば早く完成するって。なっ?」

「まぁ、しょうがねぇか」

「私もいいわよ」


 エンとレインが返事をすると、ジーリュとヒレアも頷いた。


「上手く行けば、味方が増えるしのう」

「おお、助かる!」


 喜ぶライデンに俺達は微笑む。


「クロエは絶対心強い味方になる! 保証する!」

「それは頼もしいわい」


 ジーリュが微笑みながら言うと、レインがある事を聞いた。


「ところで、どうしてメイドなの?」

「父さんが『メイドは男のロマンだ!』って言ってたんだ」


 ライデンはガッツポーズして答える。


「そうなの?」

「知らない」「知らねぇ」


 振り向いて聞くレインに俺とエンは同時に答える。

 メイドなんて見たことないもん。


――――――――――――――――――――


「おい。これどうすりゃあ良いんだ?」

「机の上にある赤いコードと繋げてくれ。先端が太い方とな」

「ねぇ、これは?」

「それはもう少し後。あそこにある円柱の機械持ってきて」


 俺達はクロエの完成を手伝った。

 ライデンの話だと五日以内に完成する予定だったから、丁度良いタイミングで来てくれたらしい。

 町で部品を買ったり、ガラクタの山から部品を探したり。

 特殊な鉱石で火を溜められるパーツを作ったりと慣れないことが多かったが、いつもより早く作業が進んでいるらしく、空が暗くなってきた頃に、遂に完成目前まで進んだ。


「これで、最後の仕上げだ」


 ライデンはクロエの体から伸びる先端に小さな青い球体が付いたコードを手に持った。


「それは?」

「簡単に言えば充電コードだ。クロエは雷のエレメントをエネルギーにして活動できるようになってるんだ」


 ライデンは青い球体を握ると、手から電気が出て、コードを通じてクロエに向かって流れていった。

 電気がクロエの中に流れてしばらくすると、ずっと閉じていたクロエの目がゆっくりと開いて、目が一瞬光り黒い瞳が露わになった。


「起動完了」


 クロエは一歩前に出ると、ゆっくりとお辞儀をした。


「初めまして。エレメンターサポート機械メイド、クロエです。どうかよろしくお願い致します」


 丁寧に挨拶すると、ライデンは小さく震えた。


「よ……しゃあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 突然大声で叫んで思わずびっくりした。


「遂に完成だぁぁぁぁぁぁぁっ!!」


 完成した喜びで力が抜けたのか、ライデンはその場で尻餅を着いた。


「良かったな」

「あ~、疲れた」

「なんか、ちょっと油臭い」

「我慢しろよそんぐらい」


 完成したクロエに俺達も疲労が溜まっていた。

 するとクロエがライデンに近づいた。


「どうかよろしくお願い致します、マスター」

「ああ。よろしく!」


 ライデンはクロエを見て二ッと笑う。


――――――――――――――――――――


 その日の夜、俺達はライデンの家で夕食をいただくことになった。


「はい、どうぞ」

「ありがとうございます」


 キィリさんが料理をテーブルの上に置くと、今度はクロエが別の料理を持ってきた。


「いかがでしょうか? 私が作ってみたのですが」

「これクロエが?」

「ええ。料理の腕も良いわねこの子」

「そりゃあサポートメイドだからな。料理ぐらい出来るぜ」


 クロエが作った料理を食べてみると、確かにかなり美味い。

 ライデンも料理出来ないって聞いたから、これからも俺が料理を担当するのかと思って心配してたけど、これなら大丈夫だ。


「喜んでいただけて何よりです。もっと多くの料理を出来るように精進致します」

「頼もしいのぉ」


 ジーリュは料理を頬張るとライデンに顔を向ける。


「ライデンよ。分かってると思うが明日……」

「明日出発するんだろ? 分かってるって」

「うむ」


 明日の朝、宿で合流することを決めると、夕飯を終えた俺達はライデンの家を後にして宿に向かった。

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