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エレメンターズ  作者: 至田真一
予期せぬ再会
52/202

対決、双頭の竜

 クロエから「急いで戻ってきて下さい」と通話が来て、俺達は召喚獣に乗ってウェアークの町に急いで向かいながら、俺はクロエから詳細を聞いている。


「つまり、あの魔物の群れは、ツインドラゴンっていう魔物から逃げていたって事?」

『はい。そして、そのツインドラゴンがこちらに現れて、現在レインさん達と交戦中です』

「分かった。俺達も今急いで戻ってるから、頑張って持ち堪えてって伝えて」

『了解しました』


 俺は通話を切って前を向いた。


「話は聞いて大体分かった。魔物の群れはツインドラゴンという魔物から逃げていて、そいつが一陣の所に現れた。……で合ってるか?」

「ああ。結構強い魔物らしくて、レイン達だけじゃあ倒すのは難しいって」

「さっきの揺れは、そいつが地中を移動していたからなのね」

「だから魔物達は逃げたのか」

「ああ。だから急ごう!」


 召喚獣の速度を上げて、俺達は真っすぐウェアークへ向かった。


――――――――――――――――――――


『うわぁぁぁぁぁぁぁ!!』


 ツインドラゴンは前足で冒険者達を薙ぎ払うと、片方の顔がライデンに向かって火を吐いた。


「うわわわわわわわわわっ!」


 迫る炎を麒麟に乗って躱しているライデンに、もう片方の顔が火を吐こうとした。


「うおらぁぁぁぁっ!」


 火を吐こうとしている顔をアルツがアースハンマーで殴ると、殴られた顔はアルツに噛みつこうとすると、グランドタートルが土のブレスを吐いて命中させる。


「サンキューアルツ」

「気にすんな。……おわっ!?」


 ツインドラゴンが前足で薙ぎ払って来て、ライデンが乗ってる麒麟は跳躍して避け、アルツが乗っているグランドタートルは素早く動けないので、地面を波の様に動かして避けると、今度は両方の顔が火を吐こうとする。


「はあぁぁぁぁっ!」


 フィーズとアイスベアーが冷気を放ち、片方の顔を凍らせると、スチアとアーマーコングが殴り飛ばし、もう片方の顔をレイフとウッドディールが地面から伸ばした蔦と木の根で押さえ、レインとリヴァイアサンが水流で口の中を攻撃する。


「効いてるみたいね」

「はい。ですけど、あまり決定打になっていないみたいです」


 ドラゴンなだけあって、ツインドラゴンはかなりタフだった。

 ツインドラゴンは前足を勢いよく地面に叩きつけると、その衝撃で岩が飛んできて、レイン達に向かって落ちてくる。


「やっべ! 逃げろ!」


 振ってくる岩から避けようとレインは走りだそうとするが、石につまづいてしまった。


「きゃっ!」


 転んだレインに向かって岩が落ちてきて、レインは目をつむって身構えると、一つの影がすごい勢いでやってきた。


「撥ねかえせ!」


 勇也の指示でライトドラゴンが尻尾で岩を撥ねかえすと、岩はツインドラゴンの片方の顔に命中した。


「レイン、大丈夫か?」

「勇也……! ええ」


 ライトドラゴンから降りた勇也は、レインに手を伸ばしてレインは手を取って立ち上がった。

 そこにライデン達が集まり、戻ってきたリューラ達も合流した。


「イチャついてる所悪いけど、今はそんな場合じゃないぞ」

「イチャついてるつもりは無いんだけど……」

「どっちでもいい。今は……あいつを倒す事を優先だ」

「そうだな」


 勇也はライトドラゴンに、レインはリヴァイアサンに乗ってツインドラゴンに目を向ける。


「よし、皆行こう!」

『おおっ!』


――――――――――――――――――――


 いざツインドラゴンと戦ってみるが、思ったより強くて苦戦している。

 ドラゴンだから大きいし鱗が硬いだけでも厄介なのに、頭が二つあるから死角がほぼ無い。後ろから近付いても気付かれる。

 片方の顔が火を吐くと、ライトドラゴンが光線を吐き攻撃がぶつかって相殺すると、ツインドラゴンは唸り背中を丸めた。


「なんだ?」


 なんか嫌な予感がした俺は予見の盾を使ってみると、ツインドラゴンが背中から大量の棘を上空に飛ばして降り注がせるのが見えた。


「皆! 背中から棘を飛ばしてくる! 気を付けろ!」


 俺が注意を呼び掛けると、皆がツインドラゴンから距離を取った直後、ツインドラゴンの背中の棘が上空に撃ち上がり、地上へ降り注いだ。

 事前に離れたおかげで、被害は最小で済み安心すると、耳に着けてる通話機に連絡が入りスイッチを押す。


『勇也様、聞こえますか?』

「クロエか。どうしたの?」

『ツインドラゴンを解析した結果、弱点を判明しました』

「弱点?」

『二つの首の付け根の間。そこに神経が集中しています。そこへ攻撃した時の有効率が89パーセントと出ました』

「分かった。それに賭ける」


 通話を切ると、俺は大声を上げて皆に伝えた。


「皆! ツインドラゴンの弱点が分かった! 首の付け根の間だ!」

「ホントか、勇也?」

「ああ。クロエが解析してそこだって」


 集まってきた皆に説明した。


「首の付け根の間か。……なら、私達が奴の動きを止める。その間に勇也がそこを攻撃しろ」

「俺が?」

「お前に花を持たせてやるって言ってんのさ、リーダー」


 エンが俺の背中を叩いて言う。


「お前の元の世界の奴等の為にかっこつけさせてやるよ」

「はは……。なら、皆頼んだ!」


 皆がツインドラゴンに向かうと、俺はライトドラゴンの背に乗り上空へ飛んだ。

 ツインドラゴンの炎を躱し、アルツとグランドタートルが操った土と、フィーズとアイスベアーが放った冷気でツインドラゴンの足を止めた。

 背中の棘を撃たせない様に、エンとフェニックス、ウィドとスカイイーグル、ライデンと麒麟、スチアとアーマーコングが棘を破壊する。

 二つの顔が火を吐こうとすると、ホワイトウルフとキングレオが跳びかかり、それぞれの背中に乗っていたミスクとビトが顔を攻撃してブレスを止めると、レインが乗っているリヴァイアサンと、リューラが乗っている青龍が片方の首に巻き付き、レイフとウッドディールが地面から伸ばした蔦と木の根をもう片方の首に巻き付けて両方の首を離した。


「勇也、今よ!」

「ああ! 行くぞライトドラゴン!」


 俺がライトカリバーから放った光線と、ライトドラゴンが口から吐いた光線が合わさり、ツインドラゴンの首の付け根の間に命中すると、そのまま体を貫いた。

 ツインドラゴンは雄叫びを上げると、段々弱くなっていき、そして地面に倒れた。


「た、倒せた……」


 ツインドラゴンが倒れると、冒険者達は勝利の声を上げ、レイン達は俺の元に集まった。


「やったね、勇也!」

「どわっ!?」


 レインが抱き付いてきて転びそうになったがどうにか耐えた。


「あ~、つっかれた」

「もう今日は休もう~」

「あれほどの数の魔物と戦いましたし、それが良いかもしれませんね」


 俺達は召喚獣を戻すと、ジーリュ達と合流しウェアークの町へ戻った。


――――――――――――――――――――


 クラスメイトの皆が避難していた冒険者ギルドに、職員が魔物の群れが倒された報告が入った。


「皆さん! 魔物の群れが撃退されました! もう安心してください!」


 報告を聞いた避難者達は安堵の声を上げて外に出ていった。


「勇、魔物の群れ倒したの?」

「多分、そうだと思うよ」


 少し心配の美奈は、ギルドの外に出ていく避難者達の後に続いて外に出ると、タイミング良く、遠目で勇也達が見えた。

 美奈の後を追って厚達も来ると、勇也達を目撃する。


「先生は、光野君が一人で知らない世界に来たと聞いて心配でしたが……心強い仲間と一緒で安心しました」

「僕もです」


 笑顔で仲間と一緒にいる勇也を見て、小森先生と厚は安心した。

 一方美奈は、勇也の腕に抱き付いているレインを見てイラっとしているが、勇也が無事なのを見て安心していた。

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