ウェアーク防衛戦、開始
ウェアークの前で、冒険者達が迫りくる魔物の群れと戦っていた。
その中には、レイン達エレメンターもいる。
「はぁぁぁぁ!」
レインが大海の杖から、リヴァイアサンが口から強烈な水流を放ち、魔物達を吹き飛ばす。
「くらえーっ!」
麒麟に乗って駆け回るライデンは、サンダーランスの先端に雷を纏わせて魔物達を薙ぎ払う。
先ほどのレイン攻撃で濡れた魔物にはよく効いている。
「ヒヒィィィィン!」
麒麟が嘶きを上げると、上空に現れた雷雲から落雷が降り注ぎ魔物達を倒していく。
「どっこらぁーっ!」
アルツがアースハンマーで地面を叩くと、魔物達の足元から土の柱が飛び出して魔物達を吹き飛ばし、土の召喚獣のグランドタートルが口から土のブレスを吐き魔物達を吹き飛ばす。
フィーズは氷の矢を作るとフリーズボウで放って魔物を撃ち抜き、アイスベアーは口から冷気を吐き魔物を凍らせたり、氷柱を吐いて倒していく。
「ふんっ!」
狼の魔物が噛みついてくると、スチアは体を鉄化させて防ぐ。
魔物が弱々しく鳴くと、メタルグローブで巨大化させた拳で殴り飛ばし、アーマーコングも魔物を殴り飛ばしていく。
レイフは神木の杖を上に掲げると、地面から蔦が伸びて飛んでいる魔物に巻き付き地面に叩きつけ、ウッドディールが右前足で地面を踏むと、地面から木の根が伸びて魔物に突き刺していく。
「流石エレメンターだな。俺も負けていられん。先代エレメンターの仲間としてかっこ悪い所は見せられん!」
グレスは魔物の群れに向かって斧を振り下ろすと、衝撃で魔物達が吹き飛び、背後から襲うオークを振り向き様の一撃で倒す。
すると冒険者があまり積極的に戦闘に参加していないことに、グレスが喝を入れる。
「おい冒険者! エレメンターに頼り切ってないで戦え! 冒険者の維持を見せてみろ!」
「で、でもよぉギルマス。エレメンターって代々強い力持ってんだろ?」
「俺達凡人じゃあ……」
自信を無くしてる冒険者達に、グレスはイラついた様子でため息を吐く。
「エレメンターの強さは元々ではない! 努力をして手に入れたものだ! お前達も努力すれば、お前達もエレメンターに負けないぐらい強くなれる。先代のエレメンターと共にいた俺の様にな」
『っ!』
「行くぞぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
『おぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!』
グレスの鼓舞で冒険者はグレスと共に魔物の群れへ向かった。
その様子をジーリュとヒレアが町の壁の上から見ていた。
「流石グレスじゃ。冒険者達の自身を上げておる」
ジーリュは感心すると、顎に前足を当てて考え込む。
「どうしたの?」
「あの魔物達。動きが変じゃ」
「変?」
「うむ。襲いに行ってる……というより先に進みたい様に見える」
「ウェアークを目指してるって事?」
「いや、あの慌ててるような表情……何かに怯えている様にも見えるのう」
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「うぉぉぉぉぉぉぉっ!」
刀身に光を纏わせたライトカリバーで魔物達を倒していくと、ライトドラゴンが口から光の光線を吐いて吹き飛ばす。
竜の角、翼、尻尾を生やしたリューラは、素早い刀捌きで魔物を次々と倒し、青龍が尻尾で魔物達を薙ぎ払うと、口から炎を吐いて倒す。
「燃え尽きろ!」
エンがフレイムソードから炎の斬撃を放つと、斬撃を受けた魔物から炎が燃え広がり魔物達が燃え尽きていき、フェニックスは口から吐く火の玉や、炎の羽を飛ばして魔物達を倒していく。
スカイイーグルに乗ったウィドの風を纏わせたハリケーンブーメランと、スカイイーグルが羽ばたいて放った風の刃で飛んでいる鳥型の魔物を倒していく。
ミスクは煙になって近づき、蹴りを中心に魔物を倒し、ホワイトウルフは魔物の群れの中を駆け回りながら、噛みついたり爪で攻撃する。
キングレオの雄叫びで怯んだ魔物を、猫の耳と尻尾を生やしたビトがビーストクローで倒していく。
エレメントアーマーと召喚獣のお陰で、思ったより魔物をスムーズに倒せる。気付いたらもう半分近く倒し、魔物達にも勢いが減ってきた。
「あと少し!」
皆で次々と魔物を倒していき、残り10体程になった。
「あとはあれだけか」
「もうちゃっちゃと終わらせちゃおう」
「よっしゃあ!」
エンが巨大な火の玉を投げようとすると――。
「おわっ!?」
突然地面が揺れて、俺達はふらついてしまう。
「地震か、こんな時に!?」
すると、残りの魔物達が慌てた様子で散開して町とは違う方角へ走り去った。
しばらくして揺れが収まった。
「あ? 魔物逃げていったぞ」
「じゃあ……終わりか?」
「何、このパッとしない終わり方?」
確かに、魔物が地震で逃げて戦闘終了って、ちょっと変な気分。
「……さっきの魔物達、変じゃなかったか?」
「変って何が?」
「こちらが攻撃をしても全く反撃をしてこない。町の方へ行くのに必死になっているように見えた」
言われてみれば、魔物の方からあんまり攻撃してこなかったな。
――――――――――――――――――――
「ん?」
一陣の群れを殆ど倒した頃、アルツとグランドタートルが何かを感じ取った。
「どうしたアルツ?」
「何かが地面の中を進んでこっちに来てるんだ」
「地面の中ですか?」
「結構デカいぞ」
アルツが手を地面に当てながら言うと、突如地面が揺れ出した。
「うおぉっ!?」
「じ、地震か!?」
ライデン達がふらつく中、魔物達が急に慌ただしくなり散開し出した。
「来るぞ!!」
アルツが叫んだ次の瞬間、魔物達が立っている地面から何か大きなものが飛び出し、魔物が宙を舞った。
「何!?」
砂煙が晴れ、姿が見えたのは大きな青いドラゴンの顔だった。
ドラゴンの口には何匹か魔物がいて、ドラゴンに喰われた。
すると、すぐ横にもう一匹同じドラゴンが地面の中から現れると、二匹のドラゴンの後方の地面から胴体が現れて、二匹のドラゴンの首がその胴体に繋がっていた。
「二つ首のドラゴン……ツインドラゴンか!?」
グレスは姿を見てドラゴンの名前を上げた。
「厄介だな。奴は高ランクの冒険者数人がかりでも苦戦する強さだ。しかも、今は皆疲労している。状況が悪すぎる」
焦る表情のグレスに、町の壁の上からジーリュが飛んできた。
「どうやらあの魔物の群れは、このツインドラゴンから逃げてきたようじゃな。ワシは勇也達に急いで知らせる」
「ああ、頼む」
ジーリュはクロエの元へ行き、勇也に通話を入れるように頼んだ。
「という訳でお主等、お主等だけで倒すのは難しい。勇也達が来るまで頑張るんじゃ」
「ええ。勿論」




