表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エレメンターズ  作者: 至田真一
エレメントアーマー
31/202

氷の弓と白熊

「はぁぁぁ」


 周りの景色と同じように、白い息が口から出る。

 辺りが雪だらけの銀世界。

 岩が屋根になっていて、雪が降ってこない場所で焚火をしていた。


「さっみぃ!! おいエン! 火強くしてくれ!」

「はぁ!? さっき強くしたばっかだぞ。風も少し吹いてるせいか?」

「何でもいいから早く火!」


 ウィドに言われてエンは焚き火の火を強くした。

 フレイムソードを手に入れてから、エンは火の強さを自在に操れるようになり、弱くなった火を強くすることが出来るようになった。

 少し暖かくなって少しマシになった。

 目的地までそんなに遠くないらしいから、休める内に休みたい。

 目指している洞窟の奥にある、氷のエレメントアーマーを手に入れる為に。


「ねぇ。なんかフィーズが住んでた所よりも寒くない?」

「確かにあそこも十分寒かったけど、ここも結構寒いね」


 俺達は全員コート等防寒着を着込んでいるが、それでもまだ寒い。

 洞窟は人里から離れてる所にあるみたいだから確かにエレメントアーマーを隠すのには良いだろうけど。


「フィーズは寒くないの? 僕達よりあんまり着込んでないけど」

「僕は雪原地帯の出身なので、寒いのは慣れています。それに氷のエレメンターですから。寒がっていられませんよ」


 この中でフィーズは平気みたいだ。

 もしかしたら、エレメントアーマーがある洞窟は、ここよりも寒いのか?

 俺達は休憩を終えて洞窟を目指した。

 寒さに耐えながら進み、目的地の洞窟に辿り着いた。


「何か、まだ入ってないのに中から冷たい空気が」

「よく見ると、岩肌が所々凍ってるね」


 洞窟の中に入ると、壁だけでなく地面まで凍っている。

 やっぱり中の方が寒い。


「何か寒さが増した気がする」

「これほど寒ければ誰も奥には進みたがらないじゃろう」

「寒すぎだ!」


 エンが声を上げて文句を言うが、言ってもしょうがないので、とにかく洞窟を進んだ。

 地面が凍ってるせいでちょっと進みづらい。

 スケートみたいに滑って進めば順調かな? でもやったこと無いから無理だな。


「ん? 何だ?」

「どうしたのライデン?」

「いや、なんか上から氷の粒が」


 ライデンが天井を見上げて俺達もつられて見ると、なんと天井から氷柱がライデンに向かって落ちてきた。


「おわぁぁぁ!?」

「おらぁ!」


 エンが氷柱に向かって火の玉を撃つと、氷柱はあっという間に溶けて消えた。


「た、助かった~」

「ただでさえ地面が凍って危ないのに氷柱まで……」

「気を付けないとね」


 凍った地面と氷柱。この二つに注意して洞窟を進んだ。

 落ちてくる氷柱を防ぎながら洞窟の奥を目指していると、奥に明るくて広い部屋があるのが見えた。


「あそこかな? エレメントアーマーがあるのって」

「む~……」

「どうしたのジーリュ?」

「いや、確かにあそこがエレメントアーマーがある部屋だったはずなんじゃが、何か大事な事を忘れている気がしてのう」

「大事な事って?」

「別に良いじゃねぇか。もう目の前なんだしよぉ」


 俺達は部屋まで歩き出して入ろうとすると、突然床にヒビが入った。


「え?」


 ヒビは広がり、やがて崩れて俺達は真下に落ちた。


「しまった! そうじゃった!」

『うわぁぁぁぁぁぁぁ!?』


――――――――――――――――――――


「うう……ここは……?」

「気がづいだか? オラ達さっき落ぢでぎだんだ。オラは体鉄さ変えだお陰で平気だ」


 スチアだけが起きていた。

 やっぱり、ここは洞窟の地下かな?

 周りを確認していると、次第に皆も目を覚ましていく。


「いかんのう。すっかり忘れてしまったわい」

「さっき『しまった』って言ってたけど」

「実はエレメントアーマーがある部屋の手前には、罠の落とし穴があるのをすっかり忘れていたわい」


 重要な部屋の前で落とし穴か。なんかゲームとかでよく見る展開だな。


「ダメだ! 塞がってやがる」


 飛んで落ちた穴を見てきたウィドが戻ってきた。


「となると、やっぱりこっちを進むしかないか」


 落ちた場所にある通路に目を向けると、俺達は通路を進んだ。

 相変わらず寒いし、氷柱も落ちてくる。

 しばらく進んでいると、道が下り坂になっていた。しかも地面が凍ってる。


「うわぁ。先が見えない」

「これ下りるの?」

「他に道が無かったらここを下りるしかないよ」


 凍ってるから下手したら滑り台みたいになるぞ。

 滑らない様に、ゆっくり足を坂に伸ばす。


「あ~さみぃ~……ん? 皆何で止まってんだ?」


 一番後ろを歩いていたライデンが遅れて合流すると、ライデンが足を滑らせて俺達とぶつかり、その勢いで坂を滑り下りて行った。


「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「何してんだよぉ! ライデンのばかぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「ごめぇぇぇぇぇぇぇん!!」


 凄い勢いで何メートルも滑り下りると、急に坂が短く上を向いていた。


「嘘だろぉぉぉぉぉぉぉ!?」


 俺達は外に放り出されてかなり高くまで飛ばされると、次第に落ちていき、地面に開いている穴に落ちた。

 穴の先で俺達は深い雪の中に突っ込んだ。


「……ぶはぁ! ここは、ぐわっ!?」

「ぷはぁ! あ~冷たい」


 俺の上の雪からレインが出てくると、レインの胸が顔の上にのしかかった。


「あ! 勇也大丈夫!?」

「だいじょう……ぶ」


 レインが先に雪の中から出て俺を引っ張り出した。

 他の皆も雪の中から出して、今いる場所を確認した。


「何処だここ?」

「ん? 皆、あれを見ろ」


 リューラが何かを見つけたその先には、台座の上に置かれている石の弓だ。


「おお! あれは氷のエレメントアーマー、フリーズボウじゃ」

「運が良いですね」


 ホントに運が良いな俺等。

 フィーズは台座に近づき、石の弓に触れると、弓が光り封印が解けて、水色と白の弓が露わになった。


「これがフリーズボウですか。ところで、弓だけで矢は無いんですか?」

「矢はお主が氷のエレメントで作ればいいんじゃ」

「成程。では次は、召喚獣ですね」


 フィーズはフリーズボウを持って祈ると、弓から出た光から、額に銀色の結晶を付けた白熊が現れた。

 氷のエレメントの召喚獣、アイスベアーだ。

 アイスベアーはフィーズに近づき頭を下げた。

 フィーズも無事エレメントアーマーを手に入れて、半数が手にした。

 俺達は洞窟を後にして次のエレメントアーマーの封印場所に向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ