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エレメンターズ  作者: 至田真一
力を貰って異世界へ
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エレメントの基礎特訓

「この部屋を使ってね。服もこれを使って」


 ヒレアに部屋を案内されると、服を渡されてヒレアは部屋を出た。

 俺は渡された服に着替えるために、まずズボンのポケットに入っている物をテーブルの上に置いた。

 ポケットには財布とスマホが入っているけど、金はまず使えないし、スマホは画面を開くと圏外って出る。充電出来ないからこれも使えないな。


「どっちも使えないな」


 俺は制服を脱いで渡された服を着た。

 黒いインナーの上に黄色のラインが入った白いコートに白いズボンだ。


「少し大きいけど、まぁいいか」


 俺は部屋を出て、屋敷の外に出た。

 庭にはジーリュ、ヒレア、レインが待っていて、エンが丸い的の付いた杭を何本も地面に刺していた。


「来たか。では特訓を始めるかのう」

「ああ」


 残り九人のエレメンターを探す前に、まず力を使いこなせるようにするために、光のエレメントの基礎特訓をすることになった。


「まずは、あの的に向かって光の玉を撃つのじゃ」

「分かった」


 俺は掌を的に向け、光の玉を作り的に向かって放つと、的の左上に命中した。


「んー。威力はまぁ良いが、命中じゃな。もう一度やってみよう」

「あ、ああ」


 俺はもう一度光の玉を放つと、さっきよりも真ん中に近い位置に当たった。


「うむ。次はもう少し大きくして撃ってみるのじゃ」


 俺はさっきよりも大きい光の玉を作って放つと、さっきとほぼ同じ位置に当たった。


「続けて撃ってみるのじゃ。その間に、ヒレア」

「ええ」


 ヒレアが屋敷に入ると、俺は練習を続けた。


――――――――――――――――――――


「威力も命中も申し分ないのぉ。次に行ってみるかのう」


 ジーリュがそう言うと、ちょうどヒレアが屋敷から出てきて、手には西洋風の剣があった。


「勇也は剣は使えるのかのう?」

「まぁ一応」


 一応剣道部だったし。でも……こんな本物の剣なんて触ったことすら無いぞ。


「それは良かった。光のエレメンターは剣術が必要じゃからのう」


 俺はヒレアから剣を受け取って手に持った。

 やっぱり竹刀とは違って鉄製だから重いな。


「まずは普通に的を斬ってみてくれぬか?」

「分かった」


 俺は剣を斜めに振り下ろすと、的が斬れて地面に落ちた。


「次は剣に光のエレメントを乗せるのじゃ」

「乗せるってどうやって?」

「剣に光のエレメントの力を纏わせるイメージじゃ」

「よし……」


 俺は言われたとおりに剣に光のエレメントを纏わせるイメージを浮かべた。すると、剣の刀身が光り出した。


「上手く纏わせたようじゃな。そのまま的を斬ってみよ」


 俺は頷くと、光を維持したまま剣を的に向かって振り下ろすと、的は斬れるどころか弾け飛んだ。


「結構、威力が上がるんだな」

「剣にだけではない。腕や足に纏わせることで握力や脚力を上げることが出来るのじゃ」


 身体強化みたいなのも出来るのか。やっぱ凄いんだな、エレメントの力って。


――――――――――――――――――――


 その後も特訓を続けて、今はエンと木剣で特訓をしている。


「ふぅー。ちょっと休憩しようぜ」

「分かった」

「お前、意外と剣の腕前あるんだな」

「そうかな?」


 俺は木剣を下ろして汗を袖で拭った。


「お疲れ様」


 レインが近づくと、手に持っている空のコップに手から水を出してコップに注いで俺に渡した。


「はい、どうぞ」

「あ、ありがとう」

「どうしたの? 顔逸らして」

「いや、ちょっと視界に困るというか……」


 レインが首を傾げる一方で、エンは理解したように「あー」と言う。

 顔を逸らす理由、それはレインの胸の膨らみが結構……いや、かなりあるからだ。しかも結構胸元が開いた服を着てるから余計視界に困る。

 レインは「あっ」と理解した表情になり顔を赤くすると、俺はコップを受け取って水を一口飲んだ。


「美味しいねこの水」

「そ、そう?」


 レインは照れそうに言う。


「おーい。戻ったぞー」


 出かけに行ったジーリュとヒレアが戻ってくると、一緒に二メートル程の大柄の男がいた。


「その人は?」

「こやつはグレスと言ってな。この町の冒険者ギルドのギルドマスターをしており、先代エレメンター達と一緒に戦った戦士の一人でもある」

「グレスだ。よろしくな」

「あ、はい。勇也です」


 握手をすると、グレスさんは俺の顔を凝視する。


「不思議だな。血の繋がりは無いはずなのに、お前さんを見るとライトスを思い出す」


 ライトスさんを思い出す? 何でだ?


「ところで、何でグレスさんが一緒にいるんだ?」

「それはな、そろそろ実戦をやらせようと思ってのう。ヒレア」


 ヒレアが頷くと、手に持っている一枚の紙を見せてきた。


「……何て書いてあるの?」


 どうしよう。この世界の文字読めない。


「洞窟に住み着いたゴブリンの群れの討伐依頼よ」


――――――――――――――――――――


 町を出て近くの森を進むと、目的地の洞窟が見えた。

 その洞窟の入り口には緑の肌に毛皮の腰巻、手に棍棒を持った三体のゴブリンがいた。

 俺達は一旦近くの茂みに身を潜めた。


「まずはあの三体を勇也が光のエレメントで倒すのじゃ」

「分かった」


 俺は掌に光の玉を生み出しゴブリンに狙いを定めて放つと、上手く命中し、吹き飛ばされたゴブリンは壁に激突して地面に倒れる。

 残りの二体が動揺している隙に、二発目、三発目を放ち、残った二体を撃破した。


「うむ。威力、命中共に問題無しじゃ」


 俺達は茂みから出て、洞窟の前に立った。

 今回は俺とジーリュの他にエン、レイン、ヒレアが一緒にいる。


「改めて依頼の内容を確認するわね。今回の依頼は、洞窟内に住み着いたゴブリンの群れの討伐。群れは小規模らしいからそんなに時間は掛からないはずよ」

「では皆よ、行くぞ」


 俺達は頷いて、洞窟の中に入った。

 魔物退治……緊張するな。

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