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エレメンターズ  作者: 至田真一
エレメントアーマー
29/203

風のブーメランと大鷲

 馬車で次のエレメントアーマーが封印されている場所を目指している俺達は、野原で休憩を取っていた。

 焚き火の木を並べていると、突然強い風が吹いてきて木が飛ばされそうになった。


「今日は風が強いな」

「目的地に近いからじゃろう」

「どういう事?」

「あの山を見よ」


 ジーリュは進む先にある山を指差す。


「あそこに風のエレメントアーマーがあるんじゃが、あの辺りは強風が吹き続いており、時々この辺りにも強い風が吹くんじゃ」


 強風か……。なんかこの間の罠だらけの遺跡に比べたら平気そう。


――――――――――――――――――――


 ……なんて思ってたけど、舐めてた。

 台風並みの風が吹き荒れて、踏ん張っていないとまともに立てない。少しでも油断したらバランス崩しそう。


「この山の頂上付近にある洞窟に風のエレメントアーマーがある! そこまで気を付けて登るんじゃ!」


 頭の上のジーリュが風に飛ばされない様に俺の頭にガシッと掴みながら話す。

 爪がちょっと食い込んで少し痛い。


「どんだけ風つえーんだよ」

「砂も飛んできて目に入り、痛てっ! 目に入った!」

「こんなに強いと、煙になれないわね」


 強風でエンは顔を腕で隠し、ライデンは目に砂が入って両手で顔を隠している。

 煙のエレメンターのミスクにとってここは相性が悪い。確かに、こんなに風が強いと煙になったら飛ばされるな。


「では、行こう」


 俺達は洞窟を目指して山を登り始めた。

 風が強すぎるせいで、道なりに進むのも難しい。しかも向かい風。

 砂や石が飛んできて痛いし、足を踏み外すと下に落ちる可能性もあるから、結構慎重に進まないと危険だ。

 エレメントアーマーが貴重な物だからこんな所に封印するのは分かるけど、やっぱり残りのエレメントアーマーもこういう場所にあるのかな?

 そんな事を考えていた直後、足元に上から小さな岩が転がってきて、嫌な予感がして上を見ると、岩が俺達の方に向かって転がってきた。


「皆! 落石だ!」


 俺の声に皆が上を向いた。


「オイラに任せろ!」


 アルツが地面に手を付けると、土の壁が落石を止めて、その間に俺達は進んで全員進むとアルツは土の壁を解除して落石は崖に落ちていった。


「助かったよアルツ」

「良いって。にしても、気のせいか土が丈夫になった気がする」

「アースハンマーを手に入れたからじゃよ」

「エレメントの力が強くなるんだよね。よし、先を進もう」


 俺達は足を進めて、強風の山登りを再開した。

 山登りの途中、横穴を見つけてそこに入って一旦休憩を取った。


「ぶへっ! うえっ、口の中に砂が結構入っちまってる」

「ああ、髪が乱れてしまいました」


 台風並みの強い風と飛んでくる砂、流石に皆も苦戦している。

 俺も頭の上のジーリュが吹き飛ばされない様に必死に掴んでいるときに爪が頭に当たって痛かった。


「この中も外程じゃないけど風が入ってくるわね」

「そうだね。風が弱まりそうにも見えないし……」


 レインの方に目を向けると、中に入ってくる風でレインのスカートが捲れて見えそうになり、サッと顔を逸らした。

 それを見ていたレインは首を傾げて下を向くと、気付いたのか顔を赤くしてスカートを手で押さえた。


「……見た?」

「いや、見えてないから大丈夫」


 髪をとかしていたレイフも気付いて自分のスカートを押さえる。

 他にスカートを穿いているのはリューラだけだけど、押さえようとする素振りが見えない。


「リューラ。ここ風強いのにスカート押さえなくていいのか? 結構はためいてるぞ」


 エンが普通に言うと、リューラは睨んで鞘から刀の刀身を覗かせる。


「見たらその目を斬るぞ」

「あー……すいません」


 なるほど。押さえないのは見たら殺すぞって事か。

 それにしても本当に風が強いな。

 ここに窓があったら眠れないぐらい揺れてるな。


「ねぇウィドー。ウィドの力で外の風弱められないの? 出来れば進みやすくなるのに」

「んな事出来たらとっくにやってるっつーの。周りの風を操るなんて出来ねーよ」

「そうじゃな。今のウィドでは無理じゃが、エレメントアーマーを手に入れれば、周囲の風の強さを操れるようになるぞ」

「そうなのか? なら帰りはマシになりそうだな」


 休憩を終えて、俺達は山登りを再開した。

 飛んでくる砂や落ちてくる落石に気を付けながら進んで頂上の近くまで登ると、前方に洞窟が見えた。


「あの洞窟じゃ」

「よし。皆、もう少しだ」


 俺達は目の前の洞窟まで進み、やっと洞窟の中に着いた。


「ん? この中、風が吹いてない」

「ホントね。外とは大違い」

「この洞窟は特殊な結界で守られておるからじゃよ。さぁ、奥に行こう」


 洞窟を進んで、一番奥の広間までやってくると、奥に台座があり、その台座には四枚の刃が付いた石のブーメランがあった。


「あれが風のエレメントアーマー、ハリケーンブーメランじゃ。ウィド、行ってくるんじゃ」

「ああ」


 ウィドは台座まで歩き、石のブーメランに触れると、ブーメランが光って封印が解け、銀色のブーメランが露わになった。

 封印が解け、ウィドはハリケーンブーメランを持って祈ると、ブーメランから出た光から一羽の鷲に似た大きな鳥が現れた。

 鋭い目に足の爪。頭には王冠の様な羽毛に額には緑色の結晶が付いている。

 風の召喚獣、スカイイーグルだ。

 スカイイーグルはウィドの前に立つと頭を下げた。


「これで良いんだっけな? へっ、よろしく!」


 無事に手に入れた後、エレメントアーマーを手に入れたウィドとスカイイーグルの力で周囲の風が弱まって帰りは順調に下山出来た。

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