ダーケルとの決戦②
「……レイン。ちょっといい?」
「何?」
「俺がダーケルを攻撃したら、続けて同じ場所に攻撃を当ててくれないか?」
「う、うん。分かった」
俺は走りだすと、空から攻撃しているリューラとウィドを目で追っているダーケルの肩にライトカリバーから放った光線を当てた。
予想通り、光線が当たった箇所が少し明るくなった。
「レイン今だ! 肩に攻撃を当てて!」
「ええ!」
レインは大海の杖から無数の水の玉を出し、ダーケルの肩に向けて放つと命中した。
「ぬっ!」
ダーケルは不快そうな顔で肩を払うと、肩が暗くなる。
「やっぱりそうか」
「どういう事?」
レインが訊ねると、俺達の元にエンとジーリュが来た。
「おい勇也。お前何したんだ? 今アイツに攻撃が効いたみたいだったぞ」
「多分だけど、アイツの防御力の高さは、鉄のエレメントだけじゃない。全身を闇のエレメントで覆ってるんだ」
「成程のう。お主の光のエレメントで闇のエレメントを剥がし、あやつの防御力を下げたのか。……じゃが、それだとお主の負担が大きいぞ」
ジーリュの言う通りだ。
俺が光のエレメントでダーケルを覆う闇のエレメントを剥がして打ち消さないと攻撃がまともに通らない。
しかも打ち消せる時間はほんの僅か。ただでさえ鉄のエレメントで体を硬化させてるから、打ち消せてもあんまり攻撃の通りが薄いのに。
……けど。
「俺がやらないと、ダーケルを止められない。ここで止めないと、ダーケルは島を出て世界中に猛威をふるはず」
「……そうじゃろうな。分かった。今のワシならお主の疲労を回復を出来るじゃろう。皆! 勇也が攻撃した所をすぐに続けて攻撃するんじゃ!」
ジーリュがそう叫ぶと、皆は考えるよりすぐ納得し頷いた。
俺は重要な立ち位置だ。一層気合入れないと。
「あん? 何を企んでるか知らねぇが、俺に小細工は通じねぇ!!」
ダーケルは右腕を振り下ろし地面に叩きつけると、地面が割れ、俺達は大きくジャンプして避ける。
俺はライトカリバーを突き出し、刀身から光線を放ちダーケルに当てる。
光線を当てながら走ると、光線が当たった所の闇のエレメントを打ち消していく。
そして皆が闇のエレメントを打ち消された所に攻撃を当てていく。
「ぬぅぅぅ!!」
痛みはあんまり感じて無さそうだが、イラついてるのか、攻撃が当たった所を掻いている。
効いてはいるんだろうけど……ダメージが低いな。
「思ったより効いてないな」
「あやつを覆う闇のエレメントを消せても、身に纏っている鉄のエレメントが消せておらんからのう。奴が常に纏っている鉄のエレメントをどうにかして解除せねばな」
俺が消せるのはダーケルが纏っている闇のエレメントだけ。
どうやって鉄のエレメントを解除すれば良いんだ?
「やはりあやつ自身が解除するしか無いじゃろうな」
「どうやってだよ? そんな事ぜってぇしねぇだろ」
「ダーケルの集中力を切る事さえ出来れば、あるいは……」
「集中力……そんな事出来――」
「ごちゃごちゃうるせぇなぁ。来ねぇならこっちから行くぞ!!」
ダーケルは背中のイバラから再び幾つものエレメントを放ったり、煙のエレメントで手を飛ばす。
迫り来る猛攻を何とか避けながら、俺は光のエレメントをダーケルに当ててい闇のエレメントを打ち消していくが、ダーケルの猛攻に気を取られるせいで、攻撃が間に合わず塞がってしまう。
「ダーケルの攻撃が始まると、こっちが攻撃する暇が全く無い。あのイバラを切れば少しは収まるかも知れないけど……どうせ再生するだろうしな」
黒い炎と雷が降ってきて躱すが、避けた先の地面が黒い氷で凍っており、滑って足を取られた。
「しまっ……!」
俺が脚を取られた隙を着いて、ダーケルが手を薙ぎ払って俺を吹き飛ばした。
廃家に激突した俺に、ダーケルは尻尾のダークカリバーを俺に向けて伸ばすと、俺は光の障壁を張って防いだ。
「う、重い……!」
徐々に押され、障壁と地面に押しつぶされそうになると、レインの水の玉とエンの火球が尻尾に命中する。
けど尻尾はビクともしない。
「やっぱり闇のエレメントを剥がさないと! ……一か八か!」
俺は横に光弾を飛ばすと、瓦礫に当たった光弾が跳ね返ってダーケルの尻尾に当たり闇のエレメントを剥がした。
「今だ!」
「ええ!」「おお!」
レインとエンは再びダーケルの尻尾に攻撃を当てると、尻尾がグラついて威力が弱まった。
その隙に障壁を解除して咄嗟に横に避けると、ダークカリバーがすぐ横に突き刺さった。
「どうした? テメェ等の力はそんなもんか?」
「はぁ……はぁ……」




